金市場ニュース

ニュースレター(2021年2月5日)レディット需要が落ち着く中、ドル高と長期金利高で金と銀は急落

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1803.47ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から3.2%安と2週ぶりの下落で2ヶ月ぶりの低さとなっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり26.52ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から3.3%安で、月曜日のトロイオンスあたり29.99ドルの8年ぶりの高さへの上げ幅を失い、2週ぶりの下げとなっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では1124.36ドルと前週LBMA価格から1.29%高となっています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週貴金属市場は、前半は銀の動きを追う形で推移し、その後はドル高、長期金利高に反応して押し下げられることとなりました。

銀の急騰は、先週半ばにレディットのユーザによって銀のショートスクィーズが促され、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバーが標的となり、その後現物購入も促される中で、銀価格が前週木曜日低値から月曜日高値へ20%急騰することとなりました。その後、火曜日には貴金属先物・オプションを運営しているCMEが銀の証拠金を引き上げて過熱した市場への介入がされて落ち着きを取り戻す中で、週半ばからドルと長期金利がそれぞれ2ヶ月ぶり、1ヶ月ぶりの高さへと上昇して貴金属価格は大きく下げることとなりました。

この背景は、米ADP全国雇用者数等の経済指標が米国経済回復を示唆していたこと。そして、バイデン大統領の1.9兆ドルの追加経済対策が早期に成立する観測が広がり、リフレーションと財源確保の大量国債発行観測による金利上昇も見られたことからでした。金は金利を産まない投資商品であるために金利上昇は金にとってネガティブとなります。また、ドル建てコモディティである金はドル高はやはりネガティブな要因となります。

それに対し、今週プラチナは週前半は他の貴金属と動きを共にしていましたが、昨日からドル高にも関わらず、経済回復による工業用途増加期待からも上昇傾向が続いています。

日々の金相場の動きと背景について

月曜日は前週後半からのレディットユーザーによる銀を標的とする投稿が続き、前週金曜日に銀ETFの史上最大の増加量を記録し、週末に銀貨や小型地金販売店が在庫切れとなり、マージンが引き上げられる中で、銀相場は一時同日前週終値から11%高で8年ぶりの高さのトロイオンスあたり30ドルを割る水準まで引き上げられていました。

これに釣られる形で金などの他の貴金属も上昇していましたが、その上げ幅は限られて、金銀比価が62と7年ぶりの低さまで下げていました。

翌日火曜日貴金属相場は、銀が前日の8年ぶりの高値から11%下げて、前週末の終値からも下げる中、金も同様に前日の高値から2%下げていました。

これは、レディットのユーザーによる銀購入の波が一服する中で、高値による利益確定の売却も進んだことからでした。

また、コメックスの先物オプション市場を運営するCMEが銀取引のマージンを引き上げたことで、投機的取引が弱まったことも要因となりました。

そして、前日米共和党はバイデン大統領の1.9兆ドルの追加経済対策に対し、6000億ドルの代替案を提案しており、規模が大きく縮小される可能性からもドルが一月ぶりの高さへ強含んでいたことも貴金属価格を押し下げていました。

水曜日金相場はドルが高止まりし、長期金利が一月ぶりの高さへと上昇する中で、トロイオンスあたり1832ドルへと前日終値からも0.4%下げて終えていました。

また、銀相場は同日も0.7%下げて、月曜日の8年ぶりの高さからは12%下げのトロイオンスあたり26.75ドルで終えていました。

この背景は、同日のADP全国雇用者数が予想の4.9万人を上回る17.4万人であったことや、バイデン大統領の1.9兆ドルの追加経済対策を与党民主党が単独で成立させる手続きを進めていると伝えられ、3月末までの成立観測が広がっていることで株価が上昇し、大量国債発行観測で長期金利高となっていることが要因となっていました。

木曜日金相場は心理的節目のトロイオンスあたり1800ドルを割り、下げ基調が強まり1794ドルで終えていました。

この背景は、同日発表の米新規失業保険申請件数が11月以来の低さへ下げ、米下院が前夜2021年会計年度の予算決議案を可決し、上院も可決されることで、財政調整法を活用して追加経済対策を民主党単独で成立できる見込みから、リフレーション期待もあり長期金利を昨年3月以来の高さへと上昇させていたことからでした。

本日金曜日発表の米非農業部門雇用者数は予想の5万人増に近い4.9万人増で、前回14万人減(修正値22.7万人減)から改善し、失業率も前回と予想の6.7%から6.3%と改善していました。 そこで、金価格はトロイオンスあたり1794ドルと一時下げましたが、この水準では買いも入り1800ドルの攻防となり、ロンドン時間午後には1805ドル前後で推移しています。

また、前夜米上院が予算決議を採択し、「財政調整法」で民主党単独で1.9兆ドルの追加経済対策成立が可能となったことからも、現金支給などが消費を引き上げる期待もあり、長期金利が上昇していることも金の頭を抑えているようです。しかし、本日ドルは前日の2ヶ月ぶりの高さから多少下げています。

その他の市場のニュ―ス


  • 先週末からのレディットユーザーの呼びかけによる銀需要の高まりで、ブリオンボールトの新規顧客数が2月1日に昨年の2月の一ヶ月分に近い高いものと一日あたりの史上最高値となっていたこと。

  • 月曜日にロンドン地金専門市場において、史上最高値に近い銀地金取引の10億オンス(32,190トン)が行われたことが伝えられていたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日26日まで(レディットユーザーが銀を標的にする以前)の一週間に、貴金属価格が狭い範囲で推移する中で、金と銀のネットロングポジションが増加し、プラチナとパラジウムでは減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、10%増の360トンと2週ぶりの上昇となっていたこと。建玉は18週連続で100万枚以下で、2019年5月以来の低さとなっていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比6.8%増の6,893トンと2週ぶりに増加となっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比6.8%減の15.8トンと7週間連続で減少し、昨年11月17日週以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比16.8%減で8.3トンと3週連続の下げで昨年7月14日の週以来の低さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で0.3トン(0.03%)減で1160トンと4週連続の下げの傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で1トン(0.19%)減で526トンと、2週連続の減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、レディットユーザーの投稿で月曜日に一日あたりの最高増加量を記録し、同日と火曜日に史上最高値を更新後落ち着きを取り戻して2日連続で減少したものの、今週1,784トン(9.5%)増で20,505トンでと3週連続の増加傾向であること。

  • 金銀比価は、今週月曜日に銀が急騰し62と7年ぶりの低値(銀が金に対して価値上昇)を付けた後に68前後へ戻していること。

  • 上海黄金交易所(SGE)の価格は今週ロンドン価格に対しプレミアム(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)となり、週平均は6.09ドルと昨年1月以来の高さで、春節前の中国の需要の増加が見られること。

  • コメックスの金、銀、プラチナの週間平均取引量は、月・火曜日に銀がレディットを利用した投資家ののショートスクィーズで急増していた後に、CMEが銀の取引証拠金を引き上げて急落していたこと。週間では、金は18%減少し、銀が57%増、プラチナは10%増となっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は、中国の春節が12日金曜日で中国は11日から翌週水曜日までが祝日で、多くのアジア諸国が祝日となります。

主要経済指標としては、主要国の中銀の政策金利発表は無く、重要指標は少ないですが、水曜日の中国の消費者及び生産者物価指数、米国の消費者物価指数とパウエルFRB議長の議会証言、木曜日の新規失業保険申請件数等へ市場は注目することとなります。

その他、引き続きバイデン大統領の追加経済政策関連ニュース、新型コロナウィルスの感染者数、移動制限、変異種、ワクチン関連ニュースも経済回復観測に絡み重要となります。

経済指標の詳細はを主要経済指標(2021年2月8日~12日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

先週末からレディットのユーザーの銀ショートスクィーズ投稿による銀価格急騰で、弊社及びリサーチディレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが多くの主要メディアで取り上げられていました。

ブルームバーグインタビュー

先週末からの銀価格急騰について弊社リサーチダィレクターがインタビューで、これまでにこのような急騰、需要の急増を見たことがあるかを問われ、「昨年はブリオンボールト創立15年以来の記録的な需要を記録し、週末と月曜日もそれぞれ記録的であり、月曜日は昨年の2月一ヶ月分の需要を一日で見ることになった。」と答え、「このような勢いが続くのは難しいだろうが、今回貴金属へ向けられた興味が突然消えるとも思えない。」と続けています。

ファイナンシャル・タイムズ「銀価格が新たな個人投資家が引き上げる中で下落

火曜日銀相場が前日の急騰分を失う下げを見せていることを伝える記事でエィドリアンは、「銀地金を購入する人は誰でも、銀地金が "悪魔の金属 "と呼ばれている理由を知っておくべきです。もし、突然損失を出してしまった場合、長期的な価格の上昇トレンドを見逃すことは難しいでしょう。」とコメントしています。

Business Insider「銀がレディットユーザーの呼びかけで13%高の8年ぶりの高さへ

ここでエィドリアンは、「急激な資金の流入が銀価格を急騰させていますが、銀がさらなる高さへ達するには継続的な度重なる資金流入が必要です。」とし、「レディットユーザーによる銀のショートスクィーズは脆いものです。投機家のショートポジションの積み重ねは、銀において2021年に大きくありません。これは、あくまでも価格変動のヘッジ目的であり、大規模な空売りが行われていた小規模な会社の株が提供するような機会はありません。」と続けています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では新型コロナウィルスのワクチン接種の進み具合及びその効力、そしてロックダウンの強化と解除の政府方針関連ニュースが日々伝えられています。

そのような中で、ここでも昨年お伝えした、医療従事者のために約47億円近い寄付金を募った英国退役軍人のトム・ムーア(キャプテン・トム)さんがコロナウィルスで火曜日に亡くなったことから、トップニュースで伝えられていました。

ご自身も世話になった国民保険サービスへの寄付を当初1000ポンド(14万円程)募ることができればと、100歳の誕生日までに庭を歩行器を使って100往復することを誓ったことが、全国ニュースで伝えられたことがきっかけとなりましたが、その後世界の多くのメディアでも伝えられ、国内外の1500万人以上から記録的な寄付金を募り、その真摯で誠実な人柄からも、国民的英雄となっていました。

水曜日の夜6時には、ジョンソン首相の呼びかけで全国規模で、病院やサッカースタジアム等でも一斉に拍手をすることも行われていました。また、同日議会下院では、追悼の1分間の黙祷が行われ、首相官邸の英国旗は反旗にして哀悼の意を表していました。

英国の人々にとって、いつも「明日には良いことがある」と常に明日を信じて前向きに生きることを教えてくれた「コロナ禍の英雄」のキャプテン・トムは、これからも特別な人であり続けることでしょう。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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