【金価格ディリーレポート】銀価格がレディットのユーザーによって30ドルへと押し上げられ、銀ETF残高は1000トン増へ
銀価格が月曜日午前中に8年ぶりの高さのトロイオンスあたり30ドルを付けていました。
これは、レディットのユーザーによる呼びかけによって、貴金属への新たな関心が記録的に高まったことからでした。
しかし、「 悪魔の金属」とも呼ばれる地金は、ロンドン取引が終了に近づき、ニューヨークのコメックスの先物・オプション取引が開始される頃に、28.65ドルまで下げていました。
金もまた、アジアとロンドンの取引で急騰しましたが、インドのモディ政権の2021年予算で 貴金属へ関税を削減するとの衝撃的な決定を受け、金の世界第2の消費国であるインドの小売・卸売価格が下落したため、トロイオンスあたり1860ドルまで一時下げていました。
金と銀の関税を12.5%から7.5%へ削減することは、この国で多発している 密輸へ動機を減らし、密輸増加を止めることを目的としていると、ニルマラ・シサラマン財務相は述べていました。
銀のスポット価格は、月曜日午前中にトロイオンスあたり29.99ドルと前日終値から11%も上昇し、2013年2月以来の最高値を更新し、先週の水曜日の夜から20%近く上昇した後、29.20ドルに値を戻していました。
これは、レディットのWallStreetBetsグループへ、銀ETFの最大銘柄のiShareシルバー(NYSEArca: SLV)を購入するように、ユーザーが匿名の投稿で呼びかけられた事が発端となりました。
木曜日にはわずかに縮小したSLVは、金曜日には6%増の18,722トンの地金の裏付けが必要となる増加を見せ、2006年4月にETFが取引を開始して以来、1日で最大の増加量を記録し、昨年8月に記録した大きさを取り戻し、史上最高を記録していました。
先週の木曜日、 他のレディットのユーザーが「SLVを直接購入して、銀の現物の受け渡しを強制的に引き起こそう」と呼びかけ、それによって市場に ショート・スクイーズ を引き起こし、銀価格を押し上げることが試みられました。
「銀を先物市場で空売りしている人々は、複数の巨大な銀行で、彼らの空売りポジションを損失を出しても解消せざるを得なくなるようにできれば素晴らしいではないか!」と述べていました。
これとは対照的に、米国の規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)が2006年から 公表しているデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジをかけた投機家は、2019年半ば以降、銀のネットロングポジションを持ち続けています。
そのグループは、レディットでウォールストリートベッツが先の動きを仕掛ける直前の1月26日の週末に、銀への強気の賭けを増やし、弱気の賭けを減らしていました。
このような状況の中、ロンドンの銀地金現物の在庫は、銀行や精製業者や生産者が価格の下落を防ぐためにコメックスでヘッジしていますが、この間に過去最高の記録を更新しています。
「先週の出来事は、個人投資家の 購買力を疑うのは賢明ではないことを示しており、これは銀市場でも十分に証明されています」と、シンガポールのOversea-China Banking Corp.のエコノミスト、Howie Lee氏は述べていました。
「しかし、銀市場を動かすのは、ゲームストップの株価よりも少し難しいかもしれません。」と続けています。
ゲームストップ(NYSE: GME)の時価総額は1月中旬に14億ドルに達していましたが、レディットのウォールストリートベッツのグループをフォローするユーザーがその価値を16倍以上に急騰させたことで、弱気ポジションを保有していたヘッジファンドがそのポジションを解消せざるを得なくなり、価格上昇を加速させました。
対照的にロンドンの銀地金市場の週次取引高は、業界団体 LBMAのデータによると400億ドルで、1月のコメックスの先物・オプション取引では1日平均100億ドルが取引されています。
「このような状況の中で、個人投資家の銀地金に対する影響力がそれほど長くは続かず、最終的には産業界や機関投資家の需要が長期的な鍵を握っていると確信しています。」とコメルツ銀行のアナリストは述べて、「とはいえ、最近の価格の急騰は、金融市場の参加者が 貴金属に再び注目することを意味しています」と続けています。
レディットでは、 投資家に銀の小売購入も促し、米国の主要なコインディーラーが週末の注文を停止したことで、アメリカンイーグル銀貨のスポット地金価格のプレミアムをトロイオンスあたり2ドルから5ドルに引き上げることになりました。
銀投資の急騰は、中国銀グループ(HKG: 0815)が香港での取引開始時に63%上昇させ、メキシコの銀鉱山会社フレスニージョ(LON: FRES)はロンドン取引で21%も上昇した後、その利益を半減させていました。
欧米の株式市場も全般的に上昇し、欧州株は平均で約1%上昇し、ニューヨーク市場は鉱業株に牽引されて0.3%上昇していました。
週末に発表された公式データによると、世界最大の金消費国で、春節前に金需要がピークにきている中国の製造業活動は、伸び率が鈍化していることが明らかとなっていました。