金市場ニュース

ニュースレター(2020年6月5日)予想を大きく上回る良好な米雇用統計で金は一月ぶりの低さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1680.48ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.79% 下げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.59ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から0.23%上昇しています。そして、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では814.35ドルと前週金曜日のLBMA価格から1.29%下落しています。

今週は、米国の警察官によるジョージ・フロイド氏暴行死による抗議デモの広がりの中で、経済活動再開による景気回復への期待がリスクオン基調を高めて、金は押し下げられていたところへ、金曜日の雇用統計が予想を上回る経済回復を示すこととなり、更に大きく下げることとなりました。それでは、日々の動きを追ってみましょう。

今週月曜日金価格は前週終値から0.7%上昇しトロイオンスあたり1741ドルで終えていました。この間、銀価格はトロイオンスあたり18.32ドルと2.5%上昇と金を上回るペースで上昇し、金銀比価が3ヶ月ぶりの低さへ下げてていました。

この背景は、経済活動再開で景気回復観測が工業用途が60%近い銀の需要の高まり観測を呼んでいること、そして安全資産需要の高まりで金需要が高まっていたことで、銀の割安感が増していたことが要因でした。

火曜日金相場は、経済活動再開期待とさらなる主要国の経済刺激策観測でリスクオン基調が高まり世界株価が上昇する中で、今週の上げ幅を失ってトロイオンスあたり1726ドルへ下げて終えていました。

水曜日金相場は、世界株価が前日に続き全般上昇し、主要米株価インデックスは3ヶ月ぶりの高さへ上げる中で、金相場は一月ぶりの低さのトロイオンスあたり1689ドルまで一時下げ、1700ドルを挟んでの攻防となっていました。

これは、同日発表された米ADP全国雇用者数が予想の875万人減を上回る276万人減であったこと、そして、ISM非製造業景況指数も経済の拡大と縮小の50を下回ったものの、予想の44を上回る45.4であったことなどで、経済活動再開で米景気が改善しているという見方が広がったことからでした。

また、トランプ大統領は先週の黒人暴行し事件を巡る抗議デモに対し、連邦軍の派遣を強行しないと伝えられたことも、市場センチメントをサポートしていました。

そのために、金は利益確定とともにリスクオンの流れに押され、安全資産と見られているドルと米国債とともに売却されていました。

木曜日金相場は、欧米株価が全般下げる中でトロイオンスあたり1718ドルと前日の下げ幅26ドルを緩やかに戻しつつ上昇していました。

金の上昇は前日の下げの反発ですが、同日欧州中央銀行が予想を上回る資産購入枠の拡大をしたこと、また、同日発表の米国の新規失業保険申請件数が予想の180万件を上回る187.7万件となっていた事で、今週の経済活動再開期待のリスクオン基調が後退したことが要因となりました。

なお、欧州中央銀行は資産買取枠を7500億ユーロから1兆3500億ユーロに拡大し、その時期も今年末から2021年6月まで延ばす追加緩和を発表していました。市場予想は5000億ユーロの拡大であったことからも、これを受けてイタリア国債10年物の利回りが大きく下げ、ドイツ国債との差が5月半ば以来に狭まり、ユーロも強含み、ドルインデックスも3ヶ月ぶりの低さへ下げたことも金をサポートすることとなりました。

本日金曜日は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が予想の800万人減少が、250.9万人増加と前回の2053.7万人減少から大幅に回復したことが明らかとなりました。また、失業率も19.8%予想を下回る13.3%と前回の14.7%も下回っていました。

この予想を上回る良好な数値で、米株価と米長期金利が上昇する中で、金価格はトロイオンスあたり1700ドルを割って、1680ドルまで大きく下げることとなりました。

その他の市場のニュ―ス


  • 今週ワールドゴールドカウンシルが発表したデータによると、先月5月の金ETFへの資金流入量により、年初から5ヶ月間の残高増加量が、過去最大となったとのこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週26日、金価格がトロイオンスあたり1700ドルを一時的に割ったように下げた際に、金以外の全ての貴金属で増加していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比14.06%減の463トンと昨年6月4日以来の低さへ減少していたこと。建玉は3月31日以来初めて100万枚を割っていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比25.8%増の4132トンと3週連続の増加で12週ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比15.44%増で21.18トンと5週連続で増加し、12週間ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比20.95%増の3.15トンと2週連続で増加したこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、木曜日に1.2トン(0.1%)を2週間ぶりに下げたものの、今週木曜日までで9.1トン(0.8%)増で1132トンと、2013年4月18日以来の規模で、11週連続の週間の増加となる模様であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で2.58トン(0.58%)増で444トンと過去最大となっていること。また、引き続き4月6日以来減少無し。そして、11週間連続の週間の上昇の傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、木曜日に-0.14%と2週間ぶりに下げたものの、今週木曜日までで週間で2.06%増加して、5週連続の週間で増加傾向であること。

  • 金銀比価は今週95-96台を推移し、ほぼ3ヶ月ぶりの低さ(銀割安傾向がやや解消)としていること。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のディスカウント(ロコ・ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)は、今週の平均が11.4と3月最終週以来最も低くなっていること。

  • コメックスの取引量は今週木曜日までの週平均量で前週比26%減少していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は本日の米雇用統計が市場を大きく動かしましたが、昨日欧州中央銀行が緩和規模を拡大したことも市場に影響を与えました。そこで、市場は来週火曜日と水曜日のFOMC終了後の政策金利発表でパウエル議長が米国経済をどのように見ているのか、マイナス金利等の新たな政策に触れることになるのか等に注目することとなります。

また、米中対立関係ニュースも市場は注視することとなります。

その他指標では、月曜日の日本の第1四半期GDPとドイツの鉱工業生産、火曜日のユーロ圏第1四半期GDP、水曜日の中国と米国の消費者物価指数、木曜日の米国卸売物価指数と新規失業保険申請件数、金曜日の英国とユーロ圏の鉱工業生産、米国のミシガン大学消費者態度指数となります。

ブリオンボールトニュース

今週は弊社が毎月まとめる金投資家インデックスの最新数値の5月データが発表されました。そのために、これについて次のメディアで取り上げていただきました。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週も英国は新型コロナウイルス感染関連、またロックダウン解除へのステップに関するニュースが広く伝えられています。

本日英国でのCovid-19による死者数が4万人を超えたことが伝えられています。これは、米国に次ぐ世界でも2番めの高さですが、米国の人口は約3億2900万人に対し、英国は6750万人と、5分の1程ですので、死亡率の高さが際立つこととなります。

しかし、英国の感染者数は明らかにピークアウトしており、ロックダウン解除に向けて、小学校の3学年が学校に戻る、屋外で同居していない人々が6人まで2メートルの間を空けて会うことができるなど小さなステップが踏み出されていますが、昨日公共交通網を利用する際にマスクのような口と鼻をカバーするものを着用することを義務付けると政府が発表したことが、大きく伝えられています。

これは、アジアの諸国のようにマスクをすることが日常的でないことからですが、義務付けをしないと人々はマスクをしないことは、日本人にとっては理解しがたいところがあります。

症状無くCovid-19に感染していた際に、他の人にうつさないためという説明を政府はしていますが、それを理解しても困難に感じる人々もいるようです。

欧州などでは、多くのファッションブランドがマスクを販売するなど、ファッショナブルになってきている感もありますので、その傾向が英国にも早く来ることを希望したいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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