金市場ニュース

ニュースレター(2020年3月19日)金価格はFOMC後の上昇分を戻したものの2週連続の上昇へ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1736ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.8%高で2週連続の上昇となっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり26.23ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から2.96%高と、やはり2週連続の上昇となっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では1172ドルと前週LBMA価格から1.2%安と下げています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週貴金属相場は、水曜日のFOMCの金融政策発表を待つ中で狭いレンジで動き、発表後に大きく動くこととなりました。それは、発表された金利予想において、2023年中の利上げが無いということが明らかとなり、金利を産まない貴金属を押し上げたことからでした。

しかし、パウエルFRB議長のインフレに対するコメントが、静観するというものであったことから、景気回復によるインフレをコントロールするために2022年には利上げをせざるを得ないかもしれないという観測も広がり、長期金利が再び上昇しており、それに合わせてドルが強含み、金の上値を抑えています。本日も金と長期金利のチャートを下記に添付します。

昨年から今年にかけて明確に逆相関関係であることがご覧いただけます。

金と米長期金利の推移 出典元:セントルイス連銀

この間、工業用途が60%に近い銀は金を上回る上げ幅を見せており、プラチナは前週の上げ幅が6%近くと大きかったことからも前週末比下げて今週終えることになりそうです。

日々の金相場の動きと背景について

週明け月曜日金相場は米追加経済対策が施行されインフレ懸念からも緩やかに上昇し、トロイオンスあたり1730ドルで終えていました。

この間、長期金利は高止まりしていたことからも、上値は抑えられていました。

また、前週末発表のコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のロングポジションは6週連続で22ヶ月で最も低い水準に下げている市場センチメントも金を抑えているようでした。

火曜日金相場は、翌日のFOMCの結果とパウエル議長の記者会見を待つ中で、トロイオンスあたり1732ドルと前日終値から多少上昇して終えていました。

同日はロンドン時間午後に一時1740ドルを超える上昇をしましたが、これは午後に発表された米小売売上高と鉱工業生産が共に予想を大きく下回ったことで長期金利が下げた動きに反応したことからでした。

水曜日も金相場は同日夜のFOMCを待つ中で狭いレンジでの取引で推移していましたが、発表とともに、トロイオンスあたり1750ドルを超えて20ドル近く上昇していました。

これはFOMCの声明で、今年の経済成長は6.5%と前回12月の4.2%から上方修正していましたが、政策金利見通しで2023年いっぱい利上げ無しということが金を大きく押し上げることとなりました。

木曜日金相場は、ロンドン時間昼過ぎに長期金利が一年以上ぶりの高さへと急騰したことから、前日の上昇分を失ってトロイオンスあたり1730ドルで終えていました。

長期金利が一時的に1.75%へ上昇した背景は、前夜のFOMC後のパウエルFRB議長の記者会見で、インフレが加速しても一時的と静観する構えも見せたことから、景気回復によるインフレ観測が広がり、その結果2022年中に利上げを迫られるとの見方も広がったことからでした。

本日金曜日は、一時トロイオンスあたり1745ドルまで上昇後、多少上げ幅を戻して推移しています。

本日FRBは新型コロナウイルスに対応して導入した銀行の資本規制の緩和を3月末以降延長しないと発表したことで、金融株が売られて景気敏感株にも利益確定売りが出ていたことで、金が押し上げられていた模様です。

しかし、その後米長期金利が再び上昇に転じたことで上げ幅を戻して1740ドル前後で推移しています。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日9日に、前日再び米長期金利が1年ぶりの高さへ上昇し金相場が大きく下げた水準から戻す中で、全ての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、28%減の130トンと、引き続き米中貿易摩擦時の2019年5月末以来の低さであったこと。建玉は昨年9月末から100万枚を下回っていること。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比12%減の4,304トンと引き続き8月11日以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.18%減の13.4トンと13週間連続で減少し、引き続き昨年11月17日週以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比18%減で4.3トンと減少していたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で3.8トン(0.36%)減で1048トンと昨年4月末以来の低さで、10週連続の下げの傾向。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で2.16トン(0.43%)減で504トンと昨年8月末以来の低さで、9週連続の減少傾向。また、1月19日以来増加していないこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週は週間で78トン(0.42%)減で18,349トンと6週連続の減少傾向であること。

  • 金銀比価は、今週は66台を推移していたこと。

  • 上海黄金交易所(SGE)の価格は、ロンドン価格に対しプレミアム(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)で、今週の平均は9と先週の11.6から下げていたこと。

  • コメックスの金、銀、プラチナの週間平均取引量は、昨日価格が長期金利の急騰で下げたことから増加していたものの、FOMCを待つ中でレンジ内で動いていたことからも、全て週間では減少していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は中央銀行の金融政策が立て続けに発表され、一昨日のFOMCの結果とパウエルFRB議長の発言を受けて、経済回復とインフレ観測が広がり長期金利が急騰していますが、来週も長期金利の動き、それに影響を与える可能性のある水曜日の主要国の製造業及びサービス部門のPMI、金曜日の米個人消費支出関連データ等は注目となります。

また、月曜日と水曜日に予定されているパウエルFRB議長の発言も重要となります。

それでは、来週の指標の詳細は主要経済指標(2021年3月22日~26日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週は英国ではアストラゼネカ社のワクチンがEU主要諸国で血栓の副作用がある可能性があるとして接種が中断されたことが大きく伝えられ、昨日は欧州医薬品庁(EMA)が「安全で有効」と結論づけたことで、接種が再開されることついても伝えられています。

そこで、私は先週アストラゼネカの接種を受けたこともあり、副反応についても含めてお伝えしたいと思います。

まず、EU加盟13カ国が接種を中断した背景は、血栓の副作用が理由でしたが、アストラゼネカによると、EUと英国で接種を受けた1700万人以上のうち37件の血栓の報告を受けていたとのこと。

そして、この数は自然発生が予想される血栓よりも遥かに少ない水準で、他の使用が許されているワクチンと同程度であったとのこと。

遡ると2月にEUはアストラゼネカのワクチン供給量が契約の半分より少なくなることが伝えられ強く反発していました。その後科学的根拠がまったくない中で、アストラゼネカワクチンは65歳以上には効果がないとフランスのマクロン大統領がコメントし、EU諸国内で65歳以上の人々への接種を一時見送るなど、同社との関係は悪化していたようです。

今回ドイツ、フランス、イタリアを含む欧州諸国がワクチン接種中断をしている間も、英国の変異種が欧州では広がり、フランスはパリ首都圏を含む15地域で20日午前0時からロックダウンに入り、イタリアの半数以上の地域は今週月曜日からすでに入っています。

本来はワクチン接種の普及でロックダウン解除に導きたいところですが、今回のワクチン中断は欧州の人々のワクチンへの不信感を高めることになったようで残念なことです。

ちなみに、英国でのワクチン接種はすでに2500万人が少なくとも一回目を受けており、18歳以上の人口の50%に近い数値と高いものがあります。そして、接種が行える人々の接種率は80%を超えているとのこと。

私自身のアストラゼネカ接種後の副反応は、12時間後に比較的高い熱がでで、その後微熱が2日続いたというものですが、ほぼ一般的な水準ではあるようです。ファイザーのワクチンが1回目よりも2回め副反応が強いのに対し、アストラゼネカは2回目は一般的には副反応は1回目ほどではないと伝えられており、また5月に接種後にその経験をここでご報告させていただきます。

英国のCovid-19の実効再生産数(R)値は、0.6~0.9(1である場合1人の感染者が1人に感染させる)と下がってきていますが、未だ油断はできなのは確かです。7月中には18歳以上の成人への接種が終わる予定とのことですので、もうしばらく気をつけて過ごしたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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