金価格ディリーレポート(2020年3月15日)金価格はFOMCを前にバイデン追加経済対策のインフレ懸念から上昇 2021年3月15日 月曜日 17:58 インフレ懸念が金を動かし始めたようです。 米国の追加経済対策が可決したことでインフレ懸念を煽り、月曜日ロンドン昼過ぎに金は上昇していました。その間、最新のデータによるとヘッジファンドが強気のポジションを22ヶ月ぶりの低い水準へ縮小させていたことも明らかとなっていました。 金のスポット価格は0.2%増の1730ドルと、先週の1.7%増に続き上昇していました。しかし、金は年初からは9%下落しています。 この間米国通貨の他の主要6通貨との相対的な価値を指数化したドル・インデックスは、先週金曜日の安値から強含み0.1%上昇していました。 10年物米国債は価格が上昇し、新規購入者に提供する利回りは先週の1年ぶりの高値である1.63%から低下しましたが、この基準金利は2021年の開始時点から約70ベーシスポイント上昇しています。 インフレ連動債とのイールドギャップに基づいて、消費者物価の年間上昇に対する市場の期待値を示す10年債のブレークイーブンレートは、金曜日に2.30%を超え、2014年初頭以来の水準となっていました。 コメルツ銀行AGのアナリスト、カーステン・フリッチ氏は「COVID-19ワクチン普及の広がりから、伝統的な安全資産に対する投資家の関心が薄れているが、バイデン氏の経済パッケージは長期的には 金に大きな追い風となる可能性がある」と述べています。 2011年から2016年までの半世紀の間に、米ドル建ての金価格は、60ヶ月のうち34ヶ月で10年TIPS利回りと逆方向に進みました。これは、 ブリオンボールトの調査によれば、この期間の56.7%に相当します。 「バイデン政権の1.9兆ドルの追加経済政策も下院を通過し、正式に成立し、財政赤字の拡大、そしてインフレ懸念の増大もゴールドにとってはサポート要因になっています。」と、ブリオンバンクのICBCスタンダードの元東京支店長で、現在は 日本貴金属マーケット協会(JBMA)の代表理事である池水雄一氏が最新のレポートで述べています。 インフレリスクに対する問いにイエレン米財務長官は、日曜日の インタビューで、「小さなリスクはあると思うが、管理可能だと思う」と述べていました。 そして、元FRB(米連邦準備制度理事会)議長でもあるイエレン氏は、「もしそれが現実のものとなれば、私たちは確かにそれを監視しますが、私たちはそれに対処する手段を持っています」と続けました。 投資家は、今週火曜日と水曜日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の結果を待っています。その後、木曜日にはイングランド銀行、金曜日には日本銀行の会合が予定されています。 最新のデータによると、コメックス金先物・オプションのヘッジファンドなどのレバレッジの効いた投機家は、3月9日までの週に、金全体に対する強気ポジションを6週連続で減らして2019年4月以来の最小値とし、弱気のポジションを増やして2019年5月以来の最大値としていました。 そのために、全体としては資金運用業者のネットロングポジションは21ヶ月ぶりの低さへと下げていました。 一方ブレント原油価格は、本日中国国家統計局が発表したデータによると、中国の2021年1~2月の鉱工業生産と小売売上高が予想を上回るように急増したことから、月曜日の朝に1バレルあたり69ドルを超えていました。 そして、主に工業用金属である銀の価格も月曜日の朝、1%上昇してトロイオンスあたり26.20ドルとなり、先週の2.8%の上昇を拡大し、年初来の下落幅を1.7%に縮小しました。 工業用需要が3分の2を占めるプラチナは、1.1%上昇してトロイオンスあたり1221ドルとなり、先週の6.8%上昇に加えて、年初来では14.2%の上昇となっていました。 2020年のプラチナ供給量は、需要に対して100万オンスの記録的な不足となったと、鉱山会社が支援する世界プラチナ投資協議会が先週木曜日に発表した 最新データレポートで述べていました。 また株式市場では、ドイツの与党であるキリスト教民主党(CDU)が日曜日に行われた2つの州の選挙で大敗したことを受けて、ストックス600指数が月曜日の朝、1年ぶりの高値を記録していました。 CDUの票は、メルケル首相の連邦政府のコロナウイルスワクチンの導入ペースの遅さやマスクの調達スキャンダルなどで不満を抱えている中での不振であるとのこと。 世論調査によると、CDU支持率は、コロナウイルスのパンデミックに対するドイツの初期対応が評価されていた昨年6月の40%から、今月は約33%にまで落ち込んでいました。 オランダは本日、副作用の懸念からオックスフォード大学とアストラゼネカ社のコロナウイルス・ワクチンの使用を中止しました。これにより、アイルランド、ノルウェー、デンマーク、ブルガリア、アイスランド、コンゴ民主共和国を含む7カ国が、アストラゼネカ社製ワクチンの接種を全面的に停止しています。 世界保健機関(WHO)と欧州医薬品庁(European Medicines Agency)は、このワクチンと副作用と懸念されている血栓の報告との間に 関連性を示すものはないとしています。