金市場ニュース

ニュースレター(2020年3月13日)コロナショックで株価が暴落する中、金相場も7年来の下げ幅に

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1563.10ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から7.2% 下げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.68ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から10%下げています。そして、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では763.65ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から14.7%下げています。

今週も新型コロナウイルス感染拡大とそれによる経済への悪影響の懸念の高まりが「コロナショック」となって金融市場を揺るがし、一部世界株価が過去最大、多くの株価は世界金融危機を超えてブラックマンデー以来の下げを見せる中で、金市場はマージンコールなどもあり現金化が進み大きく売り込まれて、年初来の上げ幅を全て失い、7年ぶりの週間の下げ幅となる動きをしています。それでは、日々のニュースと動きを追ってみましょう。

月曜日金相場は、ドル建てで再び7年ぶりの高さの1700ドルを超えることとなりました。これは、新型コロナウイルスのさらなる拡大への懸念と原油価格の暴落で株価が急落したことからですが、その後再びテクニカルの利益確定とマージンコールの売却でその上げ幅を失うこととなりました。

原油価格の一時30%を超える暴落は、前週行われたOPEC+(石油輸出国機構とロシアなどのOPEC以外の産油国)で、新型肺炎感染拡大で需要が減少し原油価格が下落していることからもサウジアラビアが率いるOPECが提案した協調減産体制にロシアが合意をしなかったことで、サウジアラビアとロシアの対立が深まり、市場シェアを奪い合う産出量を増加させて価格を下げる方向へ転換したことが要因となりました。

この金価格の急激な上げの際とともに、工業用途の高い銀とプラチナも大きく下げたことから、金銀比価が史上最高値を一時付けていました。

火曜日金相場は金融市場が前日の暴落から落ち着きを多少取り戻す中で、トロイオンスあたり1657ドルで終えていました。

これは、前夜トランプ大統領が新型コロナウイルスによる景気下振れに備え、給与減税などの経済対策を同日発表すると述べたことで、株価が戻していたことからでした。

また、前日下げた原油価格も同日上昇をしたことも投資家心理を改善し、前日歴史的低さへ下げた米国債も10年物利回りが史上最低値の0.398%から0.632%へと上昇していました。

そして、前日金融危機以来最も高い水準へ上げていた恐怖指数とも呼ばれるVIXは、62.12から52.16まで下げていました。

しかし、米国債利回り及びVIXの水準は平常時には至らない水準ですので、市場の緊張感は続いていました。

水曜日金相場は、世界株価が下げる中でトロイオンスあたり1647ドルへと下げていました。

同日はロンドン時間午前7時にイングランド銀行が0.5%の緊急利下げを行い、英国の政策金利は0.25%と世界金融危機時の最低水準とされていました。

そして前夜トランプ政権が減税などの対策も発表していたことから、先のニュースで英国株が上げ、英国ポンドも上昇していましたが、トランプ政権の対策に具体的な中身がなかったことや米議会審議を必要とするものに関しては実施に時間がかかることも懸念され、実現の不透明さから米株価が下げることで、他の市場も上げ幅を失って下げることとなりました。

また、同日メルケル独首相が「全人口の6~7割感染」と語り、ロンドン時間午後には世界保健機構(WHO)が新型コロナウイルス感染拡大を世界的な大流行(パンデミック)に相当すると表明したことも伝えれ、市場のセンチメントが悪化したことで、再び全ての資産のCash out(現金化)も進むこととなりました。

なお、同日米国債10年物の利回りが0.8%と上昇していました、これもまた、売れるものはすべて売るという現金化と分析されていました。

木曜日金相場はトロイオンスあたり1579ドルと前日から4%を超えて下げることとなりました。

これは、世界株価が大幅に下げる中でマージンコールもあり金も現金化が進み、下げが下げを呼ぶことになったことからでした。

この株価の下げは、前夜のトランプ大統領の英国を除く欧州からの入国を禁止するというコメント、また同日のECBの政策金利発表などからも、主要国政府の政策、また主要中央銀行の金融政策に限界があるという見方が広がっていることからのようです。

同日ECBは量的緩和政策では年末までに1200億ユーロ(約14兆円)の資産を追加購入すると決めたものの、すでにECBの政策金利(中銀預金金利)はすでにマイナス0.5%と低く、利下げ余地は限られていることからも政策金利を据え置くことを決めたことは、市場にとっては限界を見ることとなり、株価の急落を進めることとなりました。

なお、同日のダウ工業株30種平均の下げ幅は、リーマンショックを上回り、ブラックマンデー以来の幅となりました。欧州主要600社で構成する「ストックス600」11.5%下げで過去最大、英国のFTSE100も10.9%安で過去最大の下げ幅をつけていました。

このような中、恐怖指数のVIXは76.83を超えて上昇し、世界金融危機の89.53以来の高さとなっていました。

本日金曜日の金相場は、前日の暴落から世界株価が上昇で始まり、その上げ幅を多少失いながらもほぼプラス圏で終える中で、トロイオンスあたり1523ドルと前週末比9%と7年ぶりの週間の下げ幅で、年初からの上げ幅を全て失っています。

株価上昇の背景は、世界的に中央銀行が金融緩和を次々と発表したことが好感されたことからでした。それは、FRBが短期金融市場への資金供給の拡大と毎月の米国債購入も短期国債から中長期国債へと広げると発表したこと。そして、中国人民銀行も本日預金準備率を下げると発表し、ノルウェー中央銀行も政策金利を0.5%下げ、日銀も来週の政策決定会合でコマーシャルペーパーと社債の購入も増やす検討に入ったことが伝えられたことからでした。

また、トランプ大統領と犬猿の仲のペロシ下院議長がトランプ政権と経済対策の合意に近いことを示唆したこともプラスとなっている模様です。

しかし、本日世界保健機構(WHO)は、欧州が新型コロナウイルスの震源地と述べたことからも、慎重な動きをしています。

ちなみに、本日安全資産と見られている日本円、米国債も売られて、日本円は対ドル107円と円安、10年物国債価格は下げて利回りは0.915%へ上昇しています。

その他の市場のニュ―ス


  • パラジウムが史上最大の週間の下げ幅の20%を超えたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週3日にFRBが緊急利下げを行った際に、全ての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比5.72%減の835.7トンと3週間連続で増加後初めて減少したこと。建玉は9月24日以来の高さで、100万を超える水準を12月17日以来継続していること。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比50.8%減の4,814トンへと2017年9月17日以来の高さから2週連続で減少していたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比52.5%減の25.3トンと5週連続で減少して10月22日以来の低さへと下げていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比10%減の12.7トンと9週連続で下げて2018年8月28日の低さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、木曜日までで週間で11.4トン減少し、8週連続で週間で上昇後初めて週間の下げとなる方向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で6.35トン(1.64%)増で390トンへと5営業日連続で上昇し、史上最高値を再び更新していたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で0.44%減少していたこと。

  • 金銀比価は今週月曜日に99.30へと29年ぶりの高さへ上昇しその後97へと下げたものの、昨日99へ上昇し本日午前中には100を超えて過去2番め(1991年2月25日以来)の銀割安が進んでいること。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のプレミアムは、今週平均が-6.88と少なくとも昨年8月以来2度めのマイナス値で最も低い数値となっていること。

  • コメックスの取引量は今週木曜日までの週平均量で前週比6%増加していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も新型コロナウイルス感染拡大対策としてトランプ大統領が昨夜英国を除く欧州からの入国禁止を受けて欧州株価が一時7%の下げを見せるなど、ボラティリティが高まっていますが、来週も同様に感染拡大、その財政や金融を含む対応策に市場は注目することとなります。

また、今週ECBの政策金利及び金融政策が発表されましたが、来週は米政策金利を含む金融政策を発表するのFOMCの発表が水曜日、日銀政策金利発表が木曜日、中国人民銀行が金曜日と主要中央銀行の政策が軒並み発表され、これらもまた重要となります。

FRBはすでに緊急利下げ0.5%を行っていますが、市場はさらなる利下げを予想していますので、その幅がどの様になるのかなどが注目されます。

その他、月曜日には中国の小売売上高と鉱工業生産、米国のニューヨーク連銀製造業景気指数、火曜日の日本の鉱工業生産、英国の失業率と失業保険申請件数、ドイツをユーロ圏のZEW景況感調査、米国の小売売上高と鉱工業生産、水曜日のユーロ圏と日本のの消費者物価指数、木曜日の米国の新規失業保険申請件数トフィラデルフィア連銀製造業景気指数などとなります。

ブリオンボールトニュース

今週は株価が「コロナショック」で軒並み世界金融危機、もしくはブラックマンデー以来の下げを見せたことからも、弊社のデータ及びリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが主要メディアで取り上げられています。

英国タブロイド紙エクスプレスが「株価の急落に備えて金購入に走ることへの警告」という記事で、多くの投資家が金を購入していることを伝え、金価格も下落の可能性はあるとした上で、ブリオンボールトにおいて顧客が100万ポンド(1億3500万円)相当の金をスマートフォンで購入したことを紹介しています。

英国主要経済サイトのThis is Moneyの「新型コロナウイルス危機は金価格を7年ぶりの高水準の1700ドルから2000ドルへ押し上げるか?」の記事でブリオンボールトのデータとリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュの下記のコメントが取り上げられています。

「金は富を蓄える以外の用途は少ないが、この用途として多くの文化で年齢層に関わらず利用されている。天然資源としては投資家がこの用途で利用できる唯一のものだ。

ブリオンボールトにおいて過去一週間では取引量は、年間平均量から102%増となっており、その金・銀・プラチナ地金取引量評価額は3820万ポンド(51億円)を超えている。」

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

 ロンドン便り

今週英国では新型コロナウイルス関連ニュース一色となっており、今週WHOが新型コロナウイルス感染拡大がパンデミック(世界各地で同時多発的に病気が流行する状態)と述べた翌日の12日にボリス・ジョンソン首相が専門家とともに危機管理委員会(通称コブラミーティング)を行い、その対策を発表したことも大きく伝えられていました。

そこで、私自身もコブラミーティングの名前の由来を知らなかったのでご紹介しましょう。

これは、内閣府ブリーフィングルーム(Cabinet Office Briefing Rooms)の略でCOBR(コブラ)、そしてこの部屋のAルームを使っていたことでCOBRAとなったとのこと。

最初のコブラミーティングは、1970年代に炭鉱労働者ストライキへの対応を話し合うためであったとのこと。その後、1980年の駐英イラン大使館占領事件や2001年アメリが同時多発テロ事件や2007年ロンドン同時爆破事件、そして直近では2017年のウェストミンスター橋やマンチェスターで発生したテロ事件とのこと。

なお、米国の同様の施設はシチュエーションルームと呼ばれているとのことです。

本日は、5月予定のロンドン市長選とロンドン市議選が来年へ延期されたこと、エリザベス女王が公務を新型コロナウイルスへの感染懸念から延期したこと、ロンドンマラソンが4月から10月へと延期されたこと、さらにプレミアリーグも試合を4月初めまでは延期としたことなどが伝えられています。

昨日ボリス・ジョンソン首相は記者会見で「(新型コロナウイルスは)さらなる広がりを見せるでしょう。そして、英国民に正直に伝えたい。多くの家族はその愛する人をこのために失うことになるだろう。」と今後の政府の対策を伝えて人々に協力を求めた上で、警告をしています。「いまだかつて経験したことの無い事態」とも語るジョンソン首相の様子は、いつもの楽観的すぎるとも見える明るさはまったくない真剣なものでした。

一人ひとりがすべき手を洗い感染拡散を防ぐこと、感染の可能性がある場合は人との接触を防ぎ外に出ないことなどを私も忠実に守り、一日も早い世界の新型コロナウイルス感染収束を祈りたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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