【金投資家インデックス】金取引量が新型ウイルス危機で金投資が急増し年間平均を173%上回る
ユーロ圏からの顧客に牽引される中、英国の顧客はスマートフォーンで100万ポンドの金を購入していました。
金取引量は、2月に新型コロナウイルス感染の世界的拡大で株式市場急落し金価格が上昇する中で、投資が進んだことで大きく急増していました。
PCサイトとスマートフォンアプリでの取引量は、ドナルド・トランプ氏が大統領に選出された2016年11月以来の高さに増加していました。そこで、ブリオンボールトを利用する顧客が保有し、顧客が選択した保管場所のロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、トロント、シンガポールで貯蔵されている金地金の総量が、史上最高値の19億ポンドへと達していました。
2005年4月に設立され、2008年以来世界最大のオンライン地金市場を一般投資家へ提供するブリオンボールトは、投資家が24時間移動中にも取引できるようにAndroidとiPhone向け公式アプリを2012年から提供しています。
そして記録的な金取引量となった先月は、一人の英国在住顧客がそのスマートフォンアプリでほぼ100万ポンドの過去最大量の一つの注文を入れていました。
この注文では、Androidのアプリを利用して顧客は23キロ(747トロイオンス)を超える金地金を949,967ポンド(1億4400万円)で購入していました。
ここで支払われた取引手数料は1,022ポンド(約154,000円)でした。
この取引は、ブリオンボールトにおいて2017年6月にスマートフォンで購入された過去最大の695,845ユーロの金地金の記録を更新したものの、2019年7月に売却された140万ドルの規模には及びませんでした。
世界で8万人近い一般投資家によって使われているオンラインプラットフォームでは、2月最終週に一日平均で740万ポンド(11億円)の金と銀とプラチナが取引をされていました。これは、過去12ヶ月の平均を173.2%上回るものとなります。
MSCIワールドインデックスが8.6%下げ、2012年5月以来の最大の一ヶ月の下げ幅を見せる中で、金価格はドル建てで1.6%上げ、7年ぶりの高さへと3ヶ月連続で上昇していました。この間日本円建てでは1.7%の上昇で40年ぶりの高さ、ユーロ建てとポンド建てではそれぞれ2.5%と4.2%上げの史上最高値を記録していました。
2月の価格の上昇にも関わらず、ブリオンボールトを利用する一般投資家で月間で購入量が売却量を上回ったユーザー数は前月比15.7%増加し、売却量が購入量を上回ったユーザー数は2.4%減少していました。
そこで、実際に取引されたデータをもとに算出されている金投資家インデックスは1月の6ヶ月ぶりの低値の53.5から上昇し55.1となっていました。
金投資家インデックスは50であった場合、その月の購入が売却を上回った顧客数と売却が購入を上回った顧客数が完璧に一致したこととなります。そして、この数値は2011年9月の71.7が最高値で昨年6月の49.1が最低値となっていました。
1月の顧客による利益確定後に、一般投資家の金の需要は価格の上昇とともに増加していました。
これは昨年夏に世界経済の見通しへの懸念から強気市場となっていた際と同様の動きです。
Covid-19危機は、この感染の広がりが世界景気停滞を起こすことへの懸念を高めて、金市場への資金の流入を起こしています。そのために、株価やハイリスク通貨や低格付債務が売却されているのです。
金は中央銀行が利下げを行い金融緩和を拡大して資産購入をすすめることで、更に魅力を増すこととなるでしょう。それは、例え大規模な金融緩和政策を導入したとしても、中国で行われている検疫目的の人の移動の禁止や工場及び企業の閉鎖による経済への悪影響を直ちに改善させるものではないからです。しかし、これらの政策は貯蓄者がすでに被っているマイナス金利や利息減少を更に悪化させるものとなります。
そのような中でブリオンボールトの2月の新規顧客数は、マイナス金利がより広く銀行口座に適用されてきているユーロ圏からの顧客に牽引されて過去60ヶ月の平均を32.9%上回っていました。
そして、このユーロ圏19カ国からの新規顧客数は、2015年から2020年の月間平均を87.1%上回っていました。
銀価格が2月最終週に6ヶ月ぶりの低さに下げたものの、先月は月間平均で5%上昇していたことからも、月間で銀を売却した量が購入量を上回っていた顧客数は昨年8月以来の高さとなり、前月比10%増となっていました。
しかし、銀購入量が売却量を上回った顧客数も27.7%増と6ヶ月ぶりの高さへと増加していたことからも、銀投資家インデックスは1月の52.6を上回る54.7となっていました。
ブリオンボールトにおける銀需要は重量においても高く、前月比3.9トン増で総量を833.4トンと9度目の史上最高値更新となっていました。
それに対し金の需要も重量において85キロ増で、前月の利益確定による売却量の3分の1を取り戻し、39.1トンとなっていました。これは、昨年12月の史上最高値からは0.4%減となります。
そして、プラチナは2月に月間で70キロ増加していたことから、総量で0.9トンとなっていました。そこで、これらの地金の評価額を総合すると、25億ドル(2730億円)となっていました。