金価格ディリーレポート(2020年3月9日)新コロナウイルスパニックと原油価格暴落で株価と国債利回り急落で金銀比価が史上最高値の100を超える
金銀比価が史上最高値の100を超えました。
金価格が、新型コロナウイルスのさらなる広がりへの懸念でトロイオンスあたり1700ドルを月曜日午前中の超えた際に、工業用途の高い銀の価格は世界の株式市場や主要国債利回りと共に下げていました。
アジア市場が月曜日の開けとともに10%下げた際に、金銀比価は1992年2月に達した史上最高値の100を一時超えて上昇していました。その後欧州株価もまた市場始まりとともに下落していました。
ニューヨークの取引は、取引開始後4分でS&P500種が7%下げたことで、全ての株式売買を一時中断する措置(サーキットブレーカー)が発動されていました。
原油価格は、すでに新型コロナウイルスによる需要の減少で価格がさげていたところに、金曜日にロシアがサウジアラビア率いるOPEC加盟国の追加減産に同意せず、OPEC+の協調減産体制が崩壊したことで、金曜日の終値から30%を超えて暴落していました。
需要の3分の2が排ガス浄化触媒が主とする工業用途であるプラチナ価格は、先週終値から3.9%下げて2月の6ヶ月ぶりの低さのトロイオンスあたり850ドルへと近づいていました。
そして、年間需要のうち工業用途が60%近くを占める銀においては3.2%下げて、トロイオンスあたり17ドルを割り、為替市場でドルが下げていたにもかかわらずドル建て価格が昨年8月以来の低さへと下げていました。
金銀比価は過去50年間で平均58を付けていました。そして、1980年代と1990年代の景気停滞時に高値を付け、2008年から2009年の世界金融危機時には84台を付けていました。
投資家が安全資産として、主要国債を購入したことからも、米国債の利回りは30年物を含めて全てで1%を割るという歴史上初めての状況が起こっていました。
米連邦準備理事会(FRB)は3日に臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%下げていますが、来週行われるFOMCではすでに市場は0.75%の利下げで0金利とすることをを織り込んでいることが、CMEのFEDWatchツールで明らかになっています。
また、先週土曜日に発表された中国の貿易関連データでは、輸出額は前年同期比17.2%減、輸入額は同4%減でした。そして新型ウイルスの経済への打撃もあり、中国の貿易赤字は71億ドル(約7500億円)に上り、2年ぶりの赤字となっていました。
世界第3位の経済規模を持つ日本の第4四半期の国内総生産(GDP)は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前に、年率換算で7.1%減ト速報値6.3%減から下方修正となっていました。
通常安全資産として見られている日本円は、対ドル3%強含み3年ぶりの高さとなり、日経株価指数が14ヶ月ぶりの低さへと下げていました。
金のドル建て価格は7円ぶりの高さから2.6%下げたものの、その後再び上昇し、先週終値から変わらずトロイオンスあたり1670ドルをロンドン昼過ぎに推移していました。
それに対しユーロ建て金相場は、今週のECBの政策金利発表での利下げが、すでに下げ幅が少ない-0.5%であることからも、ユーロが対ドル13ヶ月ぶりに強含んでいるために、同時期に0.1%下げていました。この間イタリアは新型コロナウイルスの感染拡大からも人口の4分の1のイタリア北部を封鎖することを決め、ドイツは1000人を超える集会を禁止していました。
英国ポンド建て金相場は、ポンドが対ドル先週比5セント強含んだことからも、トロイオンスあたり1300ポンドを試したものの、0.6%下げて1270ポンドへと一時下落していました。