金市場ニュース

ニュースレター(2020年11月13日)新型コロナワクチンニュースで長期金利が急騰し金価格は7年ぶりの下げ幅を記録

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1891.17ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.56%安と下げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり24.26ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から5.90%下げています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では897.02ドルと前週金曜日のLBMA価格から1.53%下げています。

今週は月曜日の米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同で開発を進める新型コロナウィルスワクチンの臨床試験で感染防止効果が90%以上とのニュースがリスクオンを進めて、株価と長期金利を大きく押上げ、金を急落させて、その後は狭いレンジでの動きとなっています。そこで、この急落を含む金融市場を動かしたイベントとともに日々の金市場の動きを追ってみましょう。

月曜日金相場は、週末にバイデン氏が次期大統領と伝えられ株価が上昇する中で、トロイオンスあたり1965ドルまで上昇していました。その後ロンドン昼過ぎに、ファイザー社とビオンテック社のワクチンのニュースで、リスクオン基調が高まり景気敏感株を中心に株価が更に上昇し、米国債が売られて長期金利が3月末以来の高さへ急騰し、金は一時1850ドルまで100ドルを超えて急落し、前週の3.2%の上げ幅を失って更に下げ、終値ベースで4%の下げの7年ぶりの大幅な下げとなりました。

なお、長期金利の上昇は金利を生み出さない金にとってはネガティブ要因となります。

翌火曜日は、前日の急落から多少反発したものの、トロイオンスあたり1878ドルで終えていました。これは、前日上昇していたドルインデックスと米長期金利が多少下げた事に反応したものでしたが、株価市場は米株価指数のナスダックがEUがアマゾンへ独占禁止法違反警告を出したことで下げていたものの、ワクチンニュースのリスクオンは続き株価全般上昇していることが、金の頭を抑えていました。

水曜日は、株価が引き続きリスクオンの中で、金相場は前日の上げ幅を失いながらも、トロイオンスあたり1865ドルで終えていました。この株価上昇の背景は、米製薬大手のファイザーがEUとコロナワクチンの最大3億回分の供給契約を結んだと発表したこと、また同業のイーライ・リリーもコロナ後退治療薬で米食品医薬品局から緊急使用許可を受けたことが伝えられたことが背景でした。

なお、同日はECBフォーラムでラガルド総裁が、12月の次回理事会で検討する追加金融緩和について、大規模な資産購入と銀行への低利融資が「調整の主な手段になるだろう」と述べたことが伝えられ、ユーロが対ドル弱含んだことも、金を押し下げる要因となりました。

木曜日は、欧米のCovid-19感染者数増加への警戒感で、長期金利が下げて金相場は多少ながらトロイオンスああたり1877ドルへ上昇して終えていました。

同日の動きは、米国では感染者数が10万人を上回る状態が続いている中、バイデン次期大統領のアドバイザーがロックダウンの可能性に触れたことが伝えられたことが要因とされていました。

金曜日金相場は、米株価指数が良好な決算結果等で上昇する中、ニューヨーク市が感染拡大から学校閉鎖を来週月曜日から行う可能性が伝えられており、ドルが多少弱含む中で前日比緩やかに上昇しトロイオンスあたり1888ドル前後を推移しています。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週3日米国選挙結果発表前に、全ての貴金属で減少していたこと

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比7.34%減の379トンへ2週連続で減少していたこと。また、建玉は6週連続で100万枚を割っていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.8%減の6446トンと7月21日以来の高さから2週ぶりの減少となっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットショートへと一週間のネットロング後再び切り替わっていたこと。これは、前週比151%減で0.5トン。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比23%減で9.84トンと、2週連続の減少で8月25日以来の低い水準。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で20.7トン(1.7%)減で1240トンと週間の減少傾向であること。そこで、8月の史上最高値以来の15週間で10週の週間の下げとなる傾向。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で0.57トン(0.11%)減で530トンと週間で減少の傾向で、3月の金価格急落以来初めての週間の下げの傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週73.75トン(0.41%)減で17,709トンと週間の下げの傾向で、8月の7年ぶりの高値以来15週間で10度目の週間の下げの傾向であること。

  • 金銀比価は、月曜日に77台後半になったものの、週後半は安定して77台前半を推移していたこと。

  • 上海黄金交易所(SGE)のディスカウント(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)の週平均は上海金価格が9月以来の低さとなる中で、22.82と6月24日以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスの金取引量は、今週月曜日に金価格がコロナワクチンのニュースで急落する中、3月の先物価格と現物価格の差が70ドルへ広がった際以来の高さとなり、6週間ぶりの高さで、前週比33%増であったこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は新型コロナウィルスのワクチンのニュースで市場が大きく反応しました。そこで、来週以降もワクチン及び感染拡大などのニュースは重要となります。

また、米国大統領選挙結果関連と追加経済対策関連ニュースへも市場は注目することとなります。

その他経済指標においては、月曜日に中国の小売売上高や鉱工業生産、米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、火曜日に米国小売売上高や鉱工業生産等、水曜日に英国とユーロ圏の消費者物価指数等が発表されますが、詳細は主要経済指標(2020年11月16日~20日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の金価格急落後の金市場を解説する米国主要経済サイトMarketWatchの「金価格が7年ぶりの急激な下げ後に上昇」の記事で弊社リサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここで、エィドリアンは「月曜日のワクチンのニュースはトンネルの先の光を見せるものだった。」としたものの、「(この下げ幅は)やりすぎ感がある」と述べ、「月曜日のワクチンニュースによる経済回復への自信は継続高まるかもしれない。しかし、これは今後の経済の低い成長率や、主要国政府の財政赤字の悪化、超緩和的な金融政策という長期的な見通しを変えるものではない。そのために、このような状況は金投資へのサポートとなることに変わりはない。」と続けています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週英国では一日あたりの新型コロナウィルス感染者数が3万人を超え、死者数が5万人を超える欧州一番の数値になったことなどが伝えられ、危機感が高まっていました。

そのような中、この数日はボリス・ジョンソン首相のコミュニケーション主任及び上級顧問が次々と辞任したニュースがトップニュースとなっています。

コミュニケーション主任はリー・ケイン氏で既に今週初めに辞任しており、その後ケイン氏の長年の同僚である首相官邸内で最も力を持つと言われている上級顧問のドミニク・カミングス氏の辞任憶測が既に流れている中、昨日クリスマスまでに職を離れると伝えられていましたが、本日正式に辞任して首相官邸を離れて自宅で12月半ばまで働くと伝えられています。

ケイン氏とカミングス氏は、EU離脱をめぐる国民投票で離脱推進派として活動し、離脱派を勝利に導き、昨年の英国総選挙ではジョンソン首相の保守党の大勝利に貢献し、その後EU離脱協定案合意を可能としたとも言われています。

それでは、なぜこれだけジョンソン首相に重要な人々が、年末の英国のEU離脱の移行期間終了を前に、そしてEUとの通商協定合意前に首相官邸を去ることになったのかは明らかではありませんが、カミングス氏は有能ではあるものの、かなり強い個性でメディアやキャリア公務員や保守党内にも多くの敵も作ってきたことも背景にあるとも言われています。なお、今春のロックダウンで移動制限中にカミングス氏は親類の住む400キロ以上離れた場所へ移動していたことで多くの人々に非難されていたことは、ここでも紹介していました。

彼自身は今年1月にはブレグジットが果たされる12月末には「大幅に役職を解かれている」ことを望んでいるとも自身のブログで書き、この内容から自分の意向は変わっていないとも述べていました。

新型コロナウィルス対策では後手後手に回っていること等で多くの非難を受けているジョンソン政権が、ブレグジットを前に新たな体制でスタートを切ろうとしているのかもしれませんが、EUとの通商協定はこの数週間が正念場であり、そして新型コロナウィルス感染症対策もクリスマスを前に官邸サイドの指揮能力等に悪影響をもたらすことのないことを祈るばかりです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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