金価格ディリーレポート(2020年11月9日)Covid-19ワクチンのニュースが長期金利を急騰させ金を100ドル近く押し下げる
金価格は、月曜日ロンドン昼過ぎに急落しました。
これは、米国の大手製薬会社ファイザーのCovid-19ワクチンが第3臨床試験で高い有効性を示したというニュースが伝えられて、コモディティ価格と共に長期金利が上昇したことからでした。
またこのニュースは、未だトランプ大統領は敗北を認めていませんが、週末に米国大統領選で民主党のジョー・バイデン氏が勝利したことで、世界株価と国債価格が既に上昇をしていた際に伝えられ、これらは更にその上げ幅を広げていました。
しかし、金価格はロンドン時間午前中に一時1965ドルと8週間ぶりの高値を付けた後、米製薬大手ファイザー社(NYSE: PFE)と独バイオンテック社(Nasdaq: BNTX)が共同でこの治験の結果を発表した後に、トロイオンスあたり100ドル近く下落していました。
金の現物価格は、バイデン氏の勝利がほぼ明らかになったことで記録された先週の3.2%の急騰を帳消しにし、米ドルインデックス(主要通貨に対する通貨価値の指標)は、先週の2ヶ月以来の安値近くまで急落した後、このニュースと供に上昇していました。
ユーロ建てと英国ポンド建ての金価格はともに4.0%下落して4カ月ぶりの安値となり、それぞれ1オンスあたり1577ユーロと1423ポンドとなっていました。
「今日は 科学と人類にとって素晴らしい日になった 。」とファイザー会長兼CEOのDr.Albert Bourlaは述べていました。
「第3相ワクチン試験の最初の結果は、Covid-19の予防能力を示す証拠を提供しています。」と続けていました。
数万人のボランティアを対象とした研究では、ファイザーとBioNTech SEが開発したCovid-19ワクチンは、感染症の90%以上を予防することに成功していました。
このニュースは「実質利回りや米国株式先物が上昇に転じ、金にも打撃を与えた」と、ワールドゴールドカウンシルのチーフ・マーケット・ストラテジスト、John Reade氏は述べています。
米10年債利回りは、0.93%へと前日終値比11ベーシスポイント急上昇し、米大統領選挙の日である先週火曜日の水準に戻っていました。
このニュースで世界株価は更に上昇し、ストックス欧州600指数は3.4%上昇し、米国のベンチマークであるS&P500指数の先物は史上最高値を更新していました。そして、日本の日経平均株価は2.1%上昇し、ニュースの前に既に29年ぶりの高値を記録していました。
モルガン・スタンレーのグローバル・マクロ戦略責任者であるMatthew Hornbach氏は、「ワクチンはリスク資産を引き上げ、信用スプレッドを狭め、株式市場を上昇させ、新興市場の通貨を強くする力を発揮した」と述べています。
ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油は10%近く上昇して1バレル41ドルとなっていました。
一方、銀価格は先週9.2%上昇した後、本日はトロイオンスあたり24.29ドルと5.2%急落し、プラチナ価格も先週の7%上昇から、トロイオンスあたり867ドルと3.3%下落していました。
ファイザーは今月下旬にワクチンの配布を開始するために米国の認可を申請する可能性があるとしています。
ジョンズ・ホプキンス大学の最新データによると、世界で確認されたコロナウイルス感染者の総数は、多くの国で記録的な数の感染者数がでたことで5000万人を突破していました。また、125万人以上がウィルスに感染し死亡している伝えられていました。
時期大統領のジョー・バイデン氏は本日、彼が最も重要と考える案件の一つのCovid-19対策のために、元高官を召集する予定で、政権移行への準備を進めていることが伝えられていました。
ジョージ・W・ブッシュ前大統領は日曜日にバイデンを祝福し、選挙の終了を公に宣言した共和党員の中で最も注目度の高い人物となっていました。
しかし、ドナルド・トランプ氏は、その間も選挙の投開票に疑義を申し立てて、選挙違反というまだ証明されていない主張に対する支持を高めるために、キャンペーンスタイルの集会を再開する計画を立てていることが伝えられていました。