金市場ニュース

ニュースレター(2020年10月9日)トランプ大統領退院後の米追加経済対策協議の混乱の中で金は2週ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1923.3ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.06%高となっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり24.36ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から2.07%上げています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では895.34ドルと前週金曜日のLBMA価格から0.53%上昇しています。

今週金相場は他の金融市場同様に、トランプ大統領の言動、そして先週同様に米国議会で協議されている追加経済対策の合意観測に動かされることとなりましたが、本日は2週間ぶりの高さのトロイオンスあたり1928ドルへと一時上昇していました。

それでは、今週の金相場の動きをトランプ大統領の言動と関連イベントと共にまとめてみましょう。

週明け月曜日は、トランプ大統領が同日中にも退院の可能性があるというニュースで市場に安心感が広がりドルが弱含み金が上昇していました。またこの間、米与野党の追加経済対策の進展も伝えられていたこともリスクオン基調を強め、ドル安を促して金をサポートしていました。

翌火曜日は、前日の基調を受け継いでいましたが、退院後トランプ大統領が突如ツィッターで米議会の追加経済対策を停止すると述べたことで、株価が大きく下げてドルが買われる中で、トロイオンスあたり1900ドルを割って1873ドルと一週間ぶりの低さへと下げていました。

同日はトランプ大統領のこのコメントの前に、市場注目のパウエルFRB議長の講演が米企業エコノミスト協会(NABE)が主催したオンライン会議で行われ、十分な政府支援が無ければ米国景気回復は脆弱なものになると述べていた後のことでした。

水曜日は、トランプ大統領が先のツィート後に空運会社と中小企業への支援策等を個別に先行して成立させるよう議会に求めたことが伝えられて、株価が戻し、再びドルが弱含み金が多少戻すこととなりました。

また、同日発表のFOMCの議事録では、パンデミックによる影響は顕著なリスクを生み出したという見解で一致した上で、長期的な低金利、継続的な金融緩和が確認され、より明確なフォワードガイダンスについて議論されたことが明らかとなっていましたが、市場への影響は限定的となっていました。

木曜日は、先の個別の支援策に対して民主党のペロシ下院議長が前向きな姿勢であると伝えられたことで、株価を上げてドルを抑え、金相場を支えていました。

本日金曜日は、追加経済対策はトランプ大統領のツィートで一時中断したものの、その後水曜日には再開されているとのこと、またトランプ大統領が再び包括的な追加経済対策を個別な支援策よりも望んでいるとも伝えられていたこと、そして、上院議会共和党多数派リーダーのミッチ・マコーネル氏が大統領選前にこの経済対策が合意されると述べたことが伝わる中で、株価が全般上昇する中で、金が大きく上昇している模様です。

なお、本日中国は1週間の国慶節と呼ばれる休暇を終えて戻っていますが、本日発表されたサービス部門PMIが予想を上回り、同国の経済が順調に回復を示していること等からも人民元が対ドル17ヶ月ぶりの高さへ上昇していることもドルを抑えて結果的に金を押し上げることとなっている模様です。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • ワールドゴールドカウンシルがまとめた最新のデータによると、世界の中央銀行は8月に一年半ぶりに、売却が購入を上回るネット売却者となり、12.3トン売却していたこと。これは、7つの中央銀行が総量で19.5トン金を購入していたにもかかわらず、ウズベキスタンが32トン売却していたことから。

  • ワールドゴールドカウンシルの最新のデータでは、金ETFの需要は9月までの10ヶ月連続で月間の購入量が売却量を上回るものであり、2008年と2016年の世界金融危機と欧州債務危機時の長期の資金流入と並んだとのこと。そして、9月は2016年に11月以来の相場の下げであってにもかかわらず、年初からの残高増加量は9月末で1003トンで、総量は史上最高の3880トンとなっていたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週29 日に同日夜の米大統領候補のTV討論を待つ中、また米追加経済対策の与野党の協議の結果を待つ中で、銀を除くすべての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比1.63%減の401トンと、2週連続で減少し、引き続き3ヶ月半ぶりの低さであったこと。ちなみに、過去5年間のネットロングポジションの平均比では0.4%上回っていたものの、ショートポジションは昨年6月以来の高さ。建玉は12週ぶりに100万枚を割っていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.5%増の5563トンと、過去5年間の平均比では17%上回っていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比111%減で-0.3トンと2019年7月16日以来の低さとなっていたこと。これは2週連続の下げで、過去5年間のネットロングポジション比では、98%下回っていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比10.74%減で11トンと、4週ぶりの減少。過去5年間の平均比では70%下回っていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で4.1トン(0.3%)減で1272トンと、先週まで2週連続で週間の増加後に、再び減少傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で0.14トン(0.03%)増で520トンと3週連続の上昇傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週26トン(0.15%)減で17,426トンと、先週6週ぶりに週間の増加を記録後、再び週間の減少傾向であること。

  • 金銀比価は、水曜日に80台へ上げた以外は78から79台を推移していること。これは、前週より下げたものの、引き続き8月と9月上旬の70台前半よりは銀割安傾向。

  • 中国は先週1日から8日まで祝日でしたが、本日から上海黄金交易所(SGE)はオープンし、そのディスカウント(ロコ・ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)は36.51と今年7月末以来の低さであったこと。これは人民元が対ドル17ヶ月ぶりの高さへ強含んだことから。

  • コメックスの金取引量は、今週トランプ大統領の突然の追加経済対策協議中止、またそれを翻す発言などで動く中で、平均量で前週比15%減少し、今年6月半ば以来の低い水準となっていこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週もトランプ大統領の追加経済対策延期、しかし個別の支援策実施のツィート等と予想外のイベントで市場は大きく動くこととなりました。そこで、この関連のニュースへ市場は注目することとなります。

また、昨日トランプ大統領は15日に予定されていた第2回目のTV討論がバーチャルとなることから、時間の無駄として不参加を表明していますが、既にトランプ氏が延期の上で参加の可能性にも触れていることから、実際に討論が行われる場合は市場は注目することとなります。

なお、次回FMOCは大統領選後の11月4日と5日となりますので、既にFOMCメンバーは一月前で講演やコメント等は控えることとなります。

そのような中、来週は経済指標としては、主要国の消費者物価指数が発表され、重要指標となります。それでは、詳細予定は主要経済指標(2020年10月12日~16日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週英国は、引き続き新型コロナウィルスの感染拡大と近い将来のさらなる移動制限の可能性、そして英国のEU離脱の移行期間終了前のEUとの貿易協議がトップニュースで伝えられています。

そのような中、今週は英国王室関連の心温まるニュースが紹介されていましたので、お伝えしましょう。

そのニュースとは、ウィリアム王子とキャサリン妃の3人の子供たちが、動物学者で英国では動物や植物、昆虫などのドキュメンタリー制作でも著名なデービット・アッテンボロー卿にそれぞれ質問をし、アッテンボロー卿が答えたというものでした。

これまでもキャサリン妃が撮った子供たちの写真は公開されていたものの、子供たちが実際に質問をする動画は初めてということもあり、このインスタグラムの投稿は既に660万回以上閲覧されているようです。

ちなみに、デービット・アッテンボロー卿は当年94歳にして今年9月にインスタグラムを初めたようですが、彼のフォロアーが100万人に達するのに4時間44分とこれまでで最も短い時間であった、米女優のジェニファー・アニストン氏の記録を塗り替えたとのことで、ギネスブックに載ることになることもニュースで伝えられていました。そして、その後一ヶ月満たない本日で既に560万人のフォロアーの数となっています。

そして昨日ウィリアム王子が、「史上最も名誉のある」環境賞を創設したことも伝えられていました。これは「アースショット賞(Earthshot Prize)」と呼ばれ、今後10年間で環境問題に対して革新的な解決策を見つけ出した5つの個人や団体へ総額100万ポンド(約1億3700万円)を授与する予定とのこと。

この選考委員としてもアッテンボロー卿は参画しており、今後のウィリアム王子とキャサリン妃とアッテンボロー卿が協力した環境問題への取り組みも興味深いものとなりそうです。

最後になりましたが、先週お伝えしたロンドンマラソンでは無事完走をすることができましたのでご報告します。

一日降り続く雨の中でしたが、私が選んだテムズ川沿いのコースは多くのバーチャルマラソン参加者も走っていたことから、お互いにすれ違うごとに手を叩きあって応援をし合う等と、スポーツマンシップが溢れる忘れがたいレースとなりました。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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