金価格ディリーレポート(2025年11月17日)データ不透明感の中で「タカ派」的FRBからも金価格は横ばいで推移
「安全資産」である金は、先週金曜日に3週間ぶりの大幅な一日あたりの下落を記録した後、月曜日のロンドン市場で狭いレンジ内で安定して推移しています。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利下げを実施する確率について、金融市場が50%未満と織り込み始めたことを背景としています。
米政府のシャットダウン終了に伴い遅延していた米経済指標が今週発表される予定である中、ロンドンの金現物価格は、トロイオンスあたり4050ドル台から約50ドルを上回る幅という狭いレンジで取引されています。
これは、金価格が先週金曜日に10月末以来となる大幅ば下落を記録し、約200ドルもの急落によって、前週の上昇率が6.3%超から2.2%へと大きく縮小した後の動きとなります。
「シャットダウンは終わったが、それによって生じた“データの霧”はまだ晴れていない」と、あるストラテジストがブルームバーグに語り、「FRBの利下げ路線は依然として不透明だ」と述べていました。
CMEのデリバティブ取引所によるFedWatchツールによれば、1か月前には0%と見られていた12月会合で「金利据え置き」の確率は月曜日に57.1%へと上昇し、10月末の前回FOMC以来の高水準となっていました。

市場コンセンサスでは現在、FRBの2025年末の政策金利は3.77%と予測されており、これはFRBが2か月前の「ドットプロット」で示した見通しより12ベーシスポイント以上高い水準となります。
今日の市場コンセンサスは、9月初旬以来の最も高い年末予測となっていました。当時FRB当局者は、2025年末の金利見通しを6月時点の3.90%から3.65%へと引き下げる直前でした。
「これ以上の利下げが労働市場のひび割れを埋めるのに大きな効果を持つとは考えていない」と、2025年のFOMCで議決権を持ち、9月の利下げに反対したカンザスシティ連銀のジェフリー・シュミット総裁は金曜日に述べた。この発言は、他のFRB当局者らから相次いだ先週のタカ派的なコメントを締めくくるものとなりました。
「(雇用市場の)圧力は、技術や移民政策の構造的変化に起因する可能性が高い。しかし、利下げはインフレにより長期的な影響を与える可能性があり、2%のインフレ目標へのコミットメントを市場が疑い始めるリスクがある。」とシュミット氏は続けていました。
記録的な43日間の政府シャットダウンで遅延していた主要経済指標の中で最初のものとなる9月の米雇用統計(非農業部門雇用者数)は、米労働統計局によれば今週木曜日に発表される予定です。
また、FRBが重視するインフレ指標である10月個人消費支出(PCE)デフレーターは、米商務省によれば来週水曜日に発表されます
金価格と並んで、需要の約60%を工業用途が占めるロンドンの銀価格も月曜日に一時1.5%上昇し、トロイオンスあたり51.30ドルを付けたましたが、その後上げ幅の多くを消すこととなりました。
これは、銀が先週金曜日に3週間超で最大となる3.5%の下落を記録した後の反発でした。
一方で、米ドルは外国為替市場で小幅に上昇し、米10年国債利回りはワシントンの主要借入コストの7営業日ぶり高値からやや低下していました。
ニューヨーク株式市場は、AI関連やハイテク株が再び下落したにもかかわらず横ばいで週を開始し、欧州株式市場は3日連続で小幅安となっています。
ユーロ建て金価格および英国ポンド建て金価格は、それぞれ1トロイオンスあたり3094ユーロ、3514ポンドと、いずれも先週金曜日の終値水準近辺で落ち着いていました。






