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金価格ディリーレポート(2025年11月10日)金・銀が株価と主に急騰、史上最悪の消費者信頼感指数後、米政府閉鎖回避合意に近づく

 

月曜日、金と銀の価格は急騰し、それぞれ一時的にトロイオンスあたり4,100ドルと50ドルを超えることとなりました。これは、米国上院議員が6週間に及ぶ政府機関閉鎖の終結に向けた動きを見せたことを受け、世界の株式市場も上昇したが背景となっていました。

「閉鎖の終了に近づいているようだ」と、ドナルド・トランプ大統領は日曜日の夜、複数の民主党議員が党派を超えて、新たな省庁予算案の妥協案を支持した後に記者団に語りました。

この妥協案は、上院と共和党が多数を占める下院の両方での承認が必要であり、先週金曜日に発表されたミシガン大学の米国消費者心理指数は、1980年、2008年、2011年、そして2025年の現時点までの最低水準を下回る結果となっていました。

個人の財務状況や企業の見通しの急落が主因で、ミシガン大学の調査では、すべての消費者層に心理的影響が及んでおり、無党派層の否定的見方が再びわずかに強まったとのこと。

ミシガン大学消費者信頼感指数 出典元 ミシガン大学

ロンドンの現物金市場では、金の価格は最大2.6%上昇し、2週間ぶりの高値4,105ドルに達しました。これにより、10月中旬の過去最高値4,381ドルからの下落幅を6.3%に縮小し、安全資産としての金の年初来上昇率は57.4%となっていました。

産業用としての銀も急騰し、最大3.9%上昇のトロイオンスあたり50.21ドルとなり、3週間ぶりの高値を記録。先月の最高値54.47ドルからの下落幅は7.8%に縮小し、2025年の年初来上昇率は73.7%に達していました。

ミシガン大学消費者調査ディレクターのジョアン・フス氏は、「連邦政府の閉鎖が1か月以上続き、消費者は経済への悪影響を懸念する声が出ている」と金曜日のデータ発表時に述べていました。

ホワイトハウスの経済顧問のケビン・ハセット氏は、「米政府閉鎖の経済的影響は予想以上に深刻」と指摘。建設プロジェクトの停滞や旅行活動の減少を挙げていました。

感謝祭のピーク旅行期までわずか2週間に迫る中、連邦航空局は金曜日に、給与未払いにより勤務を避ける航空管制官が増加していることを受け、航空会社に運航便数の削減を指示していました。

一方、世界的な人員削減サービス会社Challenger, Gray & Christmasは、米国での計画的な人員削減が2020年のコロナ危機以来の高水準に達し、採用計画は2009年の金融危機以来の低水準に落ち込んでいると報告していました。

非農業部門の公式雇用統計は10月1日の閉鎖以降未発表が続いており、中国系ロンドン貴金属銀行ICBCスタンダードのトレーディングデスクは、「データ不足により不確実性プレミアムが上昇し、政治・経済リスクのヘッジとして金価格を支えている」と述べていました。

前回の過去最長閉鎖終了時には、米公式統計の完全更新と通常発表スケジュールへの復帰に最大6週間を要したとのこと。

ユーロ建ての金価格も2.6%上昇し、2週間ぶりの高値3,548ユーロを突破。英国の金価格はトロイオンスあたり3,114ポンド以上に上昇していました。

アジア株式市場はMSCIアジア太平洋指数で0.9%上昇し、欧州株式市場も上昇。欧州全体のStoxx 600指数は1.5%上昇し、6月以来の1日最大上昇を記録する見込みとなっていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者であると共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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