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【金投資家インデックス】2020年の金・銀の強い投資投資需要が価格の下げの中でも継続

今年金価格は2011年よりも落ち着いた上昇で値を固めています。

個人投資家の貴金属への需要は、Covid-19の感染が引き続き広がる中で、記録的な水準を継続していました。

新型コロナウィルスの感染が3月に欧州と北米で広がる中で、かつて無い記録的な水準で金の投資が進んでいました。そして、第2四半期においては、記録的な高さの金投資家インデックスの数値へと上昇していました。

9月のブリオンボールトにおける金への需要を含めると、ブリオンボールトが15年前に創立以来の最も強い第1四半期から第3四半期であったことが明らかとなりました。この間、銀の需要は、これまで最も需要が高かった2011年数年を既に超える高いものとなっています。

すでに、175カ国の9万人の個人投資家によって利用されているブリオンボールトは、顧客が保管する貴金属総評価額が36億ドル(3810億円)相当の、45トンの金と1,099トンの銀、1.9トンのプラチナを貯蔵しています。

年初から9ヶ月間の金地金の需要は、顧客によって売却された分を除いて5.7トンとなり、この金地金の評価額は3億5300万ドル(372億円)相当で、世界金融危機後の高い金需要から金価格が史上最高値を付けた2011年の通年の需要量に0.6トンのみ劣る量まで迫っています。

そして、銀地金の需要は既に過去最大を記録した2011年通年の量を76%超えて262トンと、その評価額は2億200万ドル(213億円)となっています。

金投資家インデックスと月間平均金価格 出典元:ブリオンボールト

9月のより落ち着いた金価格の動きは、ブリオンボールトで月間の金地金購入が売却を上回ったネット購入者数を8月から22.2%減少させ、2月以来の低い水準としていました。しかし、これは2019年のCovid-19以前の平均を100.6%上回るものでありました。

そのような中、先月売却量が購入量を上回ったネット売却者数は、8月から27.5%減少し、12月以来の低さとなり、昨年の平均を7.5%のみ上回っていました。

これにより、ブリオンボールトで個人投資家が実際に金地金現物を売買したデータによって算出されている金投資家インデックスは、8月の62.3から多少下げ59.4となっていました。

これは、金投資家インデックスの数値としては、9年ぶりの高さの水準で、Covid-19感染拡大によるロックダウンが世界各地で行われていた2020年の春から夏にかけての記録的な需要の高さを維持するものとなっていました。

銀投資家インデックスと月間平均銀価格 出典元:ブリオンボールト

銀投資家インデックスは、8月の61.6から9月には62.8と上昇していました。この数値は、金同様に50の場合は、月間で購入が売却を上回ったネット購入者数と売却が購入を上回ったネット売却者数が完璧に一致したことを意味します。

この数値は3ヶ月連続で上昇しているものの、3月の史上最高値の75.1を超えることありませんでした。これは、9月のネット購入者数は前月比10.3%下げたものの、ネット売却者数が42.1%下げた結果でした。

9月の銀のネット購入者数は、2019年の平均を249.1%上回り、ネット売却者数は74.5%上回るものでした。

この継続的な金と銀の需要の高さは、8月に金・銀価格が急騰した後に、価格が下げていた際にも見られていました。しかし、2011年の貴金属価格の急騰と比較すると、これらの価格上昇は、より落ち着いたものでした。

今年8月までの12ヶ月間で、月間平均銀価格は56.9%上昇した後に9月に3.7%下げて、トロイオンスあたり25.89ドルを付けていました。これに対し、2011年の春は、それ以前の12ヶ月間に131.9%上昇して4月の最高値を付けた後に5月に12.4%急落していました。

また、ドル建て金価格は、今年8月までの12ヶ月で31.3%上昇して史上最高値を記録後に、9月に2.3%下げて月間平均価格はトロイオンスあたり1922ドルとなっていましたが、史上最高値を付けるまでの5ヶ月間の月間の連続の上昇は、2011年半ばに史上最高値を付けた際の12ヶ月連続で44.4%の上昇を記録し、翌月に6.0%下げた時以来の長期のものでした。

今年の金および銀の上昇率は顕著なものですが、2011年の史上最高値を記録した際よりも落ち着いたものであることが分かります。そして、価格は高値水準を安定して維持をしています。

これは、短期的に動くトレーダーが、レバレッジを追う派生商品よりも、現物の金や銀を裏付けとする上場投資信託(ETF)のSPDRゴールドシェアやiShareシルバーへ切り替え、そして現物貴金属投資へと切り替えていること、そして個人投資家やプライベートバンクやファンドマネージャーなどが、長期的観点でリスク分散のために金を購入していることが背景となっています。

金と銀は、10年前の金融危機の最中には安全資産から投機的資産へと変容しました。世界がこれまで経験をしたことのない困難な2020年の第4四半期に入るにあたり、そして前回の大統領選以上に混乱の中にある米国の大統領選を前にして、貴金属へ投資をする意味は高まり、より多くの人々が安定して貴金属の投資を行っているようです。

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチ主任として、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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