金市場ニュース

ニュースレター(2019年11月22日)金価格はレンジ内で米中貿易協議関連ニュースで動く

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1465.44ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.1% 下げています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.19ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から1.9%上げています。また、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では901.38ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2%上昇していました。

今週も金市場は、米中貿易協議関連ニュースで動き、ドルや長期金利に反応していましたが、レンジ内の動きとなっています。それでは、日々の動きを追ってみましょう。

月曜日午前中に米中貿易協議で週末土曜日に「建設的な話し合い」が行われたと伝えられてトロイオンスあたり12ドルほど下げたものの、その後中国サイドでは「悲観論」があることも伝えられ、その下げ幅を戻してさらに上昇し、トロイオンスあたり1473ドルで終えていました。

火曜日金相場は、米中貿易協議関連のニュースが無い中で、トロイオンスあたり1471ドルとロンドン午前中に一時1464ドルまで下げたもののその後前日同様に上昇して終えていました。

午前中の下げは、ドルが上昇し米国長期金利が上昇していたことが背景でしたが、その後トランプ大統領が前日パウエルFRB議長とのミーティングで、金利が高すぎると抗議したと述べたことが伝えられて、ドルが弱含み金利も下げたことに反応した模様でした。

水曜日金相場もまた、レンジ内で米中貿易協議関連ニュースに反応する形で動いていました。

同日の上げは、米議会上院が前日、香港の民主主義を支援する「香港人権・民主主義法案」を可決し、中国外務省が「中国への内政干渉で、強烈な非難と断固とした反対を表明する」との談話を出たことで、米中貿易協議に影響すると警戒され、株価が全般下げ、米長期金利が3週間ぶりの低さへ下るなどリスクオフの動きが出たことが要因となりました。

その様な中で、米商務省が中国通信機器最大手ファーウェイへの一部製品供給を認める許可証の発行を開始とも伝えられ、また「第1段階の合意が来年にずれ込むかもしれない」と伝わっていたことからも、ドルが強含む中で金は押し下げられることとなりました。

木曜日金相場はドルと米長期金利が多少ながら上昇する中で、緩やかに下げることとなりました。

これは、中国の劉鶴副首相が米中貿易交渉の「第1段階」の合意について「慎重ながらも楽観的」と述べたと伝わったことが背景となりました。

また、今週火曜日米上院が「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決した法案を下院も可決し、追加香港警察に催涙ガスや催涙スプレーなど特定の軍用品を輸出することを禁じる法案も成立し、トランプ大統領の承認署名待ちとなっていることは懸念材料でありことからも金をサポートしていました。

なお、前夜発表されたFOMC議事録では、「当面は政策金利を維持すべきだ」とされていましたが、特に大きなサプライズはなく、市場への影響は限定的となっていました。

本日金曜日は、ロンドン午前中にトロイオンスあたり1473ドルまで上昇後に、世界株価が全般上昇する中で、ドルが強含んでおり、緩やかにその上げ幅を失っています。

本日は、習近平国家主席が米国と「第1段階」の通商合意をまとめたい考えで、貿易戦争を起こさないよう取り組んでいるとした上で、必要であれば報復措置を講じることを恐れていないと述べたことが伝えられていました。

また、ロンドン時間午後にトランプ米大統領も、米中協議について、「(合意は)非常に近いと語った」と報じられたことも、投資家心理の改善につながり、金を押し下げている模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で5トン減少し892トンと、9月19日以来の低い水準となっていること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までで0.71トン(0.2%)増の357.9トンとこのETFでは記録上最大で、週間での増加方向でいること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに週間で0.22%減少して、週間でも減少の傾向であること。

  • 金銀比価は今週木曜日までにLBMA価格では月曜日の86.84を除き85台で推移していること。

  • また、今週の上海黄金交易所(SGE)のロンドン価格との差のプレミアムは、本日5.81と上げたものの火曜日は1.61まで下げる等、週間の平均は3.48と引き続き過去の平均の9を大きく下回っていること。

  • 先週末に発表されたコメックスデータによると、先週火曜日に金相場が先週に引き続き米中の貿易協議への楽観的観測で前日に、心理的節目の1450ドルを割るなどの大幅な下げから多少戻す中で、全ての貴金属で強気ポジションが減少していたこと。

  • コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは火曜日に13%減の623トンと5か月ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に23%減の5,074トンと4か月ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、26.8%減で30.3トンと2週間ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは、5.4%減の40.6トンとなっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は米国が木曜日に感謝祭で祝日であるために米国関連主要データは水曜日に集中しています。

それは、米FRBが消費者物価データとして注目する個人消費支出(PCE)コア価格指数、そして第3四半期GDP、耐久財受注、ベージュブックなどとなります。

その他、月曜日にはドイツIFO企業景況感指数、米シカゴ連銀全米活動指数、火曜日のリッチモンド連銀製造業指数、木曜日のドイツとユーロ圏の消費者物価指数、金曜日のドイツとユーロ圏の失業率と、ユーロ圏の消費者物価指数等となります。

また、今週も市場を動かしている米中貿易協議関連ニュースや今週米上下両院が可決した「香港人権・民主主義法案」をトランプ大統領が署名するのか等にも市場は引き続き注目することとなります。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も英国では12月12日に行われる総選挙の選挙戦、テレビ討論、そしてそれぞれの党が発表するマニフェストについてトップニュースで伝えられています。

そこで、昨日伝えられた野党第一党の労働党のマニフェストが、これまでに無く変革的なものですので、簡単にまとめてお伝えしましょう。

今回の労働党マニュフェストはコービン労働党党首が望む社会主義を強く打ち出したものとなってます。その要旨は、①鉄道、電力等のインフラの全面的な国有化②富裕層や企業への増税③最低賃金引上げ(週4日制導入)④年金受給年齢段階引き上げ中止⑤譲渡所得や配当に対し所得税同等の税率へ引き上げ⑥為替、金利、コモディティー、派生商品取り引きへ一律取引税を課す⑦大規模な公営住宅建設等というものです。

この内容をコービン党首は「過去数十年で最も抜本的かつ野心的に国を変える計画」としていますが、労働党が唱える830億ポンド(11兆円)規模の財政支出を独立系の財政監視機関は不可能と見ており、財政問題研究所(Institute of Fiscal Studies)もこの実現のために課される税金水準を維持するのは不可能としています。

そして、英国の日刊経済紙はこのマニフェストに一概に否定的ですが、有権者からの支持率を高めるられるのか、近い将来に発表される世論調査は興味深いところです。

ちなみに、マニフェストが発表される前の今週月曜日に発表された世論調査では、労働党の支持率は保守党の42%に次いで28%と14ポイントのリードを許していました。

英国で負け組と勝ち組の差がこの数年大きく広がることで、忘れられ取り残された人々が2016年のEU離脱の国民投票で、これまでの体制にNOを突き付けたのだとしたら、今回の総選挙でこれまでに無い社会主義を反映したマニフェストを掲げる労働党に、人々は政権を託すのか。国民投票前の世論調査は残留が勝ると出ていたことからも、今回も結果がでるまでは浮動票の行方は分からないのかもしれません。

昨日は既に為替市場でポンドが売られるなど、この状況への危うさを市場は嗅ぎ取っていたようでした。

総選挙がどのような結果になろうとも、現在英国は一つの過渡期を迎えているのかもしれません。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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