金価格ディリーレポート(2019年11月18日)米中貿易協議への悲観論で金価格は0.8%の下げを戻すが、ポンド建ては4か月ぶりの下げを記録
金価格は、米中貿易協議の「建設的な議論をした」への悲観論で欧米株価が下げる中でロンドン時間の0.6%の下げを取り戻しています。
金現物価格は本日午前中に、人民銀行がリバースレポの金利を下げたことでアジア株価が上昇する中で、先週の上げ幅を失うトロイオンスあたり12ドル下げて$1456ドルを一時付けていました。
中国の国営メディアの新華社通信は、「第1段階の合意を巡り、それぞれの核心的な懸念について建設的な議論をした」と伝えていました。
しかしながら、その後米CNBCが、米中貿易協議の合意について「北京側の雰囲気は悲観的だ」と中国の政府関係者の話として伝えていました。
「(金にとって)貿易協議や株価や国債やドルの動きに反応をする間に、神経質な取引が先に待ち構えている」とSaxo Bank GroupのHead of Commodity Strategy のOle Hansen氏がコメントしていました。
その様な中、コメックスの金先物・オプションの市場は「購入者が数か月前のようにコントロールできなくなっている」ともHansen氏は続けていました。
先週末に発表されたデータではヘッジファンドなどの機関投資家は強気ポジションを12%減少させていたものの、弱気ポジションも6%下げていました。
その結果、資金運用業者のネットロングポジションは、6月半ばの低い水準まで下げて、記録的な高さを付けた9月末からは27%下げていました。
また、コメックス銀先物・オプションのネットロングポジションも23%減と4か月ぶりの低さとなっていました。
そして、本日は中国が7日物リバースレポ―の金利を下げたことで、米国長期金利もまた2週間ぶりの低さの1.8%へ下ていました。
「5ベーシスポイントは市場を揺るがせるものではないかもしれません。しかしこれは方今転換を示しているのです。」とソシエテジェネラルのストラテジストのKit Juckers氏が人民銀行が2.5%へ下げた動きを解説し、ドイツのComerzbankは中国は市場に「心理的なメッセージを送った」ともコメントしていました。
香港の株価市場は、香港警察が包囲した大学から脱出を試みて、ガソリン爆弾などを使うデモ隊員らを相次いで拘束するなど警察とデモ隊の衝突が激化する中で、1.4%と2週間ぶりの上げ幅を見せていました。
この間香港の裁判所はガスマスク禁止の法令は違法との判決を出していました。
なお、先週金曜日に経済データが香港が10年ぶりにリセッション入りしたことを確認していました。
ユーロ建て金相場も月曜日午前中に下げていたものの、ユーロが対ドル強含んだことでトロイオンスあたり1324ユーロへと上昇していました。
また、ポンド建て金相場は本日昼までに当初の1.1%の下げを半減させ、選挙戦での保守党の優勢からもポンドが強含むことで4か月振りの低さのトロイオンスあたり1123ポンドから戻していました。
本日は英国産業連盟(CBI)の会議でビジネスリーダーに保守党、労働党、自由民主党の党首が12月12日に行われる総選挙での公約等を話す予定となっています。
なお、本日伝えられていた世論調査によると、過去にブレグジットを決めた国民投票時の世論調査が大きく結果と異なっていたことはあるものの、保守党が42%、労働党が28%、自由民主党が13%と保守党が野党第一党の労働党を14ポイントリードしていました。