金市場ニュース

ニュースレター(2018年3月9日)1320.60ドル:コーン米NEC委員長辞任で上昇したものの、保護主義的米政策と北朝鮮情勢の懸念が後退し下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1320.60ドルと前週同価格とほぼ同レベルですが0.1%と若干下げています。


月曜日金相場は、ドルが狭いレンジで動く中、それに反応する形でロンドン早朝にトロイオンスあたり1327ドルへと上昇後1317ドルまで下げる狭いレンジでの取引となりました。


 


同日のニュースは、週末4日にドイツ社会民主党(SPD)が党員投票で大連立政権への参加を決め、メルケル氏の首相4選が確実になったこと。また週末のイタリア総選挙で欧州連合(EU)懐疑派の五つ星運動と同盟が躍進し、それぞれの党首が事実上の勝利宣言を行い、べレスコーニ元首相の党も合わせた右派連合も含めて、今後新政権樹立に向けた連立協議が本格化することになったというものでした。


 


そこで、ユーロは対ドルドイツのニュースからも上昇したものの、イタリア政権への懸念からその上げ幅は限定的となっていました。そして今週は週後半に、ECBと日銀の金融政策発表や米雇用統計等と重要イベントが続くことからも、様子見の模様でドル建てに関しては狭いレンジでの取引となりました。


 


火曜日金相場は、ドルが0.5%と3週間ぶりの下げを記録する中、トロイオンスあたり1340ドルへと一週間ぶりの高さへ上昇することとなりました。


 


なお、このドル安の背景は、週末に発表されたトランプ政権の鉄鋼とアルミニウムへの関税引き上げに対して、ユーロ圏がジーンズ、バーボン、モーターバイク等の関税引き上げと対抗措置が伝えられ、貿易戦争への懸念が広がり、その後ニューヨーク時間に米国家経済会議のコーン委員長の辞任のニュースがさらにドル安を進め金を押し上げることとなりました。


 


また、同日は北朝鮮と韓国の会談が4月に行われることが発表されるなど、北朝鮮情勢に雪解けムードが広がったものの、今までにもこのような期待が度々裏切られてきたことからも、懸念が残っている模様でした。


 


水曜日金相場は、前夜のコーン委員長の辞任のニュースで上昇した上げ幅をロンドン時間に失いながら、一時は1322ドルまで下げることとなりました。


 


同日は金曜日の米雇用統計の先行指標ともみられているADP全国雇用者数が発表され、予想の19.5万人を上回る23.5万人であったことから、市場には米利上げペースが早まる観測も広がっていたようで、金は押し戻されることとなりました。


 


木曜日金相場は、ドルインデックスが90を超えて強含む中、トロイオンスあたり1320ドルまで下げることとなりました。


 


同日は注目の欧州中央銀行の金融政策発表が行われ、予想通り政策金利が据え置かれ、その声明で前回の「必要であれば金融緩和を拡大する」という文言が無くなっていたことから、一時ユーロ高ドル安に振れましたが、その後ユーロは上げ幅を失いさらに下げることとなりました。


 


これは、同日トランプ大統領がツイッターで「真の友人で我々を貿易や軍事で公正に扱ってくれる人たちには大きな柔軟性を示す」と投稿したことから、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の対象国に例外が設けられるとの期待で、警戒感が和らいだことが要因となりました。


 


本日金曜日は市場注目の米雇用統計が発表され、2月米非農業部門雇用者数 が31.3万人と予想 20.5万人と前回 20.0万人(修正値23.9万人)を大きく上回りました。そして失業率は 4.1%と予想 4.0%に下げることなく前回 4.1%と同水準にとどまりました。なお平均受給は2.6%と予想の2.8%と前回の2.9%(修正値2.8%)を下回りました。


 


こうして非農業部門雇用者数が2014年12月以来の高さとなりましたが、平均時給の伸びが予想を下回ったことからも、金相場は神経質な動きをした後にトロイオンスあたり1315ドルへと下げていましたが、 その後ロンドン時間午後3時前にドルが弱含み金はトロイオンスあたり1320ドルを超えて上昇しています。


 


なお、本日ロンドン早朝にはホワイトハウスがトランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長の申し出を受け入れて直接会談に応じると発表したことから、また、米国の鉄鋼とアルミニウムの輸入制限(関税をそれぞれ25%と10%増)を発動する文書にトランプ大統領が署名しましたが、通商交渉や軍事負担で米国に情報した国は適用を除外するとしてことからも、世界株価は堅調に推移しています。


 


また、本日の日銀の金融政策決定会合では予想通り金融政策は据え置かれたことで、市場への影響は限定的となっていました。

 

その他の市場のニュ―ス


  • 金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高が今週木曜日まででほぼ変化がなく水曜日に0.3トンのみ減少していたこと。

  • 先週末に発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に15.85%減少し490トンとなっていたこと。これにより、ネットポジションは年初1月2日以来の低い水準。

  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、3週間連続でネットショートで、前週火曜日から更に59.1%減と-2,580トンとなっていたこと。このネットショートポジションは、2006年6月にこの形式で記録が始まって以来の最大の規模。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも、先週火曜日に4.25%減少し42トンとなっていたこと。

  • パラジウム先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、貴金属の中では唯一2週連続で増加し、前週比5.19%増の51トンとなっていたこと。

ブリオンボールトニュース

今週発表されたブリオンボールトの金投資家インデックスのプレスリリースが日本語で金の情報を網羅するゴールドニュースサイトで[金投資家インデックス] 購入機会と見た米国とドイツの新規投資家数が急増」と取り上げられました。

主要経済サイトのMarketWatch今年は銀が金を超えて収益率を上げる」という分析レポートで、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

この記事では、エィドリアンの「2018年に今の段階までで金と比較しても十分に上昇をしていない銀は(金銀レシオ)でも、究極のレベルに高まっている。そのため、金は過去25年間の中でもとても割高な状態だ。」というコメントを紹介し、過去50年間の全ての営業日では金と銀は71%同じ方向に価格が動いている、そして月間では74%同じ方向に価格が動いているというエィドリアンのリサーチデータを取り上げ、「もし金に強気なのであれば、銀も上昇すると考えるべきだ。」というコメントも紹介していました。

また、ブリオンボールトへ資本参加しているロスチャイルドのファンドAugumentum Fintechが1億ポンド(約146億円)のIPOを行うことが主要経済メディアで取り上げられ、ブリオンボールトと弊社グループ会社のウイスキー・インベスト・ダイレクトが紹介されていました。

英主要経済サイトThis is Money.co.ukAugumentum社に投資することでテクノロジー関連への投資家は収益を上げることができる

ここでは、Augumentum社がブリオンボールトとウイスキー・インベスト・ダイレクトが同社の投資先であると取り上げ、ブリオンボールトとウイスキー・インベスト・ダイレクトについて詳しく紹介しています。

ここでは、世界の個人投資家が、ブリオンボールトでは金や銀、ウイスキー・インベスト・ダイレクトではスコッチウイスキーへ投資でき、スコッチウイスキーが熟成する間投資をすることで、その投資利回りは平均年率8%であると紹介しています。

英主要経済誌Money Week新興市場を無視すべきではない

ここでは、Augumentum社が投資を行ったブリオンボールトが840万ポンド(12億3000万円)の評価額の会社として取り上げられています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、先週末4日に英国南西のソールズベリーで意識不明に陥って発見されたロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんのことがトップニュースで伝えられています。

スクリパリ氏は、欧州で活動していたロシア人スパイの身元情報を英対外諜報機関(MI6)に渡したとして2004年にモスクワで逮捕され、国家反逆罪で有罪宣告を受けていましたが、2010年に米国とロシアが拘束されていたスパイの交換を行った際に釈放され、英国に亡命していました。

英国では、2006年にプーチン大統領と対立していたロシアの元スパイのアレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンに放射性物質を盛られて死亡しています。そしてこの事件は、英国政府が設置した公聴会では、「プーチン大統領がおそらく暗殺を承認した」と結論付けており、英国は2007年にロシア外交官を追放する等の制裁を科しています。

ボリス・ジョンソン外相は、今回もロシアが事件に関わっている疑いを否定できないと6日の議会で述べ、この事件にロシアが関与した「疑い」が事実として証明されれば、ロシアに追加制裁を科す意向も示しています。しかし在英ロシア大使館は関与を否定しています。

7日には、英国警察が今回の使われたのは神経剤であったことを公表し、当初2人の救助にあたった3人のうち1人の警官も重体で入院中と伝えられています。

ちなみに、スクリパリ氏の妻は2012年にがんで亡くなり、その2年前には兄がロシアで死亡し、昨年7月には43歳の息子が恋人とサンクトぺルブルクを旅行中に肝不全になって急死しています。このように、家族の急死が続いたことをスクリパリ氏は不振に思っていたと伝えらえています。

まるでスパイ小説のような事件が、再びこの英国で起こったことに驚いています。2006年のリトビネンコ氏暗殺の際は、暗殺に使われた放射能物質のポロニウムの痕跡が、リトビネンコ氏が立ち寄ったロンドン市内メイフェアのホテルとすし屋で発見されたと伝えられ、日々の生活に近い地域でこのような見せしめのような暗殺が行われたことにショックを受けたことを、この事件は思い出させることとなりました。

スクリパリ氏とユリアさんを救助した警官は重体ではあるものの命の危険はないとのこと。スクリパリ氏とユリアさんも1日も早く意識を取り戻し回復する事を、そしてまずは事件の全容が明らかとなることを祈っています。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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