ニュースレター(2018年2月9日)1314.10ドル:世界株安の中、米長期金利の上昇とドル高でドル建て金が下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1314.10ドルと前週同価格から1.3%下げています。
週明け月曜日は、米国ダウ工業株30種平均が史上最大の下げ幅の4.6%を記録(S&P500種株価指数4.1%、ナスダック総合株価指数3.7%)する中、米長期金利が2.8%を超える水準で高止まりし、金相場は上昇はしたものの比較的レンジ内でトロイオンスあたり1339ドルで終えることとなりました。
火曜日金相場は、世界株安の懸念からトロイオンスあたり1345ドルまで上昇した後、米株式が序盤の下げ幅を取り戻す中、一時1320ドルまで下げることとなりました。
同日は前夜の米国株の史上最大の下げを受けて、日経平均株価が4.7%、香港株が5.1%、英国株FTSEが2.64%下げて終えていました。
ただ、ドルインデックスは2週間ぶりの高さの89.6へと上昇したこと、また米長期金利は2.77%と一時の4年ぶりの高さからは下げたものの、高い水準で推移したことが金相場の頭を押さえることとなりました。
水曜日金相場は、世界株式が月曜日の急落から落ち着きを取り戻す中、ドルインデックスが90を超えて2週間ぶりの高さへと上昇したことからも、一時一月ぶりの低さのトロイオンスあたり1312ドルまで下げることとなりました。
木曜日金相場は、世界株式市場が月曜日の急落から落ち着きを取り戻すと見られていたロンドン時間正午に、一か月ぶりのトロイオンスあたり1307ドルを付けていました。
しかし、ロンドン時間午後に米国株価が一転下げに転じ、終値ベースで4%の下げ(S&P500種は3.8%、ダウ平均株価が4.1%)と、月曜日に続く過去2番目の下げ幅で1月26日の過去最高値からは10%を超えて下げたことから、金相場は上昇に転じて1320ドルで終えていました。
これらの動きは、まずロンドン時間昼過ぎに発表されたイングランド銀行の政策金利発表で、全会一致で金融政策は据え置かれたものの、声明文で予想より早い時期に金融引き締めが行われる必要があると記載されていたことで、英国債利回りが上昇し、それに連動するように米長期国債の利回りが上昇したことが、中央銀行の利上げ観測を広げ、株式市場の流動性が減少するという懸念からも株価を下げることとなりました。
また、本日に米下院でも可決された暫定予算案を含む2年間の予算が、連邦政府支出を約3000億ドル(約33兆円)増を含むもので、財政赤字懸念、それらの支出によるインフレ懸念等も長期金利を4年ぶりの高さの2.88%へと引き上げることとなった模様です。
本日金曜日は、米株価が前日の下げを多少ながら戻す中で、ドルインデックスも90を超える水準で推移し、米長期金利は2.84%と高止まりしており、ロンドン時間午後3時の段階では金相場はトロイオンスあたり1313ドルと1320ドルの狭いレンジで推移しています。
なお、世界の株式(MSCI世界株式インデックス)は今週2度の大きな下げからも、週間の下げとしては2011年以来の大きなものとなっています。
ちなみに、今週は安全資産として円も強含んだことから円建て金価格は週間の下げが2016年10月以来と大幅に下落していますが、今週下げた通貨のユーロとポンド建て金価格は前週終値から上昇しています。
その他の市場のニュ―ス
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金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は今週木曜日までで15トン減少していたこと。 -
先週末に発表されたコメックス金・先物オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に7週連続で増加し、昨年9月半ば以来の水準を維持し、前週比1.31%増の667トンとなっていたこと。これは、過去平均を75%上回るもの。
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しかし、Nonreportableと呼ばれる、個人投資家の動向を示す小口の報告不要ポジションは、価格が先週5か月ぶりの高さとなっていたにもかかわらず、ショートポジションが増加しておりネットロングポジションは減少したこと。そしてこのポジションは過去の平均の半分弱。
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コメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、前週まで2週間続けて減少を続けた後、先週火曜日は11.4%増加し4,093トンとなっていたこと。 -
コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットロングは、先週火曜日に11.4%増加の50トンとなっていたこと。これは、6週間連続の増加で、2016年8月末以来の高い水準。
ブリオンボールトニュース
今週は弊社の金投資家インデックスの1月数値が発表され、そのプレスリリース「[金投資家インデックス] 価格に敏感に金購入は選択肢ではない」が日本語で金の情報を網羅するゴールドニュースサイトで取り上げられています。
また、今週は世界の株式市場が急落したこともあり弊社における金取引量が急増し、このデータが多くの主要メディアで取り上げられました。
英主要紙タイムズ「世界市場の混乱の中で勝ち残った人々」
今週の株式市場の急落をレポートする記事で、弊社の取引量が、過去30日平均の133%増となっていたことが取り上げられました。
英主要紙テレグラフ「金の価格と金の買い方について」
この記事では、金現物購入、金ETF等と共に、オンライン金取引を紹介し、この最大手として弊社が取り上げられました。
英国の主要経済サイトYourMoney.com「投資家にとって利益確定の時期なのか?」
この記事では、英国株式が下げたことで、今が利益確定の時かと問いかけ、金需要が今週高まったことをレポートし、ブリオンボールトにおける取引量が133%増の280万ポンド(4億3000万円)相当となったと伝えています。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ロンドン便り
今週は英国株式市場も世界株式市場同様に大きな下げを見せていることからも、このニュースとEU離脱関係のニュースが見出しを飾っていました。
また、今週はビットコイン等の仮想通貨のクレジットカードでの購入を英国大手金融機関が禁止したことが伝えられていましたので、ご紹介しましょう。
この、英国の金融大手とは、ロイズバンキンググループで、このグループ内のロイズ銀行、バンク・オブ・スコットランド、ハリファックス、MBNAの金融機関が禁止することとなり、バージン航空のグループ内金融会社のバージン・マネーも同様に、仮想通貨の購入に同社発行のクレジットカードが使えないことを発表していました。
ちなみに、この決定に先んじて先週末には、米国金融機関のバンク・オブ・アメリカ、シティーグループ、JPモーガン、キャピタル・ワン、ディスカバーは、すでに仮想通貨をクレジットカードでの購入を禁止したことを発表していました。
このようなニュースもあり、ビットコイン価格は今週月曜日に前週末比10.86%下げ7,297.65ドルとなっていたようですが、先週はすでに週間の下げが30%と、2013年4月以来の大幅な週間の下げを記録していました。これは、昨年11月の史上最高値の19,000ドルからは、60%を超える下げとなります。
ロイズバンキンググループの決定は、このようなボラティリティのある仮想通貨を購入することでクレジットカード保有者の債務が拡大することを防ぐためと伝えられています。
中国政府は新規仮想通貨公開(ICO)禁止や取引所閉鎖、コインマイニング規制に加え、将来的には中国国内から国外の仮想通貨取引所へのアクセスを禁止することを検討していると中国メディアが伝えているとのこと。また、韓国では匿名での取引を禁止し、取引所取引の禁止も検討していることも、既に伝えられていました。
先月の日本のコインチェックの仮想通貨流出問題は、英国でもトップニュースで伝えられていましたが、英国政府も仮想通貨への規制を検討しており、金融機関や顧客の資金を扱う企業が準拠しなければならないマネーロンダリング.防止及びテロ資金対策法を仮想通貨のプラットフォームにも適用すべくアップデートする計画とのことです。
中国と韓国政府の規制もあり、ブルームバーグによると、日本はアジア最大の仮想通貨市場で、日本円による仮想通貨取引の世界シェアは、今年1月29日までに35.5%と、米国ドル取引シェア38.7%に次ぐ規模とのこと。英国ポンド建てシェアは当然これに及ばないもののようですが、英国での仮想通貨への規制等も含めて、今後も仮想通貨市場の動きもお伝えしていくことにいたします。