金市場ニュース

ニュースレター(2018年11月30日)米利上げ観測の高まりと後退で動く中、米中首脳会談への警戒感で週間の下げへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の価格は1217.21ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.5%下落しています。また銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり14.25ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)と同じ水準となっています。

月曜日金相場はロンドン時間朝に、ロシアがウクライナ海軍戦を拿捕したことから二国間の緊張が高まる中でトロイオンスあたり5ドルほど上昇していました。

また、同日は先週金曜日の8%近い、市場が「ブラックフライデー暴落」と呼ぶ下げから原油価格が多少ながら戻す中、やはり先週下げていた株式市場は欧州を中心に上昇していました。

欧州株の上げは、英国のEU離脱の条件で昨日の臨時EUサミットで正式合意が行われたことから、またイタリアが予算案の修正に応じる準備があると伝えられたことからでした。これによりイタリアとドイツ国債のスプレッドは284 BPと一月ぶりの狭さとなっていました。

火曜日金相場はドルが強含む中トロイオンスあたり1212ドルへと2週間ぶりの低さへ下げることとなりました。

これは、トランプ米大統領が前日、月末の米中首脳会談の結果次第で、中国からの輸入品すべてに関税を課す意向を示し、米中の貿易摩擦激化が警戒されたことから、また、クラリダFRB副議長が朝方の講演で米景気の現状を「力強い」と評価し、緩やかな利上げを支持する姿勢を示したこと等から、ドルが買われ、ドルインデックスが再び97を超える高い水準を推移したことからでした。

なお、前日トランプ大統領が週末EUと英国によって合意された英国のEU離脱のための離脱協定案は、米国と英国の貿易協定を困難とするものと述べるなど、英国議会での承認の見通しが立っていないことからポンドは下げていたことから、これも相対的にドルを強めることとなった模様です。

水曜日金相場は、市場注目のパウエル議長の講演で、現在の金利が中立に近いと述べたことでFRBによる利上げが休止される観測が広まり、米長期金利が下げ、ドルが4日ぶりに下げる中、金がトロイオンスあたり1225ドルまで一時上昇することとなりました。

なお、英国ポンドはイングランド銀行がEUの離脱による経済への影響を合意の無い秩序無き離脱の場合は金融危機を上回るインパクトと警告したことから、それまでの上げ幅を失っていました。また、同日英国ポンドが上昇していたのは、メイ首相がEU離脱のためにEUと合意した離脱協定案に、これまで否定していたものの、その反対意見が多いことからも修正を加える準備があると伝えられたからとの事でした。

木曜日金相場は、同日夕方のFOMC議事録の発表を待つ中で、ドルインデックスが2日連続で下げていることからも、前日の上げ幅を維持しトロイオンスあたり1225ドル前後を推移していました。

この間米株価は明日からのG20における米中首脳会談への懸念や、前日のパウエルFRB議長のハト派的コメントによる上げの利益確定もあり下げていました。なお、米中会談の懸念は、トランプ政権の対中強硬派であるナバロ国家通商会議委員長が米中首脳会談が行われるアルゼンチンのG20へ同行することが伝えられていることからとのことでした。

その後発表されたFOMCの議事録では、12月の利上げが確認された一方で、数人の参加者が「政策金利が中立水準に近づいて、追加利上げは景気を過度に減速させる」との懸念を表明したことも明らかとなり、利上げ打ち止めの時期を探る議論が始まっていることも確認されました。

本日金曜日金相場は、週末開かれるG20と米中首脳会談を前にドルが強含む中、ロンドン昼過ぎにトロイオンスあたり1217ドルへと下げています。

ドルが強含んでいるのは、週末の米中首脳会談を前にトランプ大統領が首脳会談が不調に終われば中国からの全ての輸入品に関税を課す考えを示していることから、警戒感からも株価が全般下げておりドルが買われている模様です。

また、本日発表された中国の製造業PMIが予想を下回り米中貿易摩擦の影響ととられたこと、ユーロ圏の消費者物価指数が予想を下回りユーロが下げていることも相対的にドルを強めたこと等からの模様です。

 

その他の市場のニュ―ス


  • 米国、カナダ、メキシコがNAFTAに代わる新貿易協定に金曜日署名したこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、月曜日に1.2トン減少した後、昨日木曜日まで変化なく761トンとなっていたこと。

  • 金銀比価は今週水曜日に86.58まで上昇した後、昨日85.08と高止まりしていること。

  • トランプ大統領がG20でのプーチン大統領との首脳会談をロシアがウクライナ戦艦拿捕し、兵士と戦艦を返還していないことが理由として中止したこと。

  • トランプ大統領の元弁護士がロシア疑惑で偽証を認めたこと。

  • 月曜日に発表されたコメックス貴金属先物・オプションの資金運用業者ポジションは、米国が感謝祭の休暇に入る前の先週火曜日にプラチナを除き、そのネットショートポジションを減少(もしくはネットロングポジションを増加)させていたこと。

  • コメックス金先物・オプションの資金運用業者ポジションは、19週連続で先週火曜日もネットショートであったものの、そのショートポジションは38%減の134トンとなっていたこと。


  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションも、先週火曜日に19週連続でネットであったものの、そのポジションは16.3%減の5,056トンとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者ポジションは、先週火曜日も3週連続でネットロングであったものの、そのポジションを13%減少させ、13トンとしていたこと。

  • それに対し、パラジウムの先物・オプションの資金運用業者ポジションは、先週火曜日もそのネットロングポジションを増加させ、4.39%増の41トンと引き続き今年3月6日以来の大きさとなっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週の市場注目イベントは、今週末に行われるG20及び米中首脳会談となりますが、それに加え金曜日の米雇用統計となります。

その他の指標としては、月曜日に発表される中国、ユーロ圏、米国の製造業PMIと米ISM製造業景況指数、水曜日の中国と米国のサービス部門のPMI、米ADP雇用統計、米ISM非製造業景況指数、パウエルFRB議長発言、ベージュブック、木曜日の米貿易収支、金曜日のユーロ圏第3四半期GDP等となります。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も英国では主要メディアはEUからの離脱を巡るメイ首相や政権とその他の党の動きを日々トップニュースで伝えています。

そのような中、明日が「世界エイズデー」の30周年であることからも、英国の労働党議員が自分自身がHIVポジティブ(HIV感染者)であることを議会で明らかにしたことがニュースとなっていましたのでご紹介しましょう。

この議員の名前はロイド・ラッスルーモイル(Lloyd Russell-Moyle)氏で、ほぼ10年前にHIVに感染したことが分かったとのことです。

ご存知かとは思いますが、HIVはヒト免疫不全ウィルス(Human Immunodeficiency Virus)の頭文字で、ウィルスの名前です。そしてエイズ(AIDS)は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome)の略称で、HIVに感染した人が、免疫機能の低下で合併症を発症した状態のことを示します。

ラッスル―モイル氏はHIVに感染しているものの健康状態には問題が無いとのことですが、自分自身がこのように公表することで、エイズやHIV感染者への偏見を解消すること、そしてHIVを感染しても健康な生活が送れることを伝えて、HIV検査を多くの人に行ってもらうためと説明しています。

英国議会で議員がHIV感染者であることを公表したのは彼が初めてで、HIV感染者と公表した議員としては2人目であるとのこと。

明日の世界エイズデーを前に英国では多くのキャンペーンが行われていますが、その一つがHIV検査をすることを勧めるビデオで、そのナレーションをしているのはヘンリー王子です。

彼の母親のダイアナ妃は、1987年に王室関係者としては初めてエイズ患者と握手をするなど、当時あった多くの偏見解消のために尽くしたことは有名ですが、ヘンリー王子はその遺志を継いでエイズ関連チャリティーをサポートしています。

ラッスル―モイル氏同様に、英国議会貴族院でご自身の病気の脳腫瘍について語り、そして今後の癌医療の向上を望むことについて演説をした、労働党議員のテッサ・ジョエル氏の事はこちらでもお伝えしました。

このように当事者でありながら、またそうであるからこそ、関わる病気や同様な病気を罹患している人々の環境を向上させるために立ち上がる人々の姿からは力をもらいます。

HIV検査が一般的に広まること、そしてHIVに感染した人々、エイズに罹患した人々が世間の偏見にさらされず、自分らしい生き方を続けられることを私も応援したいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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