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浄化触媒としてプラチナがパラジウムの代替となるには価格に加えて供給環境が重要

プラチナとパラジウムの価格差が350ドルを記録しました。

プラチナをガソリン車の浄化触媒として代替する動きに重要なのは、パラジウムの供給不足とその記録的な価格が関係しているようです。

今月100ドル上昇し、木曜日には1180ドルへと達したパラジウムは、プラチナの価格を350ドル超える記録的水準で取引されています。ちなみに、過去25年間の平均的な価格差はプラチナが475ドル上回るものでした。

また、プラチナと同グループのロジウムはパラジウム同様に2015年以来上昇し、2010年にも見られた高い水準のトロイオンスあたり2400ドルを付けています。プラチナは2003年後半以来の低い水準へと下げています。

「過去の価格のピークでは、プラチナはガソリン車でパラジウムの代替となっていました。」とワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)のリサーチダィレクターのトレバー・レイノルズは水曜日に語っています。

2000年にパラジウム価格がプラチナ価格を上回った急騰時に触れ、「今日においては価格のみでなく供給も重要なのです。」と、レイノルズ氏はWPICの第3四半期の市場分析レポートのローンチの際に語っています。

パラジウムはディーゼル車の浄化触媒には使われませんが、ガソリン車の浄化触媒としてパラジウムの代替に使うことができます。しかし、「その変更は簡単なものではありません。」と、二つの貴金属はその貴金属の応じて異なる浄化触媒となり、同じ浄化触媒で使われる貴金属だけを入れ替えるような簡単なものではないことを、ジェネラル・モーターのテクニカルスペシャリストのRahul Mital博士は先月説明しています。

他の様々な需要に加え、プラチナはその昨年の世界の工業需要の42%が自動車の浄化触媒で、しかもその主なものはディーゼル車用でした。しかし、2015年のフォルクスワーゲン車の排ガス不正問題のスキャンダルで、西欧における新たなディーゼル車の販売量が激減していた中で価格が急落したのでした。それは、この地域の2011年から新車登録数では56%減で、2018年夏にはディーゼル車はガソリン車を含む新車登録の中で35%以下となっています。

今年と来年のプラチナの需要は供給を50万オンス下回っており、WPICの新たなレポートによると、その量はプラチナの世界市場が232トンである中で、15トンとなるとのことです。

パラジウムの価格はこの間上昇し、新記録を更新しています。そして、プラチナとの価格差はトロイオンスあたり350ドルに達しています。そして、2017年の需要の79%はガソリン車の浄化触媒からのものでした。

そして、パラジウムの供給は需要を下回っており、精錬会社の大手ジョンソン・マッセイ―は2018年には7.4トンの供給不足、そして貴金属のコンサルタント会社のMetals FocusとトムソンロイターGFMS(現Refinitiv)は35トンの供給不足と予想しています。

「パラジウム価格はこの10年でほぼ3倍となっています。」とMetals Focusのレポートは述べ、「しかし、2018年の供給量は2010年に比べて10%増ほどに過ぎません。」とし、その理由はパラジウムは他の金属の副産物にすぎないためであるからと説明しています。

「多くの鉱山会社に置いてhあ、プラチナ価格の下げは、パラジウム価格の上昇で軽減されています。」とMetals Focusは説明し、新たな鉱山への投資を抑止しているとしています。

パラジウムの最大の産出会社のNornickel(MCX:GMKN)は、同社の全体の利益の36%がパラジウムによるものです。そして、ニッケル、銅、プラチナも産出しているロシアを拠点とする同社は今月、増加する需要に対応し、世界のパラジウムファンドで在庫を既に抑えながら、「2020年にパラジウムの一定している産出量を増加させると表明しています。」とMetal Focusはレポートしています。

「プラチナの需要は、2000年の価格のピークで助けられました。」とWPICのレイモンド氏は水曜日のプレゼンテーションで述べ、プラチナより通常は安いパラジウムがその年にトロイオンスあたり1000ドルまで上昇したことに言及しています。

そしてその反応として、浄化触媒として使われるプラチナの量が、1999年から2000年に61%増となったことにも触れています。これは、ガソリン車とディーゼル車からのものであり、ヨーロッパ自動車工業会(ACEA)のデータによると当時は西欧におけるディーゼル車の需要が、その新車登録数が全体の28.4%から40.3%へと急増した時期でもありました。

今後の先行きとしては、ハイブリッド車は、「典型的には低排出ガス車と認定されています。」と先月ボストンで行われたロンドン貴金属市場協会の年次会議で、GMのRahul Mital氏は述べています。

これは、低排出ガス車とするために、その車でガソリンエンジン、もしくはディーゼルエンジンを使う場合の浄化触媒として、通常の自動車よりも多いプラチナのみが使用されるか、その大部分がプラチナグループの金属が使用されるということを意味します。

現在、欧州や米国で適用されているより厳しい排ガス規制に対応するために、中国において自動車メーカーは、パラジウムの供給不足への懸念を高めていますと、WPICのレイモンド氏は述べています。

中国の6つの規制は、「欧米で行われたことのない水準」とし、浄化触媒の需要が高いPGM(プラチナ、パラジウム)業界にとっては「重大なこと」と続けています。それは、中国のより厳しい規制に対応するために「より大量のPGMが必要となる」ことから、パラジウムの代替としてプラチナがガソリン車で使われることになる可能性が高まるとしています。

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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