ニュースレター(2014年4月17日)1301.25ドル 中国の金需要への懸念が価格を押し下げる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1301.25ドルと前週同価格から1.3%下げることとなりました。
週明け月曜日は、ウクライナ政府が求めたウクライナ東部の庁舎占拠の投降期限であったことから、制圧作戦が本格化する懸念から、ロンドン時間早朝に金価格が過去3週間の最高値のトロイオンスあたり1329.85ドルを付け、高い水準で推移することとなりました。
翌火曜日は、金価格はトロイオンスあたり30ドル強急落することとなりました。これは、今月に入りウクライナ情勢などで上昇していた金価格の調整が入ったこと、それによりテクニカル分析上重要視される、1300ドルや200日平均移動線を割り、売りが膨らんだことからです。
また、同日発表されたワールド・ゴールド・カウンシルの中国需要レポートで、2017年までに1350トンへと需要が増加するであろうという予想であったものの、昨年の需要の急増で今年は多少伸び悩むとしたことも要因として上げられています。この詳細は、「中国の金需要が20%増加する際に直面する3つのリスクとは」でご覧ください。
水曜日の金価格はトロイオンスあたり1300ドルを挟み狭いレンジで推移しました。
本日は、翌日からのイースターの4連休を前に薄商いの中、狭いレンジで取引が行われる事となりました。そのような中、ロンドン時間昼過ぎに緩やかに上昇していた金価格は、米国主要経済指標のフィラデルフィア連銀景況指数が16.6と予想の9.8を大幅に上回るものとなったために、押し戻されることとなりました。
明日金曜日はグッドフライデー、月曜日はイースターマンデーで欧米は4連休となります。そのため、来週も薄商いが予想されていますが、来週発表される主要経済指標では、各国の製造業PMI、イングランド銀行議事録、米国耐久財受注及び小売売上高などに注目することになります。
ブリオンボールトニュース
先週金曜日に掲載されたCNBCの「金が1兆ドルの価値を失った急落から、今後戻すことはあるのだろうか?」という、昨年この時期に起きた金価格の急落を取り上げた記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメントが引用されています。
また、今週ファイナンシャルタイムズで、世界の金の指標となっているロンドン・フィッシングの今後のあり方についての記事が掲載され、Libor不正操作スキャンダル後、世界の金融市場の指標にスポットライトが当たる中、ロンドン・フィキシングの付けられ方を説明すると供に、学識経験者と市場関係者のコメントとして、弊社リサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
今週発表されたワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の中国の需要レポートに関して、WGCのマネージング・ディレクターのマーカス・グラブ氏がBBCラジオ4の番組「Today」でインタビューを受け、個人投資家がより簡単に金へ投資する方法として、ブリオンボールトと金のETFを勧めました。グラブ氏のインタビューは2時間47分まで早送りをしていただくとお聞きいただけます。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトリサーチ部門の「中国の金需要が20%増加する際に直面する3つのリスクとは」、「GFMS最新レポート: 2013年の金需要が史上最高となる」 -
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏の「英国王立難破船から引き上げたSilver Ingotでシルバーコイン鋳造」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週、英国では北朝鮮の金正恩第一書記のポスターを客寄せのために貼った理容室と、それに抗議した北朝鮮のことが多くのメディアで伝えられています。
この理容室のオーナーは、先月伝えられていた、北朝鮮の男子学生が皆第一書記と同じ髪型にしなければならなくなったというニュースを見て、キャンペーンを金正恩氏の写真を使って宣伝することを思いつき、「Bad Hair Day?(髪型が上手く決まらない日ですか?)4月中のヘアカットは15%オフ」として、金正恩氏の写真をポスターに使ったのでした。
ところが、この理容室はたまたま北朝鮮の大使館から徒歩で10分ほどのところであったことから、大使館員がポスターを張り出した翌日に店を訪れたとのことです。その際は、オーナーの名前となぜ金正恩氏の写真を使ったのかを聞いたとのことですが、オーナーが警察にこのことを届け出たた際に、北朝鮮大使館からも抗議の連絡が入っていたことを聞いたとのことです。
もちろん警察は取り合わなかったとのことですが、これをメディアが伝えた翌日水曜日には、北朝鮮大使館が正式に書面で英国外務省に苦情を入れたことが主要日刊紙で伝えられています。
北朝鮮大使館員がこの理容室を訪れた際に、理容室のマネージャーは、「ここは民主主義の国だ。」と反論したようですが、北朝鮮の常識が他国では意味を成さないことを大使館員が理解できない事自体が、北朝鮮の状況を表しているように思います。
折しも今週、3月末に再開した日本と北朝鮮の政府間協議で、北朝鮮側が拉致被害者の再調査に条件付きで応じる意向を示していることが伝えられていましたが、今回の北朝鮮大使館の反応を見る中で、この協議がスムーズにいかないように思えるのは、杞憂であってくれることを願うばかりです。
それでは、良いイースターをお迎えください!