中国の金需要が20%増加する際に直面する3つのリスクとは
中国の金需要の長期に渡る増加は確実であるとワールド・ゴールド・カウンシルがレポートしている。
世界一の金需要を誇る中国が、2017年までに更に20%需要を増加させることを、金の市場開発団体であるワールド・ゴールド・カウンシルが、本日レポートで明らかにした。
しかし、中国政府が、投資と輸出主導で成長してきた経済を、国内消費と低い金利主導へと転換することを試みることから、この増加は短期的にはいくつかのリスクを持ち合わせていることも、このレポート(China's gold market progress & prospects)は述べている。その3つのリスクとは下記のようなものとなる。
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中国の膨大な債務超過から信用収縮のリスクの高まり、GDPと消費を抑える。 -
実質金利がプラスとなることが、宝飾品や金投資需要の直接的なリスクとなる。(銀行金利は2003年以来インフレを下回っている。) -
2013年の金宝飾品需要があまりにも高かったために、今年はある一定の「調整」が入る可能性がある。
ゴールドマン・サックスのアナリストは、600億ドル相当の金地金が、中国の「ファイナンシング取引」のために利用された可能性があるとしている。これは、すでにシャドーバンキングローンで主に利用されるとスポットライトが当てられていた銅の3倍の規模となる。ワールド・ゴールド・カウンシルのレポートのためにリサーチを行ったPrecious Metals Insightは、この総額は2013年末までに400億ドル(約1000トン)相当としている。
中国の10年以上続く、「超低金利」は、貯蓄者にとっては実質金利を失っているものであると、ワールド・ゴールド・カウンシルのレポートは説明している。これが、「金投資商品の高い需要を確固としたものであり」、多くのアナリストは、米国金利とドル建て金価格の関係を認識している。
先週、そのビジネス規模が世界最大の宝飾品店のChow Tai Fookが、その店舗において2013年の1月から3月と比較して、今年は9%減であると、中国の需要の減速を確認している。
中国に根付いている金を好む文化の観点から、先のリスクを議論した上で、ワールド・ゴールド・カウンシルは、「今後も長期間に渡り中国にスポットライトは当たり続けるだろう」としている。
アーネスト・ヤングの、中国の中産階級が2010年までに67%増加し5億人に達することに言及し、「個人貯蓄額は増大なものがある」と、このレポートは述べている。しかし、「貯蓄全体の金の割合は、比較をすると非常に低いものだ。」と続けている。
中国一般庶民の貯蓄額は7兆5千億ドルに達し、個人の金保有額の25倍であるのに対し、一昨年まで世界最大の金消費国であったインドにおいてこの割合は、1対1となっている。
Preciouse Metal Insightの分析とデータを基に、ワールド・ゴールド・カウンシルは、2017年の金需要量は、昨年から20%増の1350トンになると予想している。