ニュースレター(2014年2月21日)1323.25ドル FOMC議事録が金価格を押し下げたものの米国指標の悪化が押し戻す
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1323.25ドルと前週同価格から0.2%の上げとなっています。
週明け月曜日は、金価格はトロイオンスあたり1328ドルと前週の流れを受けて上昇することとなりました。
同日上海黄金交易所での金のプレミアムが7ドルに上がり、取引量20億ドル超えるなど、昨年11月以来の高水準となったことが伝えられていました。また、銀の最も人気のあるコントラクトの取引量も25億ドルへと昨年9月半ば以来の高さとなったとのことです。
翌火曜日は、アジア時間に日銀金融政策決定会合で量的緩和継続を確認すると共に、「貸出増加支援と成長基盤強化支援のための貸出支援制度について、それぞれ規模を2倍とした上で、1年間延長することを決定」したことからドル高となり、金価格は前日までの9日間の連騰の調整からも下げることとなりましたが、その後、ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想と前回を大きく下回ったために価格を戻すこととなりました。
水曜日もまた、前日同様にアジア時間に売り込まれながらも、同日発表された米国1月住宅着工件数が予想を下回るものであったことから価格を戻しました。しかし、ロンドン時間午後7時に発表されたFOMC議事録の発表でその内容がよりタカ派的と理解されたために、金価格は再び下げることとなりました。
これは、現行の量的緩和縮小は今後も維持することが大半の委員によって支持されたこと、そして「比較的早期にFF金利 の引き上げが適切であるとの可能性を挙げた」当局者が「数人」いたことが明らかとなり、市場からの資金の引き上げの継続と金利の引き上げが議論されたという、金にとってはネガティブである2つの点が確認されたことからです。
木曜日は、前日の下げの反発から緩やかに上昇する中、一時大きく売り込まれたものの、米国のフィラデルフィア地区連銀製造業景況指数が予想の+10を大きく下回る-6.3であったことから、金は買い戻され更に1324ドルまで上昇することとなりました。
本日金曜日は、アジア時間に下げたものの、ロンドン時間に戻し、現在1320ドル辺りを推移しています。
他の市場のニュース
- ワールド・ゴールド・カウンシルが最新の金需給のレポートを発表し、昨年の年間の金の需要は前年比15%減の3756トンであったことを明らかにしたこと。詳細は、ゴールドニュースサイトの「[WGC]2013年の世界の消費者の金に対する需要は過去最高水準に」をご覧ください。
- ロイター通信が、スタンダードバングが、ロンドンの値付け(Fixing)からの撤退を表明しているドイツ銀行のポジションを譲り受ける話し合いの先頭に立っていると伝えたこと。
- UBSが金相場予想を引き上げたこと。この詳細は、「金価格が相場予想に反して上昇し、アナリストが金相場予想を引き上げる」をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週、主要英国紙のテレグラフの記事「投資家が安全を求めることで(上昇した)金価格が中国の信用危機の訪れを示唆」で、昨今の金価格上昇の背景の一つとして、信用危機の可能性を高める中国の状況について解説しています。
また、英国投資サイトの「What investment」の「新興国の需要が金価格の底値を固め、価格が2年ぶりの高値へ」の記事で、エィドリアン・アッシュの金市場の解説を取り上げています。ここで、エィドリアンは、新興国の消費者の生活水準が上がることで宝飾品の需要が伸びるとともに、中国のような新興国の今後の経済の先行き不透明感もまた金の需要を押し上げるとし、この2つの要因が金の底値を固めるであろうと解説しています。
先週来の金価格の9日間の連騰に関わる英国主要紙タイムズ「金に注目:地金に強気?」の記事で、ブリオンボールトのリサーチ部門の、9日間の金価格連騰が過去40年間に10度のみ起こったという統計が取り上げられています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールト・リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「異なる通貨における金価格」
- ブリオンボールト・リサーチ部門の「金価格が相場予想に反して上昇し、アナリストが金相場予想を引き上げる」
- スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏の「動き始めたシルバー」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
英国からのニュースはソチ・オリンピックから。
まず、昨夜の浅田真央さんのフリープログラムに関して、中継をしていたBBCの解説者ロビン・カズン氏(レークプラシッドオリンピック金メダリスト)は、彼女の技術力の高さに感嘆するとともに、前日のショートプログラム後16位から見事に6位まで浮上した精神力を称え、昨夜のフリーを行った全ての選手の中でも心に残った選手の一人と絶賛していました。
英国はこのオリンピックでは金曜日午後4時の段階で、1個の金、1個の銀、2個の銅メダルを獲得しています。これは、過去の実績でも高い水準です。
日本女子とも戦ったカーリング女子は、準決勝で敗れたものの、3位決定戦を僅差で勝ち取り銅メダルを受賞し、カーリング男子は本日銀メダルを受賞しました。
カーリングは英国とオランダが発祥の地で、最初のルールが設定されたのは1833年で、エジンバラのグランド・カレドニアン・カーリングクラブとのこと。過去に英国男子は1924年、英国女子は2002年に金メダルを獲得しています。
今回の両チームの頑張りで英国では一気にカーリングブームが起こっています。ハリウッドスターのジョージ・クルーニーもファンであるとのことですが、英国プレミアリーグのサウスハンプトンの選手たちが更衣室でカーリングまがいのゲームをしているビデオがBBCでも紹介されるなど、カーリング人口が今後増えることとなりそうです。
今週末で閉幕するソチ・オリンピックでは、また様々なドラマが生まれ、人々に多くの感動を与えくれたようです。