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動き始めたシルバー

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、2月に入り上昇を始めた銀価格の動向を解説しています。

昨年の11月くらいからずっと19ドルから20.50ドル近辺が異様に重たく頭が抑えられてきましたが、ここに来てようやくシルバーも大きく値を上げました。今週はシルバーを見てみます。

 
「20.50ドルの壁と200日移動平均線」

シルバーは基本的にゴールドと動きをともにします。米国でPoor man’s goldと呼ばれる所以です。しかしここ数ヶ月は上へも下へもその動きは鈍いものでした。そしてようやく先週2月14日に、ゴールドが1300ドルを超え ると同時に、シルバーもここ数ヶ月の天井であった20.50ドルをブレイク、一挙に20.85までストップと見られる買いにより、一挙に上昇。そして同日 中にこれまたゴールドと同じく200日移動平均線(ゴールドは1304ドル、シルバーは21.03ドル)を上回りさらにテクニカルな買いを呼び込むことと なり、一時ゴールドは1330ドルまで、シルバーは22ドル直前まで上昇しました。

 
(シルバーとゴールド価格の動き:直近)
 
(シルバー5年チャートと200日移動平均線)
 
「Silver ETF とNymexの投資家ポジション」
 

Nymexの投資家ポジション、Silver ETFともに増加傾向にあり、投資家の買い意欲がここに来て一挙にシルバーに向いてきているようです。下のチャートの白いラインがETF残高(単位はオン ス)、黄色いラインがNymexの投資家ポジション(単位は取組み枚数)、緑のラインがドル建てシルバー価格です。Nymexのポジションはゴールドのそ れを比べると増減が激しいのが特徴で、大きく売られるときは、しばしばこれがネットショートになりえます。昨年もこのチャートでは3回投資家がネット ショートに回っており、そのたびにシルバーの価格が大きく下げています。4月2日には-2211ロット、6月29日には-2419ロット、12月3日には -6363ロットというショートポジションになっていますが、今年に入っても2月4日に-876ロットにネットショートがあり、その後、2月11日には 2851ロットのロングに変わっています(ちなみに1ロットは5000オンス、約155kgです)。ゴールドの場合はここ何年も投資家がネットショートに 回ったことはありません。これだけめまぐるしくポジションが変わるのはシルバーの特徴だといえます。おそらくは米国のmom & dad investors(多くの小口個人投資家)の動きを象徴しているのでしょう。ゴールドの場合はその大きな部分を占めるのは大口のファンドだと思われま す。

ETFはここ数ヶ月の減少傾向に歯止めがかかり、2014年に入ってからは増加傾向にあります。現在は19145トンの残高があり、その中での最大のも のはiShareのSilver ETFでこれがほぼ10,000トンあります。過去最高の残高は19960トンです。シルバーの年間鉱山生産量が約24000トンであり、現在のETFの ポジションは年間生産量の約80%もの残高になります。ちなみにゴールドは年間生産量2800トンに対して現在は1733トンで約60%というところですが、2012年末の最高残高は2647トンでそのときはほぼ95%に達したことがあります。現状を見る限りゴールドよりもシルバーの方がETFが相場に対 して持つ影響力が大きいと考えられます。2013年を通してゴールドのETFが34%も残高を減らしたのに対して、シルバーの残高減少はわずかなものであり、このあたりもファンドが多いゴールドに対して個人投資家がメインであるシルバーの特徴と言えるかもしれません。

 
(Silver ETFとNymex 投資家ポジション)
 
「金銀比価 Gold Silver Ratio」
 

ちょうどいい機会なのでGold Silver Ratioについても見ておきましょう。Gold Silver Ratio(ゴールド価格をシルバー価格で割ったもの。つまりその比率)には正しい答えはおろか理論値さえもありません。17世紀に当時のイギリスの王立 造幣局長官Sir Isaac Newtonが、1:16という金銀比価を決めたという歴史があります。そして1980年のハント事件では、彼らは世界中のシルバーを買占め、真剣に 1:5の金銀比価を目指していたといわれています。

 
 

Gold Silver Ratioの過去50年間の動きをみるとその平均は56、高値(もっともシルバーが割安になったとき)は92.93、安値(もっともシルバーがゴールドに対して上がったとき)は15.9でした。

 
 

そして過去5年の動きででは高値が73.4、安値が31.7、平均は57となっています。ということは現在の60というレベルは歴史的にみると中立もしくはシルバーが比較的に少し安いレベルにあります。

 
「2013年Silver Eagle Coinの売り上げが過去最高に」
 

米国の造幣局が発行しているイーグル1オンス銀貨の売り上げが2013年は過去最高になりました。造幣局は42,675,000枚のコインを売り、 33,700,000枚であった前年を26%上回りました。この数字は1986年の発売開始以来の最高の売り上げとなります。これは米国のみならず、オー ストリアのウイーンフィル銀貨は62%の伸び、カナダのメープルリーフは60%の伸び、パースミントは41%の伸びとなっています。このシルバーコインの 買いは今年に入ってからも続いており、6,500,000枚のシルバーイーグルコインがもはや売れています。圧倒的に個人の現物への興味が盛り上がってい るといえるでしょう。

 
(American Eagle Coin売り上げ)
 

シルバーを動かしているのは個人投資家かもしれません。値動きパターンからもみても、ゴールドのよりもより、投資家が入ってきやすい地合いにあると思わ れます。これまでのレジスタンスを抜いたことにより、より個人が動きやすい状態にあり、これまでゴールドに対しても動きが鈍かった分、ゴールド以上に上げ幅が拡大する可能性も大きいと思われます。これからはちょっとシルバーが面白くなってきました。

 

以上

池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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