ニュースレター(2013年10月4日)1309.75ドル 米財政協議が難航し、金価格が乱高下
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1309.75ドルと、前週同数値から2.3%の下げとなっています。
週明け月曜日は、第3四半期最終日であることと、米国議会における財政協議で共和党と民社党の歩み寄りが見られないことなどから、換金売りが進み、金価格は緩やかに下げることとなりました。
翌火曜日、米国の財政協議は合意に至らず、一部米政府機関が閉鎖されることとなり、金価格はトロイオンスあたり50ドルほど急落することとなりました。このニュースが伝わったロンドン時間早朝には、金は買われ多少上昇したものの、ニューヨーク時間開始と共に大量の売り注文が出され、これまでの底値サポートラインの1320ドルを割ったところで、更なる売りが入り、1300ドルを割ることとなりました。
水曜日は、前日の下げの反発で金価格は上昇することとなりました。そのきっかけは、米ADP全国雇用者数の9月数値が予想を下回り、8月数値も下方修正されたことですが、財政協議に進展が見られない中、量的緩和縮小時期が先送りされる観測も広がった模様です。
木曜日も財政協議の状況に市場が注目する中、その協議に進展が見られないことへの懸念と、中国がゴールデンウィークの休暇中で需要が伸びないことなどから、金価格は緩やかに下げたものの、ニューヨーク時間では戻すこととなりました。米国のデフォルトの懸念はあるものの、市場ではその回避は可能だろうという楽観的な観測もあり、神経質な動きをするものの、価格のレンジは限られていました。
本日金曜日は、発表予定であった米国雇用統計は、米政府機関が一部閉鎖されているために延期されることとなり、大きなニュースがないにもかかわらず、ニューヨーク時間開始と共に金価格は乱高下することとなりました。
他の市場ニュース
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中国政府の金輸出入のの更なる自由化が発表されたこと。この詳細は、「中国の金取引が更に自由化される」をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週ブリオンボールトがまとめている金投資家インデックスの9月数値がブルームバーグで取り上げられました。ここでは、FRBによる量的緩和縮小観測が広がる中、個人投資家の金投資傾向は前月比下げたものの、引き続き強気であったことが明らかとなっています。
また、金の情報を集めている日本語サイトゴールドニュースでも「FRB量的緩和縮小観測の中、金投資家インデックスは強気傾向続く 」と取り上げていただいています。
ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のローマでの会議に出席していたブリオンボールトのエィドリアン・アッシュが、KITCOニュースでインタビューを受け、米財政問題、緩和縮小、ドット・フランク法などの金市場への影響などを含め、インドと中国需要を含む今後の金市場を分析しています。
今週の米政府機関一部閉鎖の金市場に及ぼす影響についての、米主要経済サイトMarketWatchの「短期的政府機関閉鎖は金の押し下げ要因」の記事で、アジアの需要について語った弊社エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
今週市場分析ページには、下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールトリサーチ主任のエィドリアン・アッシュの「量的緩和縮小見送りが金投資家心理に与えた影響」、「ロンドン貴金属市場協会(LBMA)2013年次会議において」 -
ブリオンボールトリサーチ部門の「中国の金取引が更に自由化される」 -
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏の「アメリカの米財政協議を巡る不安とゴールドのファンダメンタル」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
英国では、夏休み後各政党が党大会を行ないます。今週は現在自由民主党と連立政権を組んでいる保守党が、マンチェスターで党大会を行なっており、その様子が大きく報道されていました。
そのような中、英国主要日刊紙のディリーメイルが現労働党党首のエド・ミリバン氏の亡き父親で経済・政治学者のラルフ・ミリバン氏の思想について批判したことから、労働党とこの日刊紙の論争となっています。ご存知のように、英国の主要紙はそれぞれの政治的立場を明確にしています。ディリーメイルは保守党を支持しており、保守党大会が行なわれている週にこの記事を出したのは、計算されたものであったかもしれません。
この記事は、ベルギー生まれでポーランド系ユダヤ移民のラルフ・ミリバン氏が「英国を嫌っていた」という見出しで掲載されていました。エド・ミリバン労働党首は、スピーチなどで亡き父親の影響を強く受けたことをしばしば語っていますので、この日刊紙は、マルクス主義政治理論の研究者であったラルフ・ミリバン氏の17歳の時に執筆した「英国人が過激な国家主義であるために、第2次世界大戦で敗れ間違いに気が付くことを望みたくなる」というものや、その後45歳の時の英国の社会的に確立した制度への侮蔑的コメントに言及し、英国を嫌っていたと結論付ける記事を掲載し、エド・ミリバン党首への影響にも疑問を投げかけていたものです。
この記事に対し、キャメロン首相をはじめ、多くの政治家が、ミリバン労働党党首の亡き父親を攻撃したことを声高に批判する半面、時期首相を狙う野党党首の思想形成に深く関わった父親を取り上げることは理解でき、メディアが政治家の詳細を調べ上げる権利はあくまでも守られるべきという現政権で大臣を務める政治家のコメントも出されています。
近年メディアの行き過ぎた知る権利による人権侵害が問題になっていましたが、今回再び英国で長く培われてきた報道の自由への活発な議論が行なわれています。
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