金市場ニュース

ニュースレター(11月28日)1182.75ドル スイス金準備に関わる国民投票を控え、原油安と共に金相場が押し下げられる

週間市場ウォッチ

今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1182.75ドルと、前週同価格から1.7%上げています。

週明け月曜日は、ダラス連銀総裁がインフレ懸念を否定こともあり、金相場は緩やかに下げることとなりました。

火曜日は、米第3四半期GDPが予想を上回ったことから、一時的に下げたものの、その後発表の同国ケース・シラー住宅価格指数や消費者信頼感指数が予想を下回り、戻す事となりました。

水曜日は、翌日からの感謝祭の休暇を前に発表された米国主要経済指標は、景気の停滞を示すものが多く、日曜日にスイスの金準備に関する国民投票を控えることからも狭いレンジの取引の中、金相場は支えられることとなりました。

木曜日ロンドン早朝にトロイオンスあたり15ドルほど急落したのは、何らかの操作が行われたという噂も流れましたが、米国が感謝祭で休日であった金相場はその後戻したものの、取引薄の中1188ドルまで下げることとなりました。


なお、この下落は同日行われていた石油輸出国機構(OPEC)で減産見送りが伝えられる中、原油価格が大きく下げたことにも影響されていた模様です。

本日金曜日は、週末日曜日にスイスの金準備に関わる国民投票を控え、原油価格が下げる中、金相場は緩やかに下落しています。

このスイスの国民投票は可決しないと予想されていますが、賛成多数となった場合は、スイス中銀は金準備を全資産の20%へ引き上げることが義務付けられ、金相場へ影響が出ることが予想されています。この国民投票については、「スイスの金準備売却禁止の国民投票の行方」をご覧ください。

他の市場のニュース


  • 10月の香港から中国大陸に輸出された金の量が13%増加し、111.409トンとなったこと。ネット輸出量は77.628トン。

  • ドイツ銀行が貴金属現物取引から撤退することが伝えられたこと。

  • インド政府が経常赤字対策として、2012年1月から金輸入税を引き上げてきたことに加え、2013年7月に課した、金輸入規制の1つである「80:20の原則」(金の輸入に対し20%を再輸出)を撤廃したこと。詳しくは、「インド政府が「80:20の原則」(金の輸入に対し20%を再輸出)を撤廃」をご覧ください。

  • LMEが来週月曜日からプラチナとパラジウムの値決めの新方式を開始するにあたり、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が、銀の値決めデータ同様に、プラチナとパラジウムの値決めデータを月曜日から所有することが伝えられたこと。

ブリオンボールトニュース

週末30日のスイスの金準備に関する国民投票のCNBCの記事で、ブリオンボールトのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。ここでエィドリアンは、週末の国民投票を前に、ブリオンボールトのスイスの顧客が金を積みましていることに触れています。

今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。

ロンドン便り

今週英国の主要メディアは、元保守党下院院内幹事長アンドリュー・ミッチェルが、「Plebgate」と呼ばれる事件で閣僚辞任に追い込まれたことに対し、日刊大衆紙Sunを名誉毀損で訴えていた裁判で敗訴したことを広く伝えています。

この「Plebgate」とは、2012年9月にミッチェル氏が首相官邸でのミーティングの後に自転車で帰る際に、自動車用の正門ゲートを開くよう求めたところ、警護の警察官に断られ、歩行者用のゲートを使うように言われたため激高し、「平民(Plebs)」など不適切な言葉を使ったと非難され辞任した事件です。

ミッチェル氏は「平民(Plebs)」という言葉を使ったことは現在も否定していますが、階級社会性が強く残る英国にあってこのような発言は訴追の対象になり得るために、当時保守党支持率が下がる中、彼は辞任せざるを得なかったのです。しかし、3ヶ月後に新たな事実も明らかになったのでした。

それは、BBCの時事政治番組であるニュースナイトの元政治部長の記者が、事件を目撃したとして苦情のEメールを送った人物が、実は警察官でその場にいなかったということを探り当てたことなどから、キャメロン政権で行っている緊縮財政の一環としての、警察予算の大幅カット、警察年金引き下げなどで不満を持つ警官たちが共謀してミッチェル氏を陥れたのではないかという疑いが浮上したのでした。

ミッ チェル氏はその後この事件を最初にレポートした日刊大衆紙Sunを名誉毀損で訴え、その後この事件の当事者の警察官に訴えられた裁判の判決は、ミッチェル 氏の敗訴と今週27日に下りました。そのため、ミッチェル氏は両当事者の裁判費用である2百万ドル(3.7億円)相当の支払い義務を負うことになるとのことです。

本日は、ミッチェル氏を擁護する退職警察官のコメントが主要日刊紙で取り上げられるなど、この判決に対する反応は様々ですが、先週のロンドン便りでもお伝えした、労働階級を嘲笑ったとして辞任に追い込まれた労働党のレックレス下院議員といい、英国に未だ現存する階級問題の底深さを感じさせるニュースとなりました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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