ニュースレター(11月21日)1203.75ドル 中国のサブライズ利下げで金相場上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1203.75ドルと、前週同価格から2.9%の上げとなっています。
週明け月曜日は、前日遅くに発表の日本の第3四半期GDPが予想を下回りマイナスとなり、リセッション入りが伝わる中、金相場は狭いレンジでの取引となりました。
翌火曜日は、先週金曜日のようにショートカバーで金相場は過去3週間で最高値の1200ドルを超えることとなりました。またこの上げは、ユーロ圏のZEW景況感調査のデータが11.0と予想の4.3を大幅に上回ったことからも、ドルが対ユーロ弱含んだこともサポートとなったようです。
水曜日は、今月30日に行われる金準備売却禁止を問うスイスの国民投票の世論調査の結果を待つ中、前日の流れを受けて金相場は緩やかに上昇していました。しかし、世論調査の結果が賛成38%と、前回の44%から下げたことから、金相場はトロイオンスあたり20ドルほど下げ、その後戻すという神経質な動きをすることとなりました。
スイスの国民投票で、金市場が注目しているのは、賛成多数で法案が可決された場合に、スイス中銀が現在の全資産の8%弱の金準備を20%に引き上げなければならないという点です。これにより、追加購入されなければならない金の総量は1500トンほどとなり、5年間で達成するとしても、年間の金需要が4000トンほどであることからも、金市場に影響を与えると見られているためです。
また、やはり市場が注目していたロンドン時間夕方に発表されたFOMC議事録では、インフレ期待の低下を警戒する必要があるとしながらも、低金利の継続に関して一部メンバーは「相当な期間」の文言削除を要請したことから、金利引き上げ時期が早まる観測が広がり、一時1195ドルまで戻した金相場は1180ドルへと下げることとなりました。
木曜日は、金相場は前日の反発で1196ドルまで上げた後、同日発表された経済指標の結果はミックスなもので今ひとつ決め手がなく多少戻す事となりました。
本日金曜日は、アジア時間終わりに中国の利下げが伝えられ、金相場は他のコモディティと共に上昇することとなりました。中国の利下げは2年4ヶ月ぶりで、市場が予想していなかったことからも、このような上げとなった模様です。
また、本日行われたドラギ欧州中銀総裁の会見で、「インフレ率を上げるためにできる限りのことをする」と述べたことが伝えられ、ユーロが対主要通貨下げることとなりました。
他の市場のニュース
-
ECBのメルッシュ専務理事が、量的緩和の資産購入において、理論的には国債などと同様に金も購入可能であると述べたこと。 -
ロシアの中銀が今年150トン金を購入し、金準備が前年比1.6%増の1170トンとなったこと。これは、7ヶ月連続の購入。 -
IMFの発表では、世界の金準備は10月にウクライナが14トン減少し26トン、ロシアは18.9トン増加し1169トン、トルコは2.7トン減少し521トン、アゼルバイジャンは3.2トン増加誌30.2トン、ベラルーシは、2.1トン増加し、41.1トンとなったとのこと。 -
オランダの中銀が国外に保管している金準備を自国へ輸送すると伝えられ、現在オランダ国内に11%、米国に51%、カナダに20%、英国に18%保管されている金準備を、オランダ31%、米国31%とし、カナダと英国の金準備は動かさないと伝えられたこと。
ブリオンボールトニュース
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
-
ブリオンボールトのリサーチ部門の「インドの金輸入がインドの祝祭日前に2013年の金急落時同水準まで倍増」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国では、英南東部のロチェスターで補欠選挙が行われ、トップニュースとして伝えられています。
この補欠選挙は、同選挙区で保守党候補として当選していたレックレス下院議員が、英国独立党へ9月に移籍したことから、レックレス氏が英独立党候補として出馬し、保守党や労働党候補と戦ったのでした。
結果はレックレス氏が42%を獲得して保守党候補の34%を破りました。このため、英独立党は10月にも行われた、保守党からやはり移籍したカーズウェル氏が補欠選挙で獲得した初議席に次ぎ、貴重な下院2席目を獲得しました。
また、今回はこのニュースとともに、ロチェスターの補欠選挙に応援に行っていた、エミリー・ソーンベリー労働党議員がツィートで掲載した写真が問題となり辞任したことも大きく伝えられています。この写真とは、白地に赤い十字のイングランドの国旗が雨樋から下げられている家の写真です。
英国国旗は、ご存知のようにイングランド旗とスコットランドの旗とアイルランドの旗が合されて作られています。英国として参加するオリンピックなどではこの国旗を掲げますが、サッカーやラグビーなどのスポーツでは、それぞれの地域で戦うために、ワールドカップなどの時は、イングランドではこの旗が広く掲げられます。
そして、イングランドの旗をこの写真のように家に掲げるのは、労働階級である場合が多いため、この労働党の議員は、労働階級の習慣を嘲笑っていることが問題とされ、辞任に追い込まれたのでした。
全ての選挙民に敬意を払うべき議員、そして特に労働階級の人々の権利を守るべき政党の議員の行為となると、辞任も致し方ないかもしれません。
ソーシャルメディアの影響力の強さ、そして英国内に潜在的に存在する階級への偏見などが明らかになったニュースでした。