ニュースレター(10月31日)1164.25ドル FOMC緩和終了と日銀の追加緩和が金相場を2010年の水準へと押し下げる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1164.25ドルと前月同価格から5.6%下げ、過去4年間で最低水準となっています。
週明け月曜日は、週半ばに予定されているFOMCを前に緩やかに下げることとなりました。
翌火曜日は、米耐久財受注が予想を下回ったことから、トロイオンスあたり10ドルほどの上げを見せました。しかし、その後発表された米消費者信頼感指数が予想を上回ったこと、また今回のFOMCで量的緩和終了が予想される中、緩やかに戻すこととなりました。
水曜日の市場注目FOMCでは、予想通り米量的緩和第3弾は終了し、金利目標も据え置かれました。また、FOMCの声明では、労働市場について「全般的に、種々の労働市場指標は労働資源の活用不足が徐々に 解消している(gradually diminishing)ことを表している」とし、これまで用いてきた「著しい(significant)」資源活用不足との表現が改められたことから、 タカ派的と解釈され、金相場は大きく下げることとなりました。
木曜日は、同日発表された米第3四半期GDPが予想の3.0%を上回る3.5%となったことから、金相場は下げ幅を削り、現在トロイオンスあたり1200ドルを割ることとなりました。
本日金曜日は、日銀金融政策決定会合でマネタリーベースを年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うことが決定され、日経平均株価が4%増の高値を付け、円が対ドル過去7年来の低値へと下げる中、金相場は2010年7月以来の下げとなっています。
他の市場のニュース
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香港からの中国への金の輸入が9月に68トンと過去6ヶ月で最も高水準となり、前月の27トンから急増したこと。 -
ソシエテ・ジェネラルによると、スイス中銀の金準備売却禁止の住民投票が賛成可決されると、世界の金の需要が10%増加すると発表したこと。 -
ロシア中銀が金準備を120万トロイオンス増やし、3700万トロイオンスとし、アゼルバイジャンとカザフスタンも金準備を増やしたとのこと。 -
中国黄金協会によると、今年9月までの金の需要が、前年比21%減少し755トンとなったこと。金産出量は、同期間に14%増の352トン。
ブリオンボールトニュース
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ブリオンボールトのリサーチ部門の「ロンドン金値決めの行方」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国では、毎年恒例のポピーアピールについて、広くメディアが伝えています。
ポピーアピールは、毎年10月半ばから始まり、戦没者の遺族や戦争で怪我を負った人々、引退した人々をサポートするための募金活動で、11月11日の戦没者の日まで続きます。
この間人々は、募金をしてポピーを型どった飾りをもらい、コートやジャケットに付けて戦没者や負傷した人々を思います。
今年は第1次世界大戦勃発から100年であることからも、ロンドン便りで以前もお伝えしましたが、多くの行事が行われています。その1つが、タワーブリッジの堀の跡地にセラミック製のポピーを11月11日まで飾るという、アートインスタレーションです。この数は、888,246本と第一次大戦で亡くなった英国とコモンウェルスの兵士の数と同数で、今年7月から8000人のボランティアによって数ヶ月かけて飾られました。このポピーは、既に25ポンドで販売されており、その収益金は戦没者関連の6つのチャリティー団体へ寄付されることとなっています。
この壮観なイメージは、インディペンデント紙でご覧いただけます。
インディペンデント紙の記事によると、2011年から2012年までのポピーアピールへの募金総額が初めて減少したとのこと。昨年は増加したものの、2011年4280万ポンド(約7.5億円)には及ばなかったとのために、今年は4000万ポンドを超えることを目標としているとのことです。世界大戦を語れる人々が少なくなる中、アフガニスタンやイラク戦争へも参戦した英国では、これらの戦争での戦没者や戦争負傷者を今後もサポートしていくために、ここでの戦闘を経験したイギリス王室のウィリアム王子やハリー王子も、これらの活動に力を注いでいます。
イギリスの風物詩となっているポピーアピールですが、これからも若い世代に受け継がれ、息長く続いていくことでしょう。