震災とゴールド、パニックを乗り越えて
先週は震災、その日のレポートを書きましたが、今週は震災以降の金相場をみてみます。上のチャートは震災の11日から22日までの金相場とユーロの動き です。地震そして津波が起こったのが11日の日本時間の午後2時46分。その直後はどれくらいの被害の状況かだれにもわからず、とりあえずは週末のショー トカバーが先行。地震直後は1415ドル近辺、ロンドンは若干弱含み(そう、我々が寒い中歩いて帰っているそのときです。)この日のニューヨークは 1420ドルまで上げて一週間が終わりました。 しかし週末、時間の経過とともにその被害状況が明らかになり、マグニチュード9という未曾有の大地震と想定を大きく超える津波による行方不明者は1万人を越え、阪神淡路大震災をはるかに越える規模になることがはっきりしてきました。 週明けの14日は未曾有の災害は金買いを呼び、とりあえずはまず金は買われました。この日は1420-1430ドルの間での比較的静かな動きに終始。大 きく動いたのは翌日15日でした。地震や津波そのものよりも、福島原発事故が海外の不安を大きく煽る結果となりました。その結果、とにかく持てるものをす べて売るといういわゆるcash outの動きにより、メタル、株、ドル、すべてのものが激しい売りにさらされることになります。日経平均は一時1200円を超える下げ、ゴールドはニュー ヨークで1382ドルまで震災前からほぼ40ドル近い下げを記録しました。原発の問題は、欧米の人間にとってはパンドラの箱を開けたような話なのでしょう か。明らかに地震・津波の時の「同情」の反応から、共有する「恐怖」へと反応が変わった気がします。日本に来ている外国企業の外国人たちが一斉に東京から 離脱、私の銀行でも、日本への渡航禁止と矢継ぎ早に対応措置がとられていきました。Japan Riskは非常にリアルなものとなりました。「恐怖指数」と呼ばれるVolatility Index (VIX)は震災前は20であったものが、16日には一時30まで急騰、海外の人々にとって原発がいかに恐怖を呼び起こすものであるのか、非常に感じさせ られた震災翌週前半でした。
しかしこの流れも週末を控えた木曜日、金曜日でだいぶ落ち着いてきます。パニックはいつまでも続くものではないのです。震災で最終的におそらく2万人以 上もの人が命を落したにもかかわらず、日本国民の落ち着いた対応に世界の驚きが寄せられているのもその理由であるかもしれません。またほぼ10年ぶりにな る協調介入による過剰な円高の阻止の動きも市場に落ち着きを取り戻させる助けに大いになったと思います。パニックが落ち着けば、MENA情勢は、リビアに おいては政府軍の巻き返し、それに対する多国籍軍の軍事行動、バーレーンやその他の国での情勢の不安定化、そして1400ドル台割れでの実需の大きな現物 買い意欲など、ゴールドマーケットを落ち着いて見ると決して弱気ではなく、非常に強材料ばかりが目につくのです。金曜日18日には、週末をショートで迎え たくないディーラーたちのショートカバーも重なり結局、ゴールドは震災前のレベルである1430ドル近くまで値を戻すことになりました。 やはりみんなが売ってる時は買いなんですね。まあ言うのは簡単行うは難し、ってのはよくわかっているのですが。22日火曜日時点ではまだ原発事故が解決 したわけではなく、まだ予断は許せない状況ですが、とりあえず一定の落ち着きは取り戻していると言ってよいでしょう。このまま原発事故が大きな被害を生ま ずに押さえ込まれ、先週が唯一の買いのチャンスであった、と後から言えるマーケットになって欲しいものです。僕のジムから一斉に消えてしまった外国人の人 々が安心して戻ってこれますように。 以上
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