金投資需要は2015年の価格低下時以来の弱さへ 水曜日, 2/09/2022 16:23 2021年の金ETFの売却の増加は、同年の金投資需要を43%減少させていた。 1月末に発表された最新の2021年の金需給レポートによると、金投資需要は、貴金属が弱気市場となり底値を打った2015年以来、重量ベースで最も低い水準に減少していたことが明らかとなった。 貴金属専門コンサルタント会社のMetals Focusが作成し、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表したレポートによると、金の上場投資信託(ETF)の大量の売却が、個人投資家の小規模な地金とコインの需要の急増を相殺するものであったとのこと。 世界的なコロナ危機後、2021年にロックダウンが緩和されることによって、「消費者主導の宝飾品とテクノロジーセクターの金需要は、経済成長とセンチメント改善に沿って年間を通じて回復した」と鉱山会社のマーケティング団体のWGCは述べ、「中央銀行の購入も2020年のそれを はるかに上回った」と述べている。 「しかし、投資需要はまちまちで、高インフレが利回りの上昇と競って投資家の関心を集めていた。」 WGCが先月発表した最新のレポートにおける昨年第4四半期のデータによると、金投資需要は2021年全体では1,000トン強に減少していた。 これは、世界的な金融危機の後、米国連邦準備制度理事会が金利引き上げについて議論を開始し、そして最終的に金利を引き上げたことで金価格が底を打った2015年以降、そしてやはりWGCがデータ集計を開始した2015年以来最も金投資需要が低く、2013年以来の最も急激な下げで、2020年のコロナ危機時の記録的な高さの1,750トンを超える量から43.2%減となっていた。 2021年の総量のうち、小型地金と金貨の需要はほぼ30%急増し、2013年の価格暴落以来最大量に達していた。しかし、世界の金ETFの総量は、昨年2020年の記録的な大量の資金流入のうちののほぼ5分の1が売却されて、この投資信託を裏付けている金地金の量は173トン減少していた。 ニューヨークで取引されている世界最大の 金ETFであるSPDRゴールドシェア(GLD)に代表される北米の信託ファンドは199トン減少し、英国とユーロ圏のファンドはほぼ横ばい、アジアに上場するETFは25トン増加していた。 2013年の金ETFからの大量の資金流出は、FRBが金融危機後の量的緩和の縮小させる議論を開始したことがきっかけで、ドル建て地金の年間平均価格は15.4%下落していた。これとは対照的に、昨年、金ETFは2020年の金融危機のレベルを1.6%上回り、新たな年間記録を付けていた。 米国FRBは現在、3月の新規債券購入終了を視野に入れたコロナ危機後の量的緩和縮小を進めており、次回の金融政策会合(FOMC)では、政策金利を0%から引き上げることも確実視されている。 しかし、今日の金融政策は「歴史的なほど緩和的」であり、現在広く予想されている2022年の米連邦準備制度理事会の利上げでさえ、実質金利はインフレの高さからも「 大幅なマイナス」となる、とブリオンバンクのHSBCの貴金属アナリストのジェームズ・スティール氏は述べている。 また、スティール氏は、先月のロンドン 貴金属市場協会の会員向けのウェビナーで、株式市場が急落するリスク、特にFRBが株式の下落にもかかわらず引き締め政策を進める場合、金が投資ポートフォリオマネージャーによって「安全資産」として利用される可能性があることを述べている。 2022年の投資の流れを展望すると、「世界的に金の需要が分かれると見ています」とスティール氏は続け、「インフレは欧米の投資家よりもアジアの投資家を金へ向かわせる傾向がある」と説明している。