ニュースレター(2026年9月18日)FOMCのタカ派的利上げで金・銀急落も、その後反発
週間市場ウォッチ
今週金曜日の弊社チャート上のLBMA価格が決まる時間の価格と前週のLBMA価格を比較した一週間の変動率は以下の通りです。
*金は午後3時の弊社チャート価格、銀は午後12時、プラチナとパラジウムは午後2時の価格。
**日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。
- 金:ドル建て価格は、3週連続の週間の下落で、金曜日価格で8月7日以来の低値。
- 銀:2週ぶりの週間の上昇で、8月28日以来の高値。
- プラチナ:週間の下落で、9月4日以来の低値。
- パラジウム:3週連続の週間の下げで、7月31日以来の低値。
貴金属市場の動向(週間)
今週の貴金属市場は、水曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を待つ中、週前半はレンジ内での動きとなっていました。その後、FOMCでは予想通りの利上げが決定されたものの、全会一致での決定に加え、参加者の大半が年内に少なくともあと1回の利上げを予想するなど、予想以上にタカ派的な内容と受け止められたことで、金・銀ともに急落しました。
しかし、その後は下げ止まり、過去のFRBの利上げ局面でも見られたように、実際の利上げ開始後に反発する動きとなり、本日昼前までは上昇していました。ただ、その後は週末を前にドルと米長期金利が再び上昇したことから、上げ幅を削って推移しています。
ドル建てで取引され、金利を生まない貴金属は、一般的にドル高や長期金利の上昇局面では押し下げられる傾向があります。この関係は、2025年以降のドルインデックス(青)と金価格(赤:逆目盛り)の動きを示した下記のチャートからも見ることができます。

今週の貴金属相場の動き(日次)
■ 月曜日
金、銀相場は、ロンドン時間午前中に心理的節目となるトロイオンスあたり4,300ドル、63ドルをそれぞれ割り込みました。
週末に中東情勢が悪化し、原油価格が年初来高値に迫る水準へ上昇する中、インフレ懸念が高まりました。水曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利上げが9割近い確率で織り込まれる中、米長期金利とドルが上昇し、金・銀相場を押し下げました。
■ 火曜日
金、銀相場は、翌日のFOMCの結果を待つ中、前日に割り込んだ心理的節目となるトロイオンスあたり4,300ドルと63ドルを挟んでの動きとなりました。
原油価格が年初来高値をさらに更新して1バレル=108ドルへ上昇し、FOMCでの利上げ確率も92.5%へ上昇。米10年物国債利回りは5.04%と2007年7月以来の高値となりました。
また、英国、ドイツ、日本でも長期金利がそれぞれ数十年来の高水準となる中、利回り上昇とドル高が金・銀の上値を抑えていました。
■ 水曜日
金、銀相場は、FOMCの結果を待つ中で上昇していましたが、その内容が予想以上にタカ派的と受け止められ、発表後に急落しました。
同日の高値は金がトロイオンスあたり4,360ドル、銀が64.93ドル。FOMC後にはそれぞれ4,235ドル、62.23ドルまで下落しました。
FOMCでは全会一致で、2023年7月以来初めてとなる0.25%の利上げを決定し、FF金利の誘導目標を3.75~4.00%としました。また、参加者18人のうち16人が年内に少なくとももう1回の利上げを予想したことから、ドルと米長期金利が上昇し、金・銀相場を押し下げました。
■ 木曜日
金、銀相場は前日の下げ幅を削り、それぞれトロイオンスあたり4,377ドルと66.07ドル前後まで上昇しました。
FOMC後に上昇していたドルと米長期金利が反落したことに加え、サウジアラビアが東西を結ぶ原油パイプライン「ペトロライン」を数日以内に再開するとの報道を受けて原油価格が下落したことも、金・銀相場を支えました。
また、イングランド銀行(BoE)は政策金利を3.75%に据え置くとともに、最も満期の長い英国債1,200億ポンドを量的引き締め(QT)の売却対象から外す方針を発表。これを受けて英国債が買われ、長期金利が大幅に低下しました。
■ 金曜日
金、銀相場は、本日一時トロイオンスあたり4,399ドル、67.33ドルまで上昇しましたが、その後ドルと米長期金利が再び上昇したことから上げ幅を削り、それぞれ4,356ドル、66.36ドル前後で推移しています。
原油価格はサウジアラビアの供給回復期待から若干下落しているものの、依然として5月以来の高値水準にあり、インフレ懸念からFRBの追加利上げ観測が強まっています。
米10年物国債利回りは2007年以来の高水準となる5%前後へ上昇し、ドルインデックスも5月以来の高値をつけ、金・銀相場の上値を抑えています。

その他の市場のニュ―ス
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コメックス(COMEX)のデータによれば、原油価格が6月以来の高値へ上昇し、金価格が下落していた9月8日までの週に、金を除く貴金属のネットロングポジションは増加していたこと。この間、銀、プラチナ、パラジウム価格は上昇しており、コメックス銅先物価格も、トランプ政権が産業上重要な金属を保護するため関税を導入するとの懸念から、史上最高値をつけていました。
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金のネットロングは前週比0.9%減の434.04トンと、2週連続の減少して前前週の昨年9月23日の週以来の高水準から下げていました。2025年の平均は465.8トン、2024年は555.8トン。
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銀の先物・オプションのネットロングは16.5%増の2,205トンと増加して、5月12日の週以来の高い水準へ上昇していたこと。2025年の平均は5,132.4トン、2024年は4,231.0トン。
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プラチナのネットロングは11.8%増の15.0トンとへと増加していました。2025年の平均は16.2トン、2024年は9.4トン。
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パラジウムは、2月3日の週以来のネットロングから3月17日の週にネットショートへ転じた後、8日までにネットショートが6.9%減の13.3トンへと6月2日以来の低い水準へと減少していました。2025年の平均は19.3トンのネットショート、2024年は32.6トンのネットショート。
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金ETF最大銘柄のSPDR Gold Sharesの残高は、今週木曜日までに5.42トン(0.52%)増の1,052.844トンと9月3日以来の高さで週間で増加する傾向となっています。2025年は累計で198.04トン(20.81%)増と4年ぶりの年間増加ペースとなっていました。2024年は6.59トン(0.75%)減、2023年は38.53トン(4.4%)減、2022年は57.2トン(5.9%)減、2021年は195トン(6.8%)減。
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金ETF第2位のiShares Gold Trustの残高は、今週木曜日までに3.13トン(0.68%)増の464.67トンと6月30日以来の高さで、2週連続の週間の増加傾向となっています。2025年は累計で101.09トン(23.35%)増と4年ぶりの年間増加ペースとなっていました。2024年は5.91トン(1.29%)減、2023年は50トン(11.6%)減、2022年は42トン(8.9%)減、2021年は36トン(7.0%)減。
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銀ETF最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに89.90トン(0.59%)減の15,226.98トンと8月10日以来の低い水準となり、3週連続で週間で減少傾向となっています。2025年累計では2,120.59トン(14.45%)増と2年連続の年間増加ペースとなっています。2024年は720.44トン(5.3%)増、2023年は936.56トン(6.4%)減、2022年は1,937トン(12.2%)減、2021年は867トン(4.2%)減。
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金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週68台前半で始まり、本日は65台前半と6月22日以来の低さへ下げて推移しています。2025年の平均は87.85、2024年は84.75、2023年は83.27、過去5年平均は82.44です。比価が高いほど銀が相対的に割安であり、低下するほどその割安感が薄れていることを示します。
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上海黄金交易所(SGE)とロンドン金価格の価格差は、前週の3.69ドルのプレミアムから15.92ドルのプレミアムと5月22日の週以来の高さへ上昇しています。2025年の平均プレミアムは2.85ドル、2024年は15.15ドル、2023年は29ドル、2022年は11ドル、過去5年平均は6.9ドルです。
来週の主要イベント及び主要経済指標
今週の貴金属市場は、主要国の長期金利が上昇する中、米国、英国、日本の中央銀行による金融政策発表に注目が集まり、その内容を受けて動く展開となりました。
来週は、引き続き中東情勢に注目が集まる一方、経済指標では、水曜日に主要国の製造業・サービス業PMI、金曜日に米国の耐久財受注とミシガン大学消費者態度指数が発表される予定で、重要な材料となります。
その他、主要経済指標の発表スケジュールの詳細は、主要経済指標(2026年9月21日~25日)をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2026年9月14日~18日)今週のの結果をまとめています。
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主要経済指標(2026年9月21日~25日)来週の予定をまとめています。
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。
ロンドン便り
今週英国では、中東情勢やウクライナ戦争について引き続き大きく報じられていますが、英国内のニュースとしては、リフォームUKが英国政治史上最大規模となる総額7,200万ポンドの献金を受けたことが大きな話題となっています。
また、今週は王室関連のニュースも相次ぎました。チャールズ国王はAIが誤った形で利用される危険性に警鐘を鳴らし、安全性を重視した開発を呼びかけました。ダイアナ元妃の弟チャールズ・スペンサー伯爵の新著をめぐっては、ダイアナ元妃死去後の当時のチャールズ皇太子とのやり取りについて、バッキンガム宮殿が異例の反論を行いました。さらに、英国に戻ったヘンリー王子とメガン妃は、警備上の懸念から子どもたちの学校を新学期開始からわずか2日で変更し、夫妻の警備体制についても政府の委員会が改めて見直しを進めていると報じられています。
本日は、このリフォームUKへの巨額献金をきっかけに、英国の政治献金制度について簡単にまとめてみましょう。
今回大きなニュースとなったのは、ナイジェル・ファラージ党首率いる右派政党リフォームUKが、暗号資産で巨額の富を築いたベン・デロ氏とクリストファー・ハーボーン氏から、それぞれ3,600万ポンド、合計7,200万ポンド(約144億円)の献金を受けたことです。2人の3,600万ポンドの献金は、それぞれ英国の政党が受けた単独の献金として過去最大規模となりました。
献金額に上限が設定されている日本とは異なり、英国では、選挙人名簿に登録された個人など一定の条件を満たす提供者から政党が受け取る献金について、原則として金額の上限がありません。そのため、今回のような巨額献金も現行制度では可能です。
一方、外国資金による英国政治への影響などへの懸念から、政府は政治献金制度の見直しを進めています。海外在住の有権者からの献金を年間10万ポンドに制限することや、暗号資産による政治献金を禁止することなどを盛り込んだ法案はすでに下院を通過し、現在上院で審議されています。
こうした規制強化が議論される中、リフォームUKに暗号資産で巨額の富を築いた2人から記録的な献金が行われたことで、英国では政治献金のあり方と、富裕層による政治への影響を巡る議論が改めて活発になっています。




