金価格ディリーレポート(2026年7月30日)金価格、19年ぶり高水準の米長期国債利回りへの懸念の中、市場のFRB見通し修正で底堅く推移
木曜日の金・銀価格は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策発表後の上昇幅を縮小したものの、FRBがタカ派的な姿勢で政策金利を据え置いたことに加え、中東情勢の再びの緊張激化を背景に原油価格が上昇し、米長期国債利回りが19年ぶりの高水準へ上昇しているにもかかわらず、底堅く推移しました。
市場では追加利上げの可能性について見直しが進んでおり、アナリストの間では「売られ過ぎていた」貴金属市場で買い戻しが入るとの見方がある一方、長期金利の急騰は「真の懸念材料」との指摘も出ています。
スポット金価格はトロイオンスあたり4,079ドルで推移しました。前日のFRB会合では5会合連続で政策金利が据え置かれたことを受け、一時約1%上昇したものの、ロンドン午前中にはその上昇分の大半を戻していました。
今回の決定は据え置きだったものの、12人の投票メンバーのうち3人が利上げを支持し、市場予想を上回る反対票が投じられるなど、内容はタカ派的でした。また、FRBのケビン・ウォーシュ議長は「物価の安定を実現する」との姿勢を改めて強調しました。
銀価格もFOMC後の上昇分を縮小し、政策発表直後には59.23ドルまで上昇した後、58.09ドルへと反落しました。
主要通貨に対するドルの強さを示すドル指数(DXY)は、1週間超ぶりの安値から反発しました。一方、FRBの政策見通しに敏感な米2年国債利回りも、1週間超ぶりの低水準を付けた後に持ち直しました。
CMEのFedWatchツールによると、FRBが9月会合でも金利を据え置く確率は、水曜日の会合直後には約50%と1週間で最も高い水準まで上昇したものの、市場がFRBのタカ派姿勢を改めて織り込んだことで、木曜日には約3分の1まで低下しました。
スイスの貴金属精錬・金融大手MKS Pampの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、「9月のFOMC、あるいは少なくとも8月末のジャクソンホール会議までは、貴金属や債券など、売られ過ぎで人気の低い資産クラスにおいて買い戻しによる反発が続くでしょう」と述べました。
過去の実績を見ると、FRBが利上げ局面に入ったからといって、金価格が必ず下落するわけではありません。2004年および2015年の利上げ局面では、最初の利上げ前の数か月間は金融引き締めが織り込まれる中で金価格は下落しました。しかし、実際に利上げが開始されると価格は下げ止まり、その後は上昇へ転じました。つまり、高金利による影響の多くは利上げ開始前にすでに市場へ織り込まれていたことを示しています。
一方、2022年は例外でした。FRBは1980年代初頭以来で最も高いインフレに対応するため、40年ぶりの急速な利上げ局面に踏み切りました。政策金利の急激な引き上げ、実質金利の大幅な上昇、そしてドル高が重なり、利上げ局面初期の金価格には継続的な下押し圧力がかかりました。
2026年も同様に、米国とイランの軍事衝突勃発後、エネルギー価格の急騰がインフレ再燃への懸念を強め、市場でFRBの一段とタカ派的な政策が織り込まれたことで、金価格は下押し圧力を受けています。
金と銀は、米・イラン紛争開始の2月末以降、それぞれ20%以上、35%以上下落しており、これまでの大幅上昇に対する急速な調整局面となっています。それでも、過去12か月では金は22.9%、銀は53.9%それぞれ上昇しています。
一方、米30年国債利回りは木曜日に5.2%まで上昇し、2007年以来の高水準を記録しました。前日のFRB決定を受けた上昇基調が続いています。
プルデンシャル・ファイナンシャル傘下の資産運用会社PGIMのチーフ米国エコノミスト、ロバート・ソッキン氏は、「長期国債利回りの急上昇は本当に懸念すべき点です」と述べました。また、ウォーシュ議長の記者会見について、「なぜFRBが利上げを見送ったのかを十分説明できなかったことが最大の弱点でした」と指摘しました。
さらに同氏はFRB当局者について、「彼らは市場からの信認を失いつつあることを懸念し、今後数週間でより一層タカ派姿勢を強めるでしょう」との見方を示しました。
一方、サクソバンクの商品戦略責任者オーレ・ハンセン氏は、「今後、金価格が再び上昇基調へ向かう可能性は一段と高まっています」と述べました。
同氏は、「財政の持続可能性への懸念、FRBの政策運営に対する信認への疑問、アジアからの堅調な現物需要、そして市場が景気減速を織り込み始めればドル安が進む可能性などが、中長期的に金市場を支える要因となっています」と説明しました。
市場の注目は、この日発表されるFRBが最も重視するインフレ指標である米コアPCE価格指数へ移っています。市場予想では、基調的なインフレ圧力はやや和らぎ、前月比は5月の0.3%から0.2%へ鈍化し、前年比も3.4%から3.3%へ低下すると見込まれています。
原油価格は、2020年以来最大となる3日間の下落から急反発した後、高値圏で落ち着いた動きとなりました。前日のブレント原油は、数日間にわたり戦闘が停止していた後、テヘランによる「奇襲」の弾道ミサイル攻撃に対し米軍が報復攻撃を実施したことを受けて、7%以上上昇しました。
一方、イングランド銀行(英中銀)は5会合連続で政策金利を3.75%に据え置きました。インフレ率は依然として目標である2%を上回っていることから、慎重な政策姿勢を維持しています。




