金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2025年3月31日)トランプ大統領の政策が株価を急落させる中で、金価格は史上最高値を更新し、40年来の四半期上昇率を記録

トランプ大統領が先週末に貿易関税とウクライナとロシアへの警告を続けて世界株価が急落する中、金価格は月曜日に全ての主要通貨建てで史上最高値を更新し、ドル建てにおいては、四半期ベースで過去38年間で最高の上げ幅を記録しています。
 
トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領への「怒り」を表明する一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領への「大きな大きな問題」と脅し、輸入関税については「すべての国から始めるだろう」と、水曜日に発表すると約束したトランプ大統領が「解放の日」と呼ぶ関税について記者団に週末に語っていました。
 
これは、先週トランプ大統領自身が一部の国に対する譲歩をほのめかしたこととも、スコット・ベッセント財務長官が「ダーティ15」(米国の輸出品に実質的な関税やその他の貿易障壁を適用している世界経済の割合を意味し、これらを合わせると米国の貿易量の膨大な量を占める国々)に焦点を当てると述べたこととも矛盾していました。
 
「(関税に関する)発表は次々と変わるが、共通しているのは、世界的な成長にとって好ましくないということだ」と、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルで株式戦略のグローバル・ヘッドを務めるシャルル・ド・ボワゾンは述べていました。
 
オーストラリア系銀行ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハイネス氏は「これは、金の魅力を高めることを継続させる」と述べていました。
 
米国株式市場は、すでに2022年第3四半期のインフレ暴落以来最悪の四半期となる勢いであり、東京の日経平均株価は4.0%以上急落し、6ヶ月以上ぶりの安値水準となり、欧州のストックス600指数は月曜日の昼過ぎまでに1.8%下落していました。
 
これとは対照的に、金地金現物価格は1.4%急騰し、金曜の午後に行われた世界指標のオークションで、2025年これまでで19回目となる金価格の新記録を記録した後、ロンドンでトロイオンスあたり3127ドルと再び史上最高値を更新していました。
 
四半期末のドル建てオンスあたり金価格と四半期ごとの価格の%変化 出典元 ブリオンボールト
 
金現物価格は先週1.9%上昇し、2025年の第一四半期を通して17.7%上昇していました。
 
これは、前年のプラザ合意後の世界経済の成長鈍化の中、他の主要国の金利を引き上げることでドル高を弱めるために実施されたことでドルが弱含み金が22%以上急騰した1986年の第3四半期以来の急激な四半期価格の上昇の記録となります。
 
金地金が10%以上上昇した四半期は、今回を含めて過去10年間で4回しかありません。
 
金市場以外の金融市場では、「水曜日にも新たな発表があるのではないかという懸念が、世界中の取引フロアに暗い雰囲気を作り出している」と別の株式市場アナリストは言う。
 
原油価格は先週、トランプ大統領が、ベネズエラから原油や石油製品を輸入する国に対する二次関税を発表した後、欧州の指標であるブレント先物の先週の2.0%上昇を上回り、月曜日にはさらに0.4%上昇していました。
 
トランプ大統領は、ウクライナとの停戦協議で足を引っ張るプーチン大統領に「腹を立てている」ため、昨日日曜日にロシアのエネルギー購入者にも関税を適用すると脅していました。
 
銀の価格は、トロイオンスあたり34.09ドルまで下落し、それまでの0.9%の上昇を帳消しにしていました。また、ソーシャルメディアにおいては、#silversqueezeday(シルバースクイーズの日)とのいくつかの投稿がされており、2021年初旬に銀価格を引き上げた #silversqueeze(シルバースクイーズ)を再び引き起こそうという動きも見られていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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