金価格ディリーレポート(2025年3月3日)地政学リスクの高まりで防衛関連株が上昇し、トランプ大統領の暗号資産のコメントで急騰したビットコイン上げ幅を削る中、金価格は上昇 2025年3月3日 月曜日 17:23 3月最初の取引日である月曜日、金価格は対ドルで上昇し、先週の急落から持ち直していました。これは、リップルとビットコインが週末のトランプ大統領による急騰から下げ、ウクライナの和平を目的とした欧州首脳会議を受けて、米国通貨が対ユーロで弱くなったことが背景となっていました。 2月末に金現物価格は大きく下落したものの、月末価格と月平均価格では過去最高を記録していた金スポット相場は、アジア市場の取引開始時には、トロイオンスあたり2876ドルと0.7%も上昇していました。 対照的に、為替市場で単一通貨が米ドルに対して0.9%上昇していたことから、ユーロ建て金相場は、月曜日に2747ユーロと0.2%下落していました。そして、ポンド建ての英国金価格は、0.1%下落し2269ポンドとなっていました。 金曜日のトランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の大統領執務室での記者会見での激しい意見の衝突を受け、日曜日にロンドンで行われた首脳会談では、欧州首脳がロシアとの和平交渉を仲介することに合意したと、キーア・スターマー英国首相が述べていました。 しかし、英国はマクロン仏大統領による1ヶ月の停戦提案から距離を置き、キエフは一夜にして新たな無人機とミサイル攻撃を受け、安全保障の保証なしにモスクワの侵攻(今年で4年目)との戦いを止めるよう求める声をゼリンスキー大統領は拒否していました。 安全資産と呼ばれるビットコインは、トランプ氏が トゥルース・ソーシャルの投稿で「XRP、SOL、ADAを含む暗号戦略準備金について前進するよう大統領作業部会に指示した」と述べた後、週末に急騰していました。 リップルは日曜日のXRP急騰の3分の1(31.8%)を失い、ビットコイン価格もトランプ大統領の更新発言で10%以上上昇し、2月の22.7%の急落のほぼすべてを帳消しにした後に、反落していました。 英、仏、伊の防衛関連株とドイツのダックス株の大幅上昇に牽引され、欧州Stoxx600指数は1.2%上昇していました。 欧州Stoxx600指数は年初来で10%以上上昇していますが、アメリカのS&P500指数は1.2%の上昇にとどまっています。 トランプ大統領は欧州からの米国産輸入品に対する貿易関税を課すと脅していますが、その詳細はまだ明らかにされていません。それに対し、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税は火曜日に発効する予定と述べる中、ハワード・ラトニック米商務長官は最終的な税率は調整される可能性があることを示唆し、「 流動的な状況」と表現していました。 金相場はドル建てで今年初の週間下落で先週金曜日を終え、1月の7.8%の上昇の後、2月の月間上昇率は0.8%に減少していました。1月の月間の上昇率は、2023年3月の米地銀破綻時以来の大規模なものとなっていました。 デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは、「金は週末を前に、遅すぎた調整がさらに勢いを増していました。」と述べ、市場のボラティリティの高まりから、レバレッジド・ファンドに全面的なエクスポージャーの削減を迫ることになったと指摘していました。 最新のデータによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジを効かせた投機家は、先週火曜日までの5営業日において、コメックス金先物・オプションのネットの強気ポジションを5週連続で縮小し、2024年末以来の最小ポジションまで減少させていました。 これとは対照的に、金地金の現物を裏付けとするETF信託ファンドは、先週、発行株数の増加に伴い、保有を拡大していました。 金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールドシェア(NYSE:GLD)は、月間を通して4.6%残高を増加させ、これはロシアが2022年初頭にウクライナへの全面的な侵攻を開始して以来最大である一方、世界第2位の金ETFファンドであるiShareゴールド(NYSE:IAU)は、発行済み株式数が4.9%拡大して、2020年7月のコロナ危機最中以来の規模の月間の増加量となっていました。 これは月間としては、GLDが4ヶ月ぶり、IAUが3ヶ月ぶりの月間の増加となっていました。 米投資銀行ゴルマンサックスのアナリスト、ライナ・トーマスは、「関税、地政学的リスク、政府の高借入に対する懸念など、不透明感が続くことで、投機筋が金のロングポジションを今後増やす可能性もある。」と述べ、年末までに金価格が3300ドルへと上昇する可能性について触れていました。 主に工業用金属である 銀の価格は、2月を通して1.5%下落したものの、米国以外の通貨では銀の月間平均価格の史上最高値を更新した後、ロンドンでは月曜日の朝、下落するドルに対して1.0%上昇し、トロイオンスあたり31.47ドルへと上昇していました。 一方、上海黄金取引所の金相場は、ロンドン相場に対して小幅なプレミアムを維持しており、世界最大の消費市場である上海の金需要は、ポジティブではあるものの弱いことを示唆しています。 トランプ米大統領は週末に、中国製品に火曜日にも10%の関税を課すと発言し、2月4日に課された10%の関税を事実上倍増させることとなります。