金価格ディリーレポート(2025年2月10日)トランプの新たな関税と中国との貿易戦争が始まりの中で、短期の金のリースレートは下げ、金価格は2900ドルへ急伸 2025年2月10日 月曜日 18:19 ドナルド・トランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムの米国からの輸入品全てに25%の貿易関税をかけると発表した後、米ドルが上昇し、長期金利が上昇したにもかかわらず、金地金はトロイオンスあたり2900ドルを超え、史上最高記録を更新していました。 ロンドンのスポット市場では2910ドルと急騰し、貴金属の保管と取引の主要なハブであるロンドンの午後3時のベンチマークオークションでは、現物地金価格は2906ドル前後で固定されていました。 金は2025年の7回目の日々の新高値となり、これは金が6週連続の上昇を記録した金曜日の午後から1.1%上昇したことであり、2023年の年初以来最も長い週間の上昇となっています。 オーストラリアのウェストパック銀行のアナリスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は、予測不可能で破壊的なトランプ政権の通商・外交政策プログラムの中で、「金は安全資産とし魅力を増しており、これを否定する要因は現段階ではない。」と述べていました。 オーストラリア系銀行ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハイネス氏は、「金も関税引き上げに巻き込まれる可能性があり、現物市場の混乱を引き起こしている」と主張していました。 米国金先物取引は本日、トロイオオンスあたり2934ドルまで上昇し、これも史上最高値を更新しましたが、ニューヨーク決済の「プレミアム」はロンドン現物価格を25ドルほど上回り、今年のこれまでの平均22ドルと同水準に保たれていました。 ロンドンで金地金を借りるための1ヶ月リースレートは、今朝、年率3.72%と先週の5.7%から低下していました。 しかしながら、1月2日に記録された0.08%を大きく上回り、今年これまでの平均は2.32%となっており、12月の0.49%、11月の0.08%からも大きく上昇しています。 トランプ大統領がアルミニウムと鉄鋼に25%の輸入関税を課すと約束したことを受け、ドル指数(主要通貨バスケットに対する米通貨の価値を示す指標)は1週間ぶりの高水準に上昇し、政府・企業の借入コストの主要指標である米10年債利回りは12月中旬以来の高水準で安定していました。 英国とユーロの投資家向けの金は1.6%上昇し、それぞれトロイオンスあたり2342ポンドと2816ユーロで新記録を達成していました。 すでに中国から米国への輸入品に10%の追加関税が課せられていますが、中国は月曜日に対抗関税で報復し、北京時間午前12時1分に発効し、これは年間約140億ドル相当の米国製品に影響を与えるものとなっています。 トランプ大統領は週末、米国からの輸入品に課税する国に対し、今週後半にも相互関税を導入する計画を発表していました。 これとは別に、中国は金曜日に、大手保険会社10社が初めて資産の1%まで地金に投資できる 試験的なプログラムを開始すると発表していました。 ブローカーのStoneXグループのローナ・オコネル氏は、「これは新たな需要という点では確かにプラスになるだろう」と述べた上で、保険会社はプログラムや配分の策定に慎重なアプローチを取ることが予想されるため、実施は徐々になるだろうと指摘していました。 上海金取引所の金価格は、月曜日に1gあたり677円と人民元建て価格の最高値を更新したにもかかわらず、ロンドン価格に対してわずかながらプレミアムに反転していました。 今日のトロイオンスあたり1ドル前後のプレミアムは、典型的な平均7ドル以上には及ばないものの、中国の旧正月の消費者による金購入のお祭り後に上海が再開した先週の11ドルのディスカウントとも対照的となっていました。 金曜日に国家外為管理局が発表した最新のデータによると、中国の中央銀行は1月に3ヶ月連続で金準備を拡大し、5トン増加して2,285トンに増加させていました。 米国の大手アルミ生産会社アルコアとUSスチールの株価は、ニューヨーク市場のオープンに先駆けて急騰していました。 トランプ米大統領と石破茂首相は金曜の首脳会談で、日本がUSスチールに投資する可能性について議論したと伝えられていました。 銀価格は、主に工業用金属であり、月曜日の朝には1.6%も上昇し、32.33ドルまで上昇しましていました。 今週は火曜日と水曜日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会で半期に一度の証言を行い、週半ばには世界最大の経済大国の主要なインフレ指標である米消費者物価指数(CPI)が労働統計局から発表されます。