金価格ディリーレポート(2024年8月22日)パウエル議長のジャクソンホールでのスピーチを待つ中で金価格は2500ドルを割って下げる 2024年8月22日 木曜日 17:57 米連邦準備制度理事会(FRB)の最新会合議事録で9月の利下げが前日示唆されたものの、金曜日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長のスピーチを待つ中、木曜日に米ドルが年初来、長期金利が3週ぶりの低値から上昇し、金相場は2500ドルを割り込んで下げていました。 米連邦準備制度理事会(FRB)が水曜日に公表した、全会一致で7会合連続で23年ぶりの高水準となる5.25%から5.50%に金利が据え置かれ7月の会合議事録によると、FRB高官の「大多数」は、経済データが期待に沿うものであれば「次回の会合で政策を緩和することが適切である可能性が高い」と考えていることが明らかになっていました。 また、米労働省が水曜日に発表したデータによると、2024年3月までの12ヵ月間に米国経済が創出した雇用は当初の報告より81万8000人減少し、2009年以来最大の下方修正となっていました。 その結果CMEデリバティブ取引所のFedWatchツールによると、9月のFOMCでの利下げは確実とこのひと月ほどされているものの、次回会合で0.5%の利下げが実施される確率は水曜日に38.0%まで増加していたものの、本日はロンドン時間昼過ぎには28.5%に下げていました。 金現物価格は木曜日の昼過ぎに0.8%下落し、トロイオンスあたり2491ドルとなり、火曜日につけた史上最高値のオンスあたり2531ドルを1.6%下回っていました。金価格は現在、2023年末から20%以上上昇しており、それに対し米国ドルは同期間に1%近く下落しています。 ドル指数は、主要通貨に対する米国の通貨価値を示す指標で、前日に今年最低水準まで下落した後、木曜日には上昇に転じていました。一方、10年物米国債利回りは、政府機関や多くの金融機関、商業用借り入れの基準金利であり、世界最大の経済大国の景気後退懸念が 世界株を下げた8月5日以来の低水準を記録した後、木曜日には上昇に転じていました。 デリバティブ・プラットフォームであるサクソバンクのストラテジー・チームの最新レポートは、「(金には)調整、あるいは調整リスクが迫っている。」と述べ、「特に昨日の米雇用統計の弱い伸びとFOMC議事録が9月の利下げをほぼ確定させたことへの反応が鈍かったことを考えると。」と続けていました。 ANZのシニア・コモディティ・ストラテジストであるダニエル・ハインズ氏は、「貴金属の上昇は、中国の弱い現物需要によって抑えられた。」とも述べていました。 今週火曜日に発表された中国の税関のデータによると、7月の中国への金の輸入量は24%減の44.6トンとなり、過去2年以上で最低の水準となっていました。この減少は、6月の出荷量が前月から57%、前年同月比40%急減したことに続くもので、その理由は、ワールドゴールドカウンシルによると、その期間に 中国の金価格のプレミアムが急減し、輸入業者が躊躇したためとのこと。 上海金取引所(SGE)のロンドンに対するプレミアムは7月に低下し、1日平均は6月のトロイオンスあたり28ドルから12ドルに低下していました。また、8月の平均プレミアムは現在さらに減少して1ドルとなっており、人民元建て金価格が前日に史上最高値であるグラムあたり577円をわずか0.5%下回る水準まで上昇したことからも、プレミアムは今週9ドルのディスカウントに転じていました。 それに対し、世界最大の貴金属消費国の中国の銀価格は、7月の3.55ドル、6月の3.81ドルから下落したものの、これまでのところ8月の平均としてトロイオンスあたり3.18ドルを維持しています。 そこで、 銀価格は、年初来ロンドン価格が23%上昇しているのに対し、中国では25%上昇しています。 一方、ロンドンの銀価格も本日木曜日昼過ぎに0.7%下落し、トロイオンスあたり24.90ポンドとなっていました。 ユーロ建ての金価格は、木曜日に0.6%安の2238ユーロとなり、 ポンド建ての英国金価格は1.0%安の1899ポンドとなっていました。 本日発表された、欧州中央銀行が7月17日と18日に開催し、主要金利を3.75%に据え置いた 理事会の議事録によると、基調的なインフレのいくつかの指標が上昇していることから、金融政策が入ってくるデータに慎重であり続ける必要性を指摘し、この議事録では物価は年間成長率目標である2%を「2025年まで」上回って推移するとの見解を示していました。