金価格ディリーレポート(2024年2月5日)パウエル議長、3月利下げは「あり得ない」と繰り返し、金価格は前週の際立った上昇幅を消す 2024年2月5日 月曜日 15:57 本日金価格は、ドルが3か月ぶりの高さへ上昇し、長期金利がパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、3月の利下げは「あり得ない」と繰り返したことから上昇し、6営業日ぶりの安値をつけていました。 金価格は、月曜日昼過ぎに先週の上げ幅をほぼ失い、25ドル近く下落して、トロイオンスあたり2015ドル前後を推移していました。 スイスの地金精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者であるニッキー・シールズ氏は、「先週の金は信じられないほど際立った動きをしていました。それは、FRBの利上げ観測で3月は消え、5月ですらも半々の確率へと下げ、 堅固な米雇用統計で、マクロ的には完全に環境に変化があった中のことです。」と述べていました。 「流動性/FRBの金利引き下げ/FRB支援に対する市場の期待と現実との乖離はこれ以上ないほど大きくなっており、現実を確認し、金などの金利感応度の高い資産に何らかの調整が入る可能性が高まっています。」と続けていました。 パウエル議長は、先週のFRB金利の「変更なし」の決定後に記者団に語ったことを繰り返し、「7週間後に迫った3月の会合までに、この委員会が(インフレ率を2%の目標まで下げるという)確信のレベルに達する可能性は低いと思う」と、日曜日に放送された CBSの番組「60ミニッツ」で語っていました。 FRBも金融市場も年内の利下げを予想しているのに、なぜ今すぐ利下げできないのかと聞かれたパウエル氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレの反発を避けるために「慎重」であるべきだと述べていました。 世界金融フォーラムとシンクタンクであるOECDのマティアス・コーマン事務総長は、「 インフレ圧力が確実に抑制されるよう、今後しばらくの間、金融政策は慎重、つまり制限的であり続ける必要がある」と同意していました。 米国のインフレ率は年率9%を超えた2022年半ばの40年来のピークからは弱まったものの、12月の米消費者物価指数のインフレ率は前年同月比3.4%と、11月の5ヵ月ぶりの低水準だった3.1%から上昇していました。1月のデータは2月13日に発表されます。 CMEのFedWatchツールによると、12月のFRBによる政策金利を予想する金融商品では、2024年末までに5回の利下げが予想されており、1ヵ月前の市場コンセンサスである6回から後退していました。 パウエル議長の「60ミニッツ」出演を受け、ドル・インデックス(主要通貨に対する米通貨の価値を示す指標)は本日、心理的水準の104を上回り、11月中旬以来の高水準となっていました。 米国債10年物利回りは、政府機関や多くの金融機関、商業機関の借入コストの基準金利であり、本日6ベーシスポイント上昇し4.08%となり、先週木曜日の2024年新低値の3.87%からの急反発していました。 原油価格は、先月ヨルダンの米軍基地が襲撃された事件を受けて、バイデン政権が中東のイランを支持するグループに対する空爆を継続すると宣言する中で、先週の7%下落から落ち着きを取り戻していました。 銀価格はさらに下落し、トロイオンスあたり1.8%安の22.28ドルとなり、金と銀の相対価格を示す 金銀比価は90を上回り、この2週間で最も高い値となっていました。 欧州の株式市場は高値圏で推移していましたが、中国株は前週に続きボラティリティの高い動きとなり、人民銀行による金融緩和政策が来週末の旧正月連休を控えて実施された経過を見守る中で、優良株のCSI300指数は2.1%の急落から0.7%の上昇に転じていました。 現在、共和党の2024年指名候補の最有力候補であるドナルド・トランプ前米大統領は昨日、11月の選挙でホワイトハウスへの復帰に成功した場合、 中国製品に60%以上の関税を課す可能性があると述べていました。 上海黄金交易所(SGE)の金相場は、本日ロンドン相場をトロイオンスあたり48ドル上回る水準で推移しており、世界最大の消費市場である中国での需要が強いことを示唆していました。 一方、ユーロ建て金相場は0.3%安の1877ユーロとなり、ポンド建て英国金相場は1605ポンドと、前週終値近辺で横ばいとなっていましたた。