金価格ディリーレポート(2024年12月16日)FRBの2025年利下げと見通しを控え、金価格は堅調に推移 2024年12月16日 月曜日 16:00 金相場は、アナリストや投資家が今年最後の連邦準備制度理事会(FRB)の金利決定と同時に発表される米中央銀行の2025年の金利引き下げに関する文言に注目する中で、月曜日の昼に安定して小幅に上昇していました。 スポット地金は、新しい米国のインフレデータが、2025年の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する疑念を引き起こした後、木曜日につけた5週間ぶりの金価格の高値から金曜日に2.4%下落した後、ロンドンの月曜日の昼過ぎまでにトロイオンスあたり2664ドルと0.7%上昇していました。 デリバティブのプラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセンは、「今の市場は確かな方向性が無く、ポジションは短期で動いている」と述べ、「どのような動きも、反対の動きで調整されることを予測しています。 今週水曜日の2024年の最後の米中央銀行の政策金利発表では、ほぼ確実に0.25%の利下げが行われると予想されています。 また同時に、GDP、インフレ率、失業率、将来の金利に関する四半期ごとのFRBメンバーの予測も「ドット・プロット」グラフで示され、大多数の政策立案者がどのような予測をしているかが注目されています。 ブルームバーグは金曜日に、あるエコノミストのコメント「今月以降の米追加利下げ観測が 大幅に後退した」を引用していました。 「インフレは粘着的であり、経済と金融市場は過熱しており、今年初めの失業率のわずかな上昇は反転し、トランプ次期政権は目先のインフレリスクを脅かしている。」と続けていました。 デリバティブ取引所 CMEのFedWatchツールによると、今週水曜日のFRB会合で25ベーシスポイントの利下げが行われ、4.38%になるとの先物市場の予想確率は、1ヶ月前のわずか60%強から、月曜日には97%を超えていました。 また、市場のコンセンサスは、2025年のFRB金利は3.86%で終了し、10月初旬に予想された水準より50ベーシスポイント以上高いもので、ドナルド・トランプ次期大統領が 「財政タカ派」のスコット・ベッセントを米財務長官に指名したことで金価格が下落した11月下旬に予想された4.00%の水準を若干下回っていました。 前回9月の四半期に一回行われるFOMCのメンバーによる政策金利予想では、2025年末までにフェデラルファンドレートが3.40%になると予想していましたたが、これは現在の市場コンセンサスよりも50ベーシスポイント近く低いこととなります。 資産運用大手ブラックロックのグローバル債券担当チーフ・インベストメント・オフィサーであるリック・リーダー氏は、「(米国債)利回りは、FRBがしばらくの間ここにとどまることを織り込んでいる」と述べていました。 米国債10年物利回りは、政府、金融、商業用借入コストのベンチマーク・レートであり、先週28ベーシスポイントの急上昇を見せた後、本日は金曜日の3週間ぶりの高値から2ベーシスポイントの下落をしていました。 この結果、10年債利回りは2022年以来初めて3ヶ月物国債利回りを上回り、歴史と多くのアナリストが米国経済の後退時に必ず先行すると指摘する「逆イールドカーブ」から転換していました。 この変化は、先週木曜日に行われた30年債の入札で 投資家の需要が低調だったため、ベンチマークである10年債の価格が2023年10月以来最悪の下げ幅を見せた週に続くものでした。 「私の考えでは、FRBはインフレ率が目標に戻ることがはっきりするまで、ずっと制限的な領域にとどまる必要がある」と、元財務省エコノミストで現在はジョージ・ワシントン大学で教鞭をとるタラ・シンクレア氏は述べていました。 一方、ユーロ建てで取引されている金は、月曜日にはトロイオンスあたり2538ユーロまで0.7%上昇していました。これは、エマニュエル・マクロン大統領が今年4人目の首相にベテランの中道派政治家で長年の盟友であるフランソワ・バユルー氏を任命したにもかかわらず、格付け会社ムーディーズが予定外の見直しを行い、フランス政府の国債の格付けをAa2からAa3に引き下げたため、ユーロ圏第2位の経済大国であるフランスの借り入れコストが2週間以上ぶりの高水準に上昇したためでした。 この動きにより、フランスとドイツの利回り格差(投資家がフランス債を保有することで得られる追加リターンの指標)は80ベーシスポイントまで拡大し、12月5日以来の高水準となっていました。 この間、ドイツのオラフ・ショルツ首相は本日、信任投票で敗れ、新たな選挙が実施される可能性があると予想されています。 欧州株式市場は月曜日、アジア市場の下落に続き、中国の11月の個人消費が予想を下回ったという新たなデータを受けて下落していました。中国政府は、前週 来年2011年以来の大規模な景気刺激策を行うことを発表していました。 上海金取引所の地金価格は1%下落しグラムあたり618円となり、ロンドン価格に対して16ドルのディスカウントが続いています。このディスカウントの規模は、通常のプレミアムである規模の倍となっていますが、これは、今年人民元建て金価格が年初来30%高と口頭を続けていることを要因とし、世界最大の金消費国の需要を減少させていることが背景となっていました。 工業用金属として需要の60%近くを占める銀の価格は、ロンドン昼過ぎに0.3%高のトロイオオンスあたり30.67ドルと、先週の下落幅の6分の1を回復していました。 今週は、日本、英国、ノルウェー、スウェーデン、メキシコの中央銀行の政策金利決定が予定されています。 英国ポンド建て金相場は本日、0.4%高のトロイオンスあたり2106ポンドとなっていました。