金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2024年10月28日)金価格は中国需要減の中でも世界指標ベースで史上最高値を更新

イランが週末のイスラエルの空爆への対応を遅らせ、新たなデータが世界最大の金地金消費国である中国の金需要が史上最高値の中で減少していたことが明らかになる中で、金価格は月曜日に市場明け直後にドルが3か月ぶりの高さに上昇する中で下落したものの、前週つけた史上最高値を1.2%下回る価格へと上昇していました。
 
金地金現物価格は、アジア取引時間中に日本円が対ドル3か月ぶりの低さへ下げてドルインデックスが7月下旬以来の高水準となる中、トロイオンスあたり2725ドルと0.8%下落したものの、米国取引時間には世界指標ベースにおいては2743ドルへと上昇し、ドル建てで過去最高値を更新していました。
 
週末に行われた日本の総選挙では、自民党連立政権が2009年以来初めて過半数を獲得することができず、為替市場で円安が進行し、世界第4位の経済大国である日本の輸出企業に恩恵がもたらされるとして、日本株価は上昇していました。
 
中国黄金協会が本日発表したデータによると、 第一四半期に急騰した中国の消費者の金需要は、9月末までの3四半期に、2023年の同3四半期と比較すると、重量で11.2%減少していたことが明らかとなっていました。
 
同期間の宝飾品の購入は、中国の金需要の半分以上を占めており、27.5%以上減少していました。
 
しかし、金地金やコインの需要は、宝飾品よりも未だ規模的には少ないものの、これらの製品の投資的な魅力と、現物市場の卸売価格よりも安価であることから、27.1%上昇していたと、中国黄金協会は述べていました。
 
「金価格は第1四半期から第3四半期にかけて上昇傾向にあり、宝飾品の購入に影響を及ぼしている」と同協会は説明していました。
 
上海黄金交易所の人民元建て金価格と上海価格とロンドン価格の差 出典元 ブリオンボールト
 
上海黄金取引所(SGE)の金価格は、本日1gあたり625円まで上昇し、先週水曜日の史上最高値をわずか3円下回り、人民元ベースでは年初来で30%の上昇を記録していました。
 
しかし、SGE価格は、歴史的にロンドン相場に対してプレミアムで取引されて、新規の地金輸入を促していましたが、人民元建て金価格が史上最高値を更新する中で今年夏にディスカウントへと転換し、月曜日にはトロイオンスあたり15ドル相当までロンドンとの差が拡大していました。
 
そこで先週の平均6ドルのディスカウントからその差を拡大させており、これはより 典型的な上海の金のプレミアムが8ドルであることからも、中国国内の需要の停滞が示唆されていました。
 
スイスの銀行でロンドンの金地金マーケットメイカーであるUBSの最新のレポートは、「今年の金の上昇のスピードと規模は、時折 ボラティリティを引き起こす可能性がある。」と述べ、実質金利の低下、中央銀行のドル離れからも見られるポートフォリオのさらなる多様化、さらに今日の地政学的リスクと緊張の高まりのために、「価格は今後数ヶ月間上昇し続けると思う」と続けていました。
 
イスラエルが土曜日夜明け前に行ったイランのミサイル攻撃への報復では、世界第7位の産油国のエネルギー・インフラへの影響は避けられたものの、地対空兵器だけでなく攻撃用兵器の製造に使われたとされる施設を標的にしていました。
 
「われわれは戦争を求めないが、国家と国の権利を守る」と、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は日曜日に述べ、「シオニスト政権の侵略に対し、我々は適切な対応をとる」と続けていました。
 
原油価格は本日6%以上下落する中で、主に工業用金属の銀の価格は、金価格に追随して0.9%下落してトロイオンスあたり33.43ドルをロンドン昼過ぎにつけた後に、その下げ幅を取り戻して33.81ドルまで上昇していました。
 
英国ポンド建てとユーロ建ての金は、それぞれロンドン午前中に0.6%下落してトロイオンスあたり2103ポンドと2525ユーロとなった後、先週水曜日の午後3時のロンドンの世界指標ベースでの金史上最高値の2113ポンドと2539ユーロを超える水準まで上昇していました。
 
金融市場は、ドナルド・トランプ氏とカマラ・ハリス氏による米大統領選投票前の最後の週を迎えており、「米大統領選とエスカレートする中東の地政学に向け、(金を)ショートすることのリスクリターンはひどいものだろう」と、スイスの地金精製・金融グループMKSパンプの貴金属ストラテジスト、ニッキー・シールズ氏は述べていました。
 
それに加え、今週は火曜日から金曜日にかけて、米国の雇用データとインフレ関連統計が発表される予定となっています。
 
「金の問題は、10月の安値からの140ドルの急騰、これは実質大幅過ぎて急激すぎるもであり、これを(調整無く)維持することは不可能であることだ。」とシールズ氏は追記していました。
 
先週金価格は、過去7週間で6週目の上昇を記録していました。
 
一方、パラジウムは、米国が第1位の生産国であるロシアに対する新たな制裁を求めたことを受け、先週の急騰幅を拡大し、トロイオンスあたり1220ドルを上回り、2024年の最高値を更新していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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