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中国は記録的な高値で金を購入するが、インドの需要は沈む

上海プレミアムが世界の金価格指標と人民元建て金価格の急上昇にもかかわらず上昇...
 
中国の卸売市場では、記録的な高値が金の購入需要の妨げとならず、6ヶ月に渡る好調な購入が続き、貴金属の世界最大消費国である中国の価格感応度の歴史的なパターンと異なる動きをしている。
 
一方、世界第二位の金消費国のインドでは、消費者の金購入が40%減と大幅に減少しており、利益確定売りに拍車がかかり、アクシャヤ・トリティヤ(ヒンドゥー教の暦で金や銀の宝飾品、地金、コインを購入する重要な祭りとして推進されている)を前に需要の回復が見られないという報告もある。
 
インドと同様、中国は金地金の輸出を禁止しているため、国内の需要と供給のバランスが崩れると、国内レートが国際価格と大きく異なることとなる。
 
過去10年間、上海プレミアム(中国の金卸売価格とロンドンの専門市場の取引価格の差)は、月次、四半期、12ヶ月ベースで、金の世界指標の動きと66%の確率で逆の動きをしている。
 
しかし、今月は金の世界指標価格がドル建てで急上昇し、他の多くの通貨でも過去最高値を更新したことから、中国人民元建ての上海金価格はさらに上昇し、月曜日には1gあたり446円と過去最高値を更新し、上海プレミアムは3月までの平均で先月比12%上昇し、新たに地金を輸入する際にオンスあたり30ドル以上のインセンティブを提供していた。
 
ドル建て金価格と上海交易所とロンドン金価格の差 出典元 ブリオンボールト
 
 
この間インドでは、インド消費者の金購入意欲を抑え込むための15%の輸入税とGST売上税が含まれているインドの金価格が10グラムあたり₹60,000の大台を初めて超えて史上最高値を樹立したことから、ロンドン金価格の差は大幅なディスカウントを記録していた。
 
貴金属市場のデータと分析を提供し、独立系コンサルタント会社として10周年を迎えた Metals Focusのデータでは、今週の世界的な金の高騰以前から、ディーラーの価格は新規輸入の陸揚げ価格より20ドルほど低い水準にあったとのこと。
 
Economic Timesが引用した宝石商の話によると、消費者の金購入は3月までに 40%減少しており、金相場が過去最高値を更新したことは、4月に始まる祭りや結婚式のシーズンを前に「不都合な時期」であったという。
 
昨年の価格上昇と高い輸入関税は、国内の鉱山生産がほとんどないインドの消費者の需要を減少させることを目的としており、同国の貿易促進委員会のデータによると、2月までの10ヶ月間で金の輸入は2021-22年の課税年度の同じ期間と比較して 29.7%減少していた。
 
また別途発表されていたスイスのデータによると、先月の価格下落によってヨーロッパの主要精錬拠点からのインドへの輸出は1月から8倍に跳ね上がり25.6トンに達し、昨年9月以来最も多く、重要なディワリ祭の金購入の前夜になったとのこと。しかし、その後 シリコンバレーバンクの破綻とUBSによるスイスの銀行クレディ・スイスの 緊急救済の買収の中で、今月金価格が強く反発して回復している。
 
そして、2月のスイスの中国への金輸出は、1月の数字から倍増し58トンに達し、昨年2月から63.1%増加していた。
 
また、 South China Morning Postは、今月の人民元建て金価格が6.2%上昇したにも関わらず、「金の需要はまだある」と、証券会社Guosheng SecuritiesのアナリストWang Qiの言葉を引用し、突然の欧米の銀行不安による「地政学リスクとパニック心理」が、このような需要のサポートになっていると指摘している。
 
過去の世界的な金価格の高騰時は、中国国内の価格が急落し、上海へ輸入された金地金がプレミアムからロンドン価格に対してディスカウントへ転換していた。これは、2020年の新型コロナウイルス関連ロックダウンの際に最も急激に起こり、鉱業界の ワールドゴールドカウンシルが発表したデータでは、上海の金価格のディスカウントはトロイオンスあたり120ドルに達していた。
 
インドでは、この最新の価格高騰は、既存の消費者が保有する金の売却が 前年比25%急増したことを意味し、本日の報道では、ディーラーや精製業者を引用し、供給が需要を上回り、国内価格が世界の相場をさらに下回る動きを起こしているとのこと。
 
「価格の急上昇に伴い、古い金の売却が急激に増加している」と、精錬の重役であり、インドの金精錬所・造幣局協会の元副会長であるJames Joseは述べている。
 
「南インドでは、古い金を新しい金と交換する人もいれば、金と交換して現金を手にする人もいる。」
 
中央銀行の需要については、公式データによると、中国の人民銀行は2022年に62トン金準備を積み増し、インド準備銀行(RBI)は33トンを購入している。そして、人民銀行は今年に入ってから金の購入を続けており、1月と2月でさらに40トン追加して 合計2,050トンの金準備としているのに対し、RBIは、より広範な外貨準備の規模と価値が減少する中で、金準備の量を787トンに留めている。
 

ブリオンボールト社のリサーチ部門は、オンライン金取引所有サービスを提供する世界有数の英国企業ブリオンボールトの、リサーチ・ダイレクターのエィドリアン・アッシュ、日本市場担当ホワイトハウス佐藤敦子を含む国際市場担当者によって構成されています。

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