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金価格ディリーレポート(2023年9月4日)人民元と円建て金価格が通貨安で史上最高値を更新

 
世界第2位と第3位の経済大国である中国と日本の金価格は、為替市場で人民元と日本円がドルに対して弱含みで推移していることから、月曜日に史上最高値を更新することとなりました。
 
一方、米ドル建て金は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのサイクルの終わりに達したという思惑と中国政府が経済を安定させるために景気刺激策を実施する中で前週価格が上昇した後に、月曜日にはその高い水準を維持して推移していました。
 
Citi Reseachのアナリストは中国通貨について、「金は地元の人々が 人民元安をヘッジする一つの方法でもある」と述べていました。
 
人民元は今年に入り米ドルに対して5%以上下落しており、その中には8月に1.6%下落したことも含まれています。
 
上海黄金交易所の金価格は、本日グラムあたり465円まで上昇し、先週の同通貨建て金価格の新記録を0.4%上回り、引き続きロンドン相場に対して歴史的なプレミアムを示し、新規の地金輸入の動機づけとなるトロイオンスあたり45ドルを提供していました。
 
上海黄金交易所の人民元建て金価格と上海価格とロンドン価格の差 出典元 ブリオンボールト
 
「中国の政策決定者は、少なくとも一時的に金需要を抑制する意図があるようだ」とCiti Reseachは最新のレポートで述べ、最近の上海のプレミアムの急騰は、中国人民銀行が地元の銀行に発行する金輸入ライセンスの数を減らしたためであると指摘しています。この問題については、ブリオンボールトが 7月に伝えていました。
 
日本円建ての金価格は、先月の対ドルでの2.3%の下落を含む、2023年初頭からの通貨安が11%以上と進む中で、月曜日の取引開始早々にスポット市場でgあたり9152円まで上昇し、史上最高値を更新しました。
 
日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事は、「米国の政策金利上昇は、当然ドル上昇の要因であり、それが円安を生み出している。」と述べ、金の堅調なパフォーマンスは、金利との典型的な関係から乖離しており、円建て金の上昇という「二重苦」にも反映されているとも指摘していました。
 
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサーであるLisa Shalett氏は先週、「実質金利上昇のマイナス影響を もろともしていない株式市場と同様に、実質金利、ひいては米ドルインデックスと本来逆相関の動きをする金は、極めて底堅く推移している」と指摘していました。
 
米ドル指数(米ドルの主要通貨に対する価値を示す指標)は、前週2日連続で上昇した後、月曜日には0.2%下落していました。
 
9月19日と20日に予定されているFRBの金融政策決定会合を前に、トレーダーは米中央銀行が今月ドル金利を据え置く確率を 93%と見ており、1週間前の78%から上昇していました。
 
ドル建て金相場は、先週金曜日に一月ぶりの高さのトロイオンスあたり1952ドルまで急騰して、ま ちまちな米雇用統計と予想したよりも悪くなかった製造業関連データで上げ幅を削ったものの週間で1.3%上昇した後、月曜日ロンドン時間昼過ぎに0.1%上昇して1944ドルとなっていました。
 
英国とユーロ建て金相場は、前週すでに6月中旬以来の高値をつけた後に、月曜日の現物価格市場の価格は0.2%下落し、トロイオンスあたり1538ポンドと1798ユーロとなっていました。
 
一方、欧州株は上昇し、汎欧州ストックス600指数は月曜昼過ぎに0.5%上昇していました。これは、経営難に陥った中国の不動産デベロッパー、碧桂園(カントリー・ガーデン)が人民元建て債の返済延長の承認を債権者から得たことを受け、中国株が主導したアジアの明るいムードを反映したものでした。そして、中国政府による、住宅購入規制の緩和など、さらなる政策が期待されているとも伝えられえていました。
 
RBCキャピタル・マーケッツのアナリストは、「中国の新聞は、住宅ローン金利と頭金比率の引き下げ後、週末に北京と上海で不動産取引が 急増したと報じている。」と述べていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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