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金価格ディリーレポート(2023年8月3日)金価格は米債券利回り上昇したにもかかわらず3週ぶりの低値を維持

金相場は、木曜日に前日好調な雇用データや、米国債格付け引き下げと米国債増発が発表される中でつけた3週間ぶりの安値を維持して推移していました。
 
また、イングランド銀行は同日主要政策金利を25ベーシスポイント引き上げて5.25%と15年ぶりの高水準に引き上げていました。これは、14会合連続の引き上げであるものの、前月の50ベーシスポイントの引き上げからはペースを落としていました。
 
ポンド建ての金価格は、この引き上げ幅は大半の予想ではあったものの、為替市場でポンドが弱含んだことで0.5%上昇し1530ポンドとなり、それに対しユーロ建ての金価格は0.1%上昇して1770ユーロとなっていました。
 
イングランド銀行の議事録では、「(CPIインフレ率は)年末までに5%程度までさらに大幅に低下すると予想される。」とし、目標の2%へ下げるのは2025年初頭と予想していました。
 
英国の消費者物価上昇率は5月の8.7%から6月は7.9%に低下し、英国小売協会(British Retail Consortium)が火曜日に発表したデータによると、年間店頭価格上昇率は6月の8.4%から7月は7.6%に低下していました。
 
一方ドル建て金相場は、利回りの上昇とドル高が重しとなり、木曜日朝にはトロイオンスあたり1936ドルと3週間ぶりの安値近辺で推移しました。
 
これは、水曜日には良好な米民間雇用者数が発表され、火曜日には米格付けが引き下げられる中で、米財務省は四半期に一度、2年半以上ぶりに長期債の売却額を増やしたことが背景となっていました。
 
米国の公的債務の月別推移 出典元:Statista, 米国財務
 
米財務省が作成した 財政データサイトによると、米国の政府債務は本日現在32.6兆ドルに増加しているとのこと。
 
これは、2025年1月まで31.4兆ドルの米国債務上限を一時停止することが議員によって議決された2023年6月に債務規模が急増していました。
 
米財務省は、来週行われる四半期ごとのいわゆる借り換え入札で、2年半ぶりの高水準の 1030億ドルの長期証券を売却すると水曜日に発表していました。
 
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ベンジャミン・ジェフェリー氏は最新のレポートの中で、「来四半期に大規模な入札が予定されていることから、国債の 売りが拡大している」と述べていました。
 
米国債10年物利回りは、政府債だけでなく、多くの金融機関や商業用借り入れの基準金利ですが、前日に先の発表を受けて価格が下げる中10ベーシスポイント上昇し、木曜日も上昇を続けて2022年11月以来の高値となる4.15%まで上昇していました。
 
そこで、主要通貨との価値を表すドルインデックスは4週間ぶりの高さへと上昇していました。
 
ジェフェリー氏は、長期債の適切な割引率について議論される中で、「ここからの問題は、金曜日に発表される米雇用統計を前に、投資家が下げを購入機会とみるのか、それとも売りが拡大するのかだ」と続けていました。
 
スイスの精錬・金融グループMKSパンプの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は、「米国が債務問題をかかけていることは確かであるものの、前年ながらこれは政治的な問題に埋もれてしまっているようだ。」と2011年に米国債が格下げされた時の市場の反応である、米国債利回りの低下や金価格が 2週間以内に400ドル上昇したこととと比較していました。
 
トップ格付け会社のフィッチは、火曜日遅くに米国債の格付けをトリプルAからダブルAプラスに引き下げていました。 大手格付け会社が米国債の格付けを引き下げたのは史上2度目で、 一度目は2011年で、連邦予算をめぐる共和党とオバマ政権の神経戦の末、スタンダード・アンド・プアーズが米国債の トリプルA格付けを引き下げていました。
 
フィッチは、「米国の格下げは、今後3年間に予想される財政悪化、一般政府債務負担の高さと増大、過去20年間における『AA』や『AAA』格付けの国々と比較した ガバナンスの低下を反映している」と述べた。
 
フィッチ・レーティングスのシニア・ディレクターであるリチャード・フランシス氏は2日、ロイター通信に対し、フィッチが米国の格付けを引き下げたのは、財政への懸念、米国のガバナンスの悪化、そして 1月6日の暴動によって一部反映された政治的偏向が原因であると語っていました。
 
欧州株は木曜日に3週間ぶりの安値をつけ、汎欧州ストックス600指数は0.9%下落、3日連続の下落となっていました。 この間、米国株価指数先物は米国株価の弱さを示していました。
 
前日米株価指数のS&P500種は3ヶ月ぶりの下げ幅をつけて1.4%下落し、ナスダック100種株価指数は2.2%下落していました。 
 
米労働統計局が明日発表する重要な米雇用統計に先立ち、オートマティック・データ・プロセシング社(ADP)が2日発表した7月の米民間雇用者数は32.4万人増で、予想の18.9万人増を大きく上回ったが、6月の改定値45.5万人増を下回っていました。
 
ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は「FRBが次回のFOMCで利上げを一時停止するかどうか、疑念が生じた。」と前日の民間雇用データについてコメントしていました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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