金価格ディリーレポート(2023年10月23日)金価格はイスラエルとハマスの紛争と米国債務が債券と株価の重荷となり、実質金利との相関関係を崩す 2023年10月23日 月曜日 15:58 月曜日金価格は、債券利回りが高騰する中で、ドル建て価格で約3ヶ月ぶりの高値を維持し、ユーロ、ポンド、 円、中国人民元建てでは先週の過去最高値に近い水準で取引が行われていました。 米国債の10年物利回りは、 米国債務が33兆ドルを超える中で、世界金融危機直前の2007年以来の高さの年率5%を超えていました。 欧州株式市場は下落し、ストックス欧州600指数を0.7%押し下げ、日中取引価格としては3月以来の低水準となり、10年物ドイツ国債利回りは2.96%に急上昇し、30年物英国ギルト利回りは5.21%に上昇し、1998年夏以来の高水準となっていました。 ドル建て金相場は、10月7日のハマスによるイスラエル南部への攻撃以来10%近く上昇した後、月曜日ロンドン時間昼過ぎにトロイオンスあたり1980ドル前後で安定していました。この金利上昇にもかかわらず貴金属の強さは、「トレーダーや投資家が、地政学的な情勢だけでなく、米国の財政政策についても懸念を強めている市場を浮き彫りにしていると、派生商品プラットフォームであるサクソバンクの商品ストラテジスト、オーレ・ハンセン氏は述べていました。 一方、10年物物価連動債(TIPS債)が示唆する米実質金利は、月曜日の米株式市場オープンに先立ち、15年ぶりの高水準となる2.5%超まで上昇し、債券トレーダーが、基本的な生活コストは連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%よりも高い水準で推移すると予想していることを示唆していました。 金価格は近年、インフレ調整後の債券利回りとますます強い負の相関関係、つまりは一方が上昇すると他方が下げるという関係を示していました。 完全に負の関係であれば、「r」係数はマイナス1.00となりますが、この関係は先月から弱まり、22日間の推移でわずかマイナス0.04となっていました。これは、昨年11月初旬に米国の中間選挙で上院と下院が共和党と民主党の支配下に分かれた後、貴金属価格が30カ月ぶりの安値から上昇し、1700ドルをわずかに上回る水準で取引された際以来の弱い数値となります。 「市場にとって本当に重要なのは、5%(名目)以上の金利がいつまで続くか、そしてそれが経済全体にどのようなダメージを与えるかだ」と、証券会社TD証券の米国金利戦略責任者、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は述べていました。 「高金利が長引けば長引くほど、 何かが壊れる可能性は高くなる。」と続けていました。 米国財務省は、すでに投資家の 新たな債券に対する需要の減退に見舞われており、10月のプライマリーディーラーによる売却額は18.2%と、2022年2月以来の多さとなり、今年平均の10.7%とは対照的となっていました。 「米国の財政赤字は2023年に 大幅に悪化する」と国際通貨基金(IMF)のピエール・オリヴィエ・グーリンシャス調査部長は懸念を表明していました。 ロイド・オースティン米国防長官は週末、イスラエルとハマスの対立について、「 エスカレートの可能性を懸念している」と、米国は 海軍を地中海東部に配備したにもかかわらず中東駐屯米軍や米国人への攻撃へ警告していました。 「この紛争を拡大させようとしているグループや国があれば...: 私たちの忠告は『するな』ということだ。」と続けていました。 ジョー・バイデン米大統領は本日も、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの指導者たちと、紛争の拡大を防ぐための話し合いを続けています。 しかしワシントンは、11月中旬までの 政府閉鎖を回避するために民主党のホワイトハウスと協定を結んだケビン・マッカーシー前下院議長が共和党の議員によって更迭された後、ハマスと戦うイスラエルやロシアの侵攻を排除するために戦っているウクライナに追加資金を提供する能力を現在妨げられています。 マッカーシー氏の後任争いが過熱する中、世界一の経済大国であり軍事大国である米国にとって「恥ずかしい」立場だと、一部の共和党議員は述べていました。 工業用途が60%である 銀の価格は、前週に3週間ぶりの高値を付けた後、月曜日ロンドン昼過ぎに0.6%安の23.24ドルとなっていました。 英国ポンド建てとユーロポンド建ての金は、先週金曜日の日中取引で1885ユーロと1643ポンドの史上最高値を更新した後、月曜日下落したもののほぼ先週末の水準で推移しています。