金価格ディリーレポート(2020年8月2日)実質金利が記録的な低さへ下げる中で金は下落 2021年8月2日 月曜日 16:55 金価格は、米実質金利が史上最低水準にもかかわらず月曜日ロンドン昼過ぎに下げていました。 金は実質金利と逆相関で推移する傾向があります。この間、市場の注目は金曜日に発表される米国の雇用統計に移っていました。 月曜日金現物価格は、前週終値比0.3%減のトロイオンスあたり1808ドルと、先週の上げ幅のほぼ半分を失っていました。金は7月に3.6%上昇し、2016年11月以来の大幅な下げ幅となった 6月の下げをほぼ半分を取り戻していました。 デリバティブプラットフォームであるSaxo BankのコモディティストラテジストであるOle Hansen氏は、「本来金にとって 強い追い風となるべき記録的な低水準の実質利回りにもかかわらず、金は引き続き苦戦している」と述べていました。 政府だけでなく、多くの金融機関の借り入れコストの基準となる米国10年債利回りは、本日今年2月以来の低水準で安定して推移していました。 しかし、米国物価連動国債である10年物TIPS(Tresury Inflation-Protected Securities)の利回りは年率マイナス1.16%を下回り、先週更新した過去最低水準を推移していました。 ちなみに、昨年の夏にマイナス1.0%を突破し、当時最低水準を更新したことで、金価格は急上昇し、2020年8月には金の史上最高値であるトロイオンスあたり2075ドルを記録していました。 先週米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融政策変更の必要がないことを先週のFOMCで確認したことからも、米国通貨の価値を主要通貨と比較する指標であるドルインデックスは、先週FX市場で1ヶ月ぶりの安値を付け、金曜日に上昇したものの、本日上げ幅の一部を失っていました。 先週のFOMC後、トレーダーは「無料の資金はさらに長く流入し続ける」と考えており、月曜日の欧州株式市場の上昇を促していました。この間アジア市場は、先週中国のテクノロジーおよび教育セクターへの取り締まりが株式に打撃を与え、地域内でのコロナウイルスのデルタ型の広がりが成長に打撃を与える懸念から今年の最安値を記録した後、本日落ち着きを取り戻していました。 金価格については、「1900ドル前後の領域に再び挑むのであれば、現行のイベントリスク後に新たな強気のきっかけが近い将来必要です。」と、スイスの精製・金融グループであるMKS Pampのトレーディングノートで警告していました。 そして、「(そうでなければ)市場は、"上がらないものは下がらなければならない "という格言をますます尊重するようになっています。」と続けています。 本日発表されたCaixin/Markit製造業購買担当者指数によると、中国の7月の工場活動の伸びは急激に低下し、需要が1年以上ぶりに縮小したため、2020年4月以来の低い水準に下げていました。 中国は現在、2019年後半にコロナウイルスが初めて同地で確認されて以来最も広範なCovid-19の感染拡大に直面しており、デルタ変異種は当初の震源地である武漢を含む、数ヶ月間ウイルスが存在しなかった場所に広がっています。 原油価格は、先週2.6%上昇したウエスト・テキサス・インターミディエイトが1.2%減となるなど、2週連続の上昇を経て月曜日に下落していました。 主に工業用金属である 銀の価格は0.1%上昇し、トロイオンスあたり25.51ドルとなっていました。それにより、金と銀価格の相対的な値を示す 金銀比価は本日71以下となり、ここ数週間で最も低い値となっていました。 その需要の3分の2が自動車触媒に代表される工業用であるプラチナは、本日ロンドン時間昼過ぎまでに1.5%上昇して1067ドルとなり、先週の下げを取り戻していました。 金曜日に発表される米国の雇用統計では、7月の非農業部門雇用者数が90万人増加し、失業率は5.7%に低下すると予想されています。 日本貴金属マーケット協会の代表理事の池水雄一氏は、「雇用統計が予想よりも大きく良化した数字、たとえば100万人を越えれば、ふたたびtaperingの議論が始まることになり、おそらくゴールドマーケットの反応は大きく下落ということになるでしょう。」と述べています。 「逆に雇用が期待通りに改善していないとすれば、ゴールドは1850ドルへむかって上昇することになるでしょう。」と続けています。 米国では、5,500億ドルのインフラ整備計画が今週中にも上院を通過する見通しとなっていますが、米国の債務上限(法的に認められたワシントンの借入額の上限)は、2年間の停止を経て、日曜日に再び正式に発動されました。 そのために、連邦政府の債務上限額に関して、議会がその再停止や引き上げといった対応を取らなければ、10月または11月にも政府の資金が枯渇する可能性があることを、 米国議会予算局は発表しています。