金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2020年12月7日)ブレグジット協議難航と米中緊張悪化のドル高で金は一時下落後安全資産の需要で回復

金価格はロンドン昼過ぎにドル建てで下げていました。
 
これは、アジアとヨーロッパの株式市場が、世界的にCovid-19感染が拡大する中で下落し、英国とEUの貿易協議交渉担当者が、12月31日に英国が世界最大の自由貿易圏から移行期間が終了することで離脱するに先立って、貿易協定を結ぶための土壇場の努力をしていることから、強含んだ米ドルに押し下げられて下落していました。
 
先週金価格は2.7%上昇し、11月初旬にファイザーとバイオンテックのワクチンの臨床試験結果が良好と伝えられて以来初めての週間での上昇となっていましたが、本日の金地金現物価格は、ロンドン早朝には一時0.8%下落してトロイオンス1823ドルを付けて、その後先週終値まで戻していました。
 
主要通貨に対する米国通貨の価値を示す指標のドルインデックスは、先週4日連続で下落して、2年半ぶりの安値を記録した後、今週市場明けとともに上昇していました。そして、株式市場が下落し、長期金利が低下したことで、主要な国債価格が上昇していました。
 
「金は今朝も多かれ少なかれドルに影響を受けている。」と、証券会社Stone XグループのRhona O'Connell氏は日々まとめている金価格と貴金属の最新レポートで述べ、「米中の緊張の高まりとBrexit交渉の波乱の組み合わせがドルを支えており、金は1850ドル( 今年の夏の史上最高値の際のサポートライン)を試した後に下落している。」と続けていました。
 
EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は今朝、欧州連合(EU)の各国大使と欧州議会議員に警告を発し、世界第5位の経済国の英国が今月末に欧州27カ国によって形成されている経済圏のEUから離脱する前に英国との貿易協定が成立することを「保証することはできない」と述べていました。
 
EUと英国は、木曜日のEU首脳会議の前に合意された貿易協定を得るために最後の努力を続けていると見られています。
 
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、フランスの利益を害すると考えられるあらゆる協定合意内容に拒否権を行使する可能性があると述べていました。
 
ブリオンボールト ポンド建て金価格チャート
英国ポンド建て金価格は、本日1.3%上昇してトロイオンスあたり1385ポンドとロンドン昼過ぎに2週間ぶりの高値を記録していました。
 
アイルランドのマイケル・マーティン首相によると、Brexitの貿易協定の交渉は「 ナイフエッジ(際どい状態)」であるとのこと。
 
英国のタブロイド紙The Sunは、離脱派を率い、現在は英国の首相であるボリス・ジョンソン氏は、最後の交渉の焦点となっている漁業権と民間企業への国家支援に関する「公平な競争の場」ルールについてEUが譲らない場合、交渉から 完全に撤退する準備ができていると伝えていました。
 
一方、ユーロ建て金価格は、 ロイター通信が米国が一部の中国当局者への制裁措置を準備していると報じた後にアジア株が先週の史上最高値から下げ、欧州株がその基調を受け継ぐ中で、0.6%下落してトロイオンスあたり1508ユーロを一時付けていました。
 
ドナルド・トランプ米大統領によるこの噂される制裁の動きは、香港の民主派を弾圧していると中国共産党(中国共産党)の高官を標的に、早ければ今日中にも行われる可能性があると同紙は報じていました。
 
金の世界最大の消費市場である中国の人民元建て金価格は、月曜日に世界指標であるロンドンの金価格と比較して安く設定され、上海黄金交易所の基準価格は、本日世界の金現物価格と比べて24ドル下げとなっていました。これは、先月の平均的世界の金現物価格との差が20ドルへと下げていたものから高くなっていました。これは、中国からの金地金の輸出が違法であることから、上海黄金交易所の金価格のディスカウントは、中国内の需要減少を意味し、8月に中国における金価格も史上最高値を付けた際にはトロイオンスあたり89ドルと史上最高値を付けていました。
 
金とほぼ連動して取引されている銀は、先週6.7%上昇した後、本日昼までに2.8%下落してトロイオンスあたり23.53ドルと、 金銀比価(以前は2つの金属の相対価格の指標)は、5営業日で最も高い値の77まで上昇していました。
 
プラチナ価格は、先週の9.4%の力強い上昇を見せたものの、本日ロンドン昼過ぎにはトロイオンスあたり1024ドルと3.5%下落していました。プラチナ価格は、過去5週間でドル建てベースで20%以上上昇し、 先週金曜日に2016年9月以来の高値を記録していました。
 
先週末に発表された最新のデータによると、Nymex先物とオプションのヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家の間では、プラチナへの強気ポジションが4週連続で増加していることが明らかとなっていました。
 
このグループの弱気ポジションを差し引くと、資金運用業者のネット・ロングポジションは3ヶ月半で最大となり、今秋のネット・ショートポジションへの急落からさらに回復していることが見られました。
 
それに対し、金と銀も先週、投機筋のネットロングポジションが増加していましたが、ガソリンエンジン車の触媒コンバーターの需要の75%を占めるパラジウムは、3週連続で強気ポジションが縮小していました。
 
最後に、市場が注目する米国での話題に戻ると、9,080億ドルの超党派の追加経済対策策の詳細が 本日中に明らかにされる予定で、共和党の上院議員の1人は、この緊急支出を承認することで、政府機関の一部閉鎖を回避し、ミッチ・マコネル上院議長とドナルド・トランプ大統領もまた、これに同意するだろうと確信していると述べ、この提案を支持していました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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