続々・日本人と金保有
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」において、日本人と金保有について歴史的背景も含めて解説したものを、先週に続きお届けします。なお、この記事は先サイトに、今年2月10日に掲載されたものです。
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今週も先週に引き続き、日本人と金保有です。
街を身体に見立ててみると、道路や建物は骨格や内蔵で、人間は血液のようなものと言うことができそうです。経済を身体に見立てると、その場合の血液が何かといえば、それはお金だろうと言うことができるかも知れません。
乱暴な比喩を使っていることを承知の上で話していますが、社会の安定を保ちつつ経済をしっかり成長させるには、身体のすみずみまで血管を張り巡らせて、その血管に多くの血液を流してあげることが必要なんだろうと思います。明治以降の政府関係者たちも、そう考えたに違いありません。いや、これは万国共通のことと言って良いでしょう、きっと。
そして、そうした血液の循環を促進する役割については、金融制度や金融機関というものが担っている、はずです。
そんな明治以降の富国強兵的な社会というか時代における金融機関の象徴的な存在のひとつが郵便局の郵便貯金だったのではないかと思われます。あるいはそれは事実とは少し異なるかも知れませんが、庶民感覚では、おそらくそうだったに違いないと思います。
欧米先進国に追いつけ追い越せという富国強兵の思想は、なんだかんだいいつつ第二次世界大戦まで続きまます。いや、昭和20年の敗戦以降も装いを新たに続きましたが、どちらにしろ、富国強兵思想の趣旨に沿わない者たちは、いつしか「非国民」というレッテルを貼られることになっていったのだろうと思われます。
ですから、郵便局や金融機関にお金を預けず、金現物を私的に退蔵することは、富国強兵に棹さす行為、つまり非国民的な行為と看做されても不思議ではありません。金現物の退蔵が、いつしか敬遠されるようになった背景、少なくとも表向き忌避されるようになった背景は、おそらくこんなところだろうと思っています。
これをもって、ある種のイデオロギー操作が行われた、と、そのように見る向きもあろうかと思います。その見方を否定はしませんが、歴史を俯瞰的に見た場合、これは経済と軍事の拡大を急ぐ時代の要請だったとしておくのが順当のような気がします。そうした歴史を経て、いまの日本があるわけで、どのような過去であれ消し去ることなどできませんから。
なにはともあれ、こうして金現物を保有することに、ある種の後ろめたさが宿るようになったのでしょう。
でも時代は大きく変わろうとしています。右肩上がりの経済成長の時代は終焉を迎えています。人口の高齢化が急速に進んでいるだけでなく、人口そのものも今後は減少傾向がハッキリしてきます。このトレンドを変えることは容易なことではありません。
これまでのように借金を重ねて、資金を高速回転させて、経済を発展させていくという時代でもなくなるでしょう。これから金と付き合って行こうとお考えの方は、そうした大きな環境変化を見据えて置くことも大切です。目先の相場動向に一喜一憂しても詮無いことですから。
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