日本の量的金融緩和策が金市場にとって良い理由
量的金融緩和策がインフレを引き起こすとき、人々は自然と金投資へと向かうようです。
Gold ForecasterのJulian Phillips氏は、金市場における大きな関心事項は、日本銀行の政策決定会合でした。と述べています。 この場において、日本経済に大きな影響を持つ輸出に対する、円高が及ぼすダメージについて話し合われました。
ここで、量的金融緩和策として9200億円(108億ドル)を費やし、必要であれば別途予算を準備することが同意されました。そして、日銀は、貸し出しプログラムを10兆円(1160億ドル)へと拡大しましたが、これを市場は十分なものとはみなさず、円高はさらに進みました。つまり、これらの影響力のない政策が、一層投機意欲をそそり、円高を進めるものとなったのです。この市場の勢いは、日銀がより有効な手段を打たない限りは、収束しないことでしょう。
市場の予測では、円高は対ドル78円まで進むであろうというものです。そして、このレベルにおいては、政府は緊急対策を導入せざるを得なくなるでしょう。しかし、これらの対策は、
- 為替レートの本来の意味を問いただし、
- 円への投機を誘い
- 米国の政策とは異なり、デフレによって生じている問題を正すことはなく、このインフレを促す量的金融緩和策を導入するにより、円の購入力を下げることとなります。
これらの新規量的金融緩和策は、日本円の価値を国内外において揺るがすものとなります。もし、この政策が実施される場合、他の主要国も追随することとなるでしょう。
この重要性を十分に理解するには、米国が人民元のレートを問題視したことを思い出す必要があります。この際、中国政府は、そのレートを低く設定することで、貿易上優位に立とうとしているとみなされていました。そして、多くの人々はこの状況を正しいものとは考えていなかったはずです。
日本政府は、これと同様の政策を実施することとなるのです。通貨の為替レートの基本は、それぞれの国々の経済状況や貿易収支を反映すべきものであり、この政策は明らかにそれに反するものです。もし、このようなことが行われることになると、為替レートの根本が揺るがされることとなります。
米国政府の経済政策上の怠りは、米国ドルの価値を下げ、構造的な貿易赤字を作り出し、製造業の基盤を中国に奪われる現状をもたらしました。そのため、米国債へ多額の投資を行った中国は、米国の通貨政策に大きな影響力を持つこととなったのです。
現実的には、世界経済において為替レートを決定付ける定まった規則はないのです。しかし、不利益を得るものたちは、規則違反とみなされる政策に対し、声高に異議を申し立てるのです。
金融危機が世界を震撼した際、銀行及び投資家個人のバランスシートから瞬く間に残高が消え去りました。欧米の主要各国政府は、ここで消え去った残高を取り戻し、世界の金融システムを保つために量的緩和を行いました。それにもかかわらず、金融危機は継続しています。確かに、銀行のバランスシートは改善され、銀行は取引業務で収益を上げています。しかし、経済全般に大きな影響を与える、銀行の貸し出し業務は十分なレベルとはいえません。この現状は、一般消費者や開発途上国が実感しているものでしょう。
さらには、銀行は余剰資金で国債を買い込んでおり、量的緩和の目的は達成されていません。米国経済においては、量的緩和はインフレを引き起こしませんでした。少なくとも現段階では。この量的緩和は、雇用増加を促す政策とともに導入されるべきだったのです。
世界大恐慌とルーズベルト大統領が行った経済政策を振り返って見ましょう。この政策の一つは、失業者を雇用する目的の公共事業への支出でした。多くの人々はその効果を疑いましたが、雇用された人々による購買力の増加を生み出したのでした。政府によって市場に出された資金は、経済の根底の消費者へ直接達し、銀行のみでなく経済全体に行き渡ったのでした。この政策は、インフレを引き起こすこともありませんでした。それは、金融システムに資金を単純に注入したのみでなく、消費者を生み出したためでした。そのため、公的支出の拡大と経済の拡大のタイミングが合致したのです。
現在の日本はこれとは異なります。デフレを10年近く経験しています。そのため、量的緩和によって供給される資金は、インフレを引き起こすと思われます。これにより、貯蓄者は価値が下がる通貨を保有している目的を失い、資産を保全するために、投資へと向かうことでしょう。これは、貯蓄を継続しているのと変わりなく、消費行為ではありません。そのため、経済における資金の流れは遅々として進まないのです。
日本は、今そのインフレへの道を歩み始めているのです。消費を促進するために、貯蓄の価値を下げるという。ここでの問題は、この目的を達成するには、導入された政策が十分なものではないという点です。そのため、円高が継続し、更なる政策が近い将来導入されることでしょう。もし、この政策が成功を収めるようであれば、米国も間違いなくこれと同様の政策を導入するはずです。
それでは、なぜこれが金投資にとって良いことなのでしょうか。日本の投資家の立場になって考えて見ましょう。彼らは、長くデフレを経験し、金利の差と為替レートの変動からの利益を得るために、頻繁に他通貨に投資しています。日銀がこれらの投資家へ円安を望むと語ることで、これらの投資家は円安が近い将来訪れるものと考え、より多くこのような投資を行うことでしょう。
もし、この投資家がインフレが近い将来に起こるであろうと思った場合、現時点での経済環境下では日銀が金利を上げる(それにより円高を引き起こす)ことができないと判断することでしょう。そのため、これらの政策により、円による購買力は下がることになります。円が量的緩和によって価値が下がれば、過度なインフレを防ぐためにも金利をいずれ上げざるを得ないことは明白です。そうなった場合、通貨と固定金利の債券は、魅力を失うこととなります。そこで、有形固定資産であり、価値を失わないものが望まれるでしょう。これは、不動産や金といったものです。金の利点は、日本人に十分に理解されている点と、世界どこでも通用するという点です。歴史的にも、インフレやデフレを含む経済環境が極端な状況下では、金がその価値を保全することは証明されています。
このようなことから、政府の円高対策が効果を見せ始めた時点で日本の投資家は金へ向かうと予測するのです。
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