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中国の金利引き上げはコモディティ市況を冷やすか

丸紅経済研究所代表柴田明夫氏が、コモディティ専門情報サイトのrigoo.netで、中国の金利引き上げがコモディティ市況に及ぼす影響を解説しています。

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中国人民銀行は2月9日より政策金利を0.25%引き上げた。昨年10月19日に2年10カ月ぶりの利上げに踏み切って以降、12月26日の再利上げに続く3回目の利上げとなる。これにより期間1年の貸出金利は5.31%⇒5.56%⇒5.81%⇒6.06%へと上昇したことになる。背景にはインフレ懸念がある。

中国では、2007年春~08年夏にかけ豚疫病(口蹄疫)の発生や大雪の被害が重なり、豚肉や野菜を中心に食料品価格が上昇し、インフレ抑制が重要な課題となっていた。2008年9月のリーマン・ショック以降は、景気が減速する一方食料生産も回復したことから物価も鎮静化し、2009年7月にはマイナスとなった。しかしその後、政府の積極的な財政金融政策により景気が急速に回復するとともに、大雪や寒波により野菜価格が再び高騰したことでインフレ懸念が再燃。2010年に入ってからは、1)預金準備率の引き上げ、2)不動産投資規制など、一連の引締め政策を打ち出したが、2010年の実質GDP成長率が10.3%になるなど、経済が本格的に回復拡大する中でインフレ圧力は収まらず、2010年9月のCPI(消費者物価)上昇率は+3.6%、10月4.4%、11月5.1%と警戒ラインとする3%を大きく上回って上昇している。12月のCPIは+4.6%の上昇に止まったものの、2010年1月は再び5%台に乗った可能性が強い。

中国のインフレ圧力を強めている最大の要因はCPI構成品目のうち、約1/3を占める食料価格の上昇だ。しかしこの背景には、「十年九干」(10年の内9年は干ばつ)といわれる天候要因に加えて、資源エネルギーの高騰に伴う燃料、農薬・肥料など投入コストの上昇、食品工場における賃金上昇などがある。言わば構造的な問題であり、容易には解消できない。しかも、中国政府は2004年以降、三農問題と言われる農業問題を解決するため積極的に農産物の買い上げ価格を上げてきたことも要因の一つだ。

ちなみに三農問題とは農業・農民・農村問題のことだ。農業問題は農業の労働生産性が低いという問題である。中国農業は、ヘクタール当たり5~6トンのコメや小麦、トウモロコシが生産され土地生産性は高いものの、依然として3億人を超える農業就業人口がいるため1人当たり労働生産性が低い。このため1人当たり農業収入が低い貧しい農問問題となり、貧しいから満足な医療教育を受けられないという遅れた農村問題となる。これを無視すれば年と農村の格差が広がり社会不安を醸成することになる。この対策として、中国政府は農村に対して免税や農産物買い上げ価格の引き上げや、近代化投資を進めてきたのである。しかし、こうした矛盾に対して対策を打てば、それがインフレ懸念と言う新たな矛盾を生む構造になっている。

金利上昇は中国ばかりでなく、ASEANなどの新興国さらに最近は米国や日本でも長期金利の上昇がみられるようになった。これを受けて、昨年後半より上昇基調を強めていたコモディティ価格もいささか頭が重くなっているようだ。特に、金や原油、非鉄などのハードコモディティに頭打ち感が強い。特に、ニューヨーク金(期近)は、昨年12月7日の1オンス=1431ドルの史上最高値から1月28日には1307ドルまで急落した。その後1360ドル前後まで買い戻されているものの、1400ドルが大きな上値の壁となって立ちはだかっている格好だ。

しかし、金利上昇は必ずしもコモディティにとってはマイナス材料ではない。一般に物価と金利の関係には、1)景気低迷を映して物価低迷、金利低水準、2)景気回復を映して物価上昇、金利も物価を抑制するために追随的に上昇、3)景気過熱を映して物価高騰、金利高水準、の3つの局面がある。コモディティが買われるのはインフレが高進し、金利が追随的に上昇する2)の局面である。私は世界経済はいまこの2)の局面にあるとみている。

 (資料)中国国家統計局

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柴田明夫氏は、丸紅経済研究所代表。1976年東京大学農学部卒業後、丸紅に入社。鉄鋼第一本部、調査部を経て、2000年に業務部 経済研究所 産業調査チーム長。01年に丸紅経済研究所主席研究員。03年副所長、06年所長。2010年4月より現職に。

長年のコモディティ関連業務で培われた知識と視点でコモディティマーケットの体制を見渡す記事をcommoditiy-board.comに週一回掲載中。

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