金市場ニュース

ニュースレター(9月30日)1322.50ドル 米大統領選候補のTV討論後トランプリスクの後退、浮上したドイツ銀行懸念も一服

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1322ドルと、前週金曜日の同価格から1.2%の上げとなっています。

今週週明け月曜日は、米大統領選候補のテレビ討論を前に狭いレンジでの取引となっていましたが、討論後にヒラリー・クリントン候補の優勢が伝えられ、翌火曜日は株価が戻す中金相場は下落することとなりました。

水曜日金相場は、ロンドン時間昼過ぎに発表された米耐久財受注の数値が予想を上回ったことで多少ながら下げた後、狭いレンジでの取引となりました。

その後行われたイエレンFRB議長の議会証言は、FOMC後の記者会見から大きな変化は無かったこと、また他のFRB関係者のコメントにもサプライズはなかったことからも相場への影響は見られませんでした。

なお、今週行われていたOPEC会合では原油生産の制限で合意したことが前夜伝えられ、資源関連株上昇とともに株価が上げる中ドル高も進み、金相場は頭を抑えらることとなりました。

木曜日金相場は、緩やかに下げていましたが、その後下げ幅を削ったものの、終値ベースでは前日比下げることになりました。

同日も、FRB関係者の会見が行われましたが大きなサプライズは無く、その影響は最小限にとどまりました。しかし、主要経済指標の米第2四半期GDPが予想と前回を多少上回り、新規失業保険申請件数も予想を下回ったことから、ドルが強含み金は押し下げられることとなりました。

そして、月末と四半期末を明日に控え、ポジション整理が起きている中、ロンドン時間夕方に、「10社程度のヘッジファンドがデリバティブ(金融派生商品)取引の持ち高の一部をドイツ銀行から引き揚げた」という報道が伝わると、米国株が大幅に下げ、金も一時押し下げられましたが、ドル安等からも多少戻すこととなりました。

本日金曜日は、前日の下げを戻しつつありましたが、ロンドン時間昼過ぎにトロイオンス10ドルほど下落しています。これは、前日も見られた月末と四半期末のポジション整理である模様ですが、本日発表の米国主要経済指標のシカゴ購買部協会景気指数とロイター・ミシガン大学消費者信頼感指数が共に予想と前回を上回る好調なものであったこと、昨日のドイツ銀行破綻への懸念も一服し株価が戻す中で、金が押し下げられてるところもあるようです。

その他の市場のニュース


  • 香港を通しての中国の金輸入が8月に前年比15%減の59トンと1月以来の低水準になっていたことが明らかになったこと。

  • 先週末発表のコメックス金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週FOMCの結果が発表される前の火曜日に、今年7月5日の記録的水準から25%下げ、ポジションの整理が進んでいたことが明らかとなったこと。

ブリオンボールトニュース

今週火曜日に金先物価格が過去1週間で最も低い水準へと下げたことを解説する主要米経済サイトのMarketWatchの記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。

ここでエィドリアンは、「来月の米雇用統計で大きな変化が見られない限り、金はBREXIT後の取引レンジ(7月のピークの1342ドルと過去3ヶ月の底値1302ドル)に留まるだろう。」とコメントしています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

また、金の基礎知識ページには、ブリオンボールトのリサーチ部門による、過去25年間の日本と40年間の米国投資資産のパフォーマンスを基に、金をポートフォーリオに含むメリットについてまとめた下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週の英国からの便りは、今までお伝えしていたニュースの番外編をまとめてお送りしましょう。

まず、9月16日付けニュースレターてお届けした5ポンド新札の番外編は、新札の中でも最初の刷り上がり分の5ポンド札が、40倍以上の200ポンドを超える価格でオークションサイト「eBay」で取引されたというものです。

新5ポンド札は「アルファベット2つ+2ケタ番号+6ケタ番号」となっており、1枚目は「AA01-000001」。そこで、「AA」で始まる最初の刷り上り分である99万9,999枚がコレクターの注目を集め、価格が上がっているとのこと。ちなみに1枚目はエリザベス女王に謹呈されたそうです。

私の手元に19日に入った5ポンド札は残念ながら「AD」で始まるもので、5ポンドの価値以上ではなさそうです。

また、8月5日付けニュースレターでお届けした、英国野党労働党の党首選の結果が24日に発表されましたので、その事後談もお届けしましょう。

結果は、事前予想通りジェレミー・コービン現党首が得票率61.8%で圧勝しました。しかし、コービン党首の当初の影の内閣20人は辞任しており、172人の下院議員がコービンに不信任を突きつけ、党首選でコービン支持に回ったのは下院議員では40人でしかいないとのこと。

そして、コービン党首が再選されることは予想されていたことからも、影の内閣を党首ではな、く下院議員が選出する過去の方式に変更することが、選挙結果が出る前に、コービン党首を支持していない議員から提案されていました。この件に関しては今週末にコービン党首と労働党の最高執行機関が話をするようです。

まとまりを無くして、崩壊寸前とも見えるコービン党首率いる労働党が、英国の2大政党の野党として、政府を検証しその責任を問える、信頼に値する十分強力な党としての機能を果たすことができるようになるには、まだ長い道のりが待っているようです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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