金市場ニュース

ニュースレター(8月5日)1340.40ドル 良好な米雇用統計で今週の上昇分を失い更に下落

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格は1340.40ドルと前週同価格から0.7%下げています。

週明け月曜日金相場は、今週金曜日の米雇用統計を待つ模様眺め、また欧米は本格的に夏休みに入ったということもあり狭いレンジでの取引となりました。

そのような中、銀相場は一時トロイオンスあたり20.65ドルと3週間ぶりの高値を記録することとなりました。それは、先週火曜日のコメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、6週続けて最高記録を更新していることなどからも、かなり強気市場となっている模様です。

火曜日金相場は、原油が40ドルを割り、世界の株式相場が下げる中、3週間ぶりの高さへ上昇することとなりました。

また、主要諸国の債券価格も下げ、利回りが上昇することとなりました。特に、先週の日銀の緩和規模に落胆した市場の反応として、日本国債10年物は、かろうじてマイナス金利の-0.025%まで、0.2%一時上昇し、2013年5月ぶりの上げ幅となりました。

そして、英国債10年物も、利回りが0.1%上昇し0.82%、またドイツの10年物国債は-0.02%まで、先月の記録的な低さから16ベーシスポイント上昇してましたが、7月半ば以来のマイナス金利は保持することとなりました。

水曜日の金相場は、今週金曜日の米雇用統計の先行指標とも見られているADP全国雇用者数が予想を上回ったことから、米株式とドルが強含む中、緩やかに下げることとなりました。

木曜日の金相場は、イングランド銀行の利下げとさらなる緩和の発表を受け、ポンドが対ドル弱含み、欧米株式市場が上げるとともに、ポンド建てでは一時前日終値ベースで2%上げ、ドル建てにおいても0.5%上昇することとなりました。

同日のイングランド銀行の0.25%への利下げは市場の想定内でしたが、資産購入枠を600億ポンド拡大し、英経済への貢献が大きい企業を中心にポンド建ての社債を100億ポンドまで購入することも決め、銀行への資金供給も拡大するために、中央銀行から約4年間、低利で資金供給を受けられる新たな制度で、最大1000億ポンドを供給するという大規模な緩和は、サプライズであったようです。

また、翌日の米雇用統計を前に同日発表された、米新規失業保険申請件数が、26.9万件と予想の26.5万件と前回の26.6万件を上回ったことも、金相場を押し上げた模様です。

本日金曜日は市場注目の米雇用統計が発表され、市場注目の非農業部門雇用者数は25.5万人と予想の18万人を上回りました。また、前回の数値は28.7万人から29.2万人に上方修正されたことから、ドル建て金相場は今週の上げ幅のトロイオンスあたり15ドルほどを全て失い大きく下落することとなりました。

そして、この雇用統計の結果を受けて、CMEのFedWatchでは、9月のFRBによる0.75%への利上げが18%と、前日の倍の確率となっています。

その他の市場のニュース


  • 週末発表のコメックス銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に6週続けて新記録を更新していたこと。

ブリオンボールトニュース

ブリオンボールトが毎月まとめている金投資家の傾向を数値で表す金投資家インデックスが今週火曜日に発表され、多くの主要メディアで取り上げられました。

日本語のプレスリリースを掲載いただいています。この詳細は、「金と銀の購入が過去3年間で最高へ」でもご覧いただけます。

ここで、米国からの顧客数が過去12ヶ月の66%増と、2012年2月以来の高水準になっていることを紹介し、エィドリアン・アッシュの「6月の BREXITショック後、金への需要が継続的に増加していることは、11月の米大統領選への懸念が現実的になってきていることを示唆している。そして、今 年の金と銀投資のリターンが、2016年の価格上昇で、堅固なものであることが証明されてきている。」というコメントを取り上げています。

ここで、ブリオンボールトにおける金の購入者数が7月に1.5%増で、銀購入者数が約40%増と、過去3年間で最高となったことを紹介し、弊社リサーチ主 任の「資金運用業者は、金ETF購入量を既に過去3年間で最高の水準まで増加させている。主要国債の利回りが歴史的に低い水準に留まる中、世界の経済成長 への懸念が貴金属購入へと向かわせている。」というコメントも取り上げています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では、野党労働党の党首選のテレビ討論が昨日始まり、ジェレミー・コービン現党首と、対抗するオーエン・スミス下院議員について広く伝えられています。

コービン党首は、昨年の総選挙で大敗し辞任したエド・ミリバン前党首に代わり、2015年9月に選出されています。コービン党首は、1983年から下院議員を務めているものの、民主社会主義者で左翼の政治姿勢からも、主要な役職についたことがなく、常に平議員でした。

しかし、昨年の総選挙での大敗は、保守党との政策の違いが明確でなくなっていたことという意見が高まり、当時労働党では主流の中道派ではないコービン氏の政治姿勢が労働党員の若年層の支持を広げ、59.5%の一般党員と支持者の得票を得て党首に選出されました。

それから1年もたたずに党首選が行われているのは、英国のEU離脱の国民選挙でのコービン党首のリーダーシップに不満を持った陰の閣僚が次々と辞任し、労働党下院議員が6月末に不信任動議を172対40という大差で採決したことからでした。

しかし、この動議に拘束力はなかったために、コービン氏の党首の座にチャレンジするためにアンジェラ・イーグル下院議員が党首選に出馬し、スミス下院議員も出馬したのでした。その後、イーグル議員がオーエン議員のサポートに入り立候補を取り下げたので、党首選はコービン党首とオーエン議員の一騎打ちとなっています。

今後、英国の主要都市で二人の公開討論が5回行われ、8月22日に投票用紙が郵送され、9月21日に投票が締め切られ、9月24日に結果が発表されます。

英国の2大政党制が機能を果たすためには、強い野党が必要です。コービン党首率いる野党がまとまりを見せない現状が続けば、BREXITを控えた英国の今後にとっても良いものではありません。

コービン党首は、不信任動議が採決されるほど労働党議員の支持は少ないものの、その左翼的思想がこれまで以上に労働党党員を増加させ、その支持は高く得ています。それに対し、単に反対票を投じるだけの野党ではなく、政権を取ることを目指すと述べて労働党議員の支持を受けている、2010年に下院議員となったばかりのオーエン議員ですが、この二人がこれからの2ヶ月間でどのような戦いを行うのか、じっくり見させてもらおうと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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